カタログ制作を効率化するための具体策
そこが知りたい!gcj MANAGEMENT(154)
DTP作業の自動化・データ連携がポイント
DTPを主体に頁物の組版に長けている印刷会社では、カタログ制作を請け負っているケースがあると思われます。カタログ制作は、通常、顧客からデータを受け取って制作するため、商品情報の収集や編集、画像整理など、多くの工程と作業が求められるため、業務が煩雑になりがちです。そのため顧客からのデータ入稿の遅れ、入稿ミス、校正の見落としといったトラブルが発生することがあります。
間違いなく正確に制作するのは当然ですが、さらに制作を効率化して、いかに時短化・コストダウンを図っていくかも重要です。ここでは、カタログ制作を効率化する具体策について考察してみます。
カタログ制作の現場では、どのような課題が浮上してくるでしょうか。1つは商品情報のテキストや画像の整理などで多くの工程があることで、作業が煩雑になって人手や時間、コストの問題が生じることです。そこで、データ入力・更新作業の削減やレイアウト制作時間を短縮し、いかに効率化していくかがポイントになります。
また、カタログは数値や商品情報がとりわけ重要なデータになりますから、誤った内容のまま印刷・納品してしまうと大問題になりかねません。そのため、校正作業を徹底する必要があり、顧客の他部門やサプライヤーにも確認を取る必要も出てくる場合があります。手元でのチェック作業や多数の関係者とのやり取りを正確に、また効率化していくことも問われます。
さらに、カタログデザインの改善に着手できなかったり、カタログを実際にどのような利用者が見ているのかよく分からないという状況もあります。顧客の売上に貢献できるカタログを制作するためには、エンドユーザーの収集・履歴を分析することが鍵になります。顧客満足度を高める上でも、顧客のデータベースとの連携を促したいものです。
以上のような課題があるわけですが、それらを解決し、業務を効率化する手法として取り組みたいのが、「自動化」と「データ連携」の2つです。まずは、この2つに注力していくことが重要です。
カタログ制作では、一旦レイアウトが決まれば、基本的には次回からはデータを入力・変更する繰り返しの単純作業が中心になります。そこでDTP制作を自動化していくことがテーマになりますが、自動化と言えばRPAが思い浮かぶと思います。ただし、DTPワークフローにRPAを単体で導入し、カタログ制作を自動化するのは極めて困難です。現状のRPA技術は、デザインや微調整を伴う複雑な組版処理には向いていないからです。
RPAを導入するのであれば、カタログ制作専用の自動組版システムやPIM(商品情報管理)システムと組み合わせた仕組みを構築するのが得策です。カタログ制作は通常、基幹システムやECサイトのバックエンドから、カタログに掲載するテキストや画像を抽出し、CSVやExcelにまとめます。そして、Adobe InDesignへデータを流し込んで組版し仕上げていくのが1つのスタイルになっています。これによって、作業効率が向上しヒューマンエラーも防止できるようになります。
顧客にシステム構築を促し、効率化を提案する
次に、情報の一元化やリアルタイムのデータ利用が重要になってきますから、異なるシステムやアプリケーション間でデータを共有・統合することが求められます。ワークフローでいかにデータを連携し、意思決定や作業の質・スピードを高めていくかが重要になってきます。
具体的には前述と関連してきますが、PIMシステムの導入の他に、顧客のデータベースと情報を共有化し、InDesignに直接連携できる体制を構築するのが望ましいです。InDesignのデータ結合機能やスクリプト(JavaScript/ExtendScript)で、自動的にデータを流し込みできるテンプレートをどう作るかという視点から、アプローチするのが良いでしょう。
あるいは、Webブラウザ上で動作する自動組版システムを活用する方法も考えられます。顧客に決まったスプレッドシートに商品データを入力してもらい、そのデータをクラウド上で自動組版システムにアップロードするという仕組みです。
問題は、顧客に対して「自動化」「データ連携」のために、システム構築の協力を促す必要があるということです。そのためには、コストが削減でき、正確な作業や納期の短縮化などのメリットをしっかりと伝えることが重要です。具体的なシステム構築のワークフロー図を示した企画書を作成し、提案していく必要があります。
商品データベースと連携して効率的な作業環境を構築するため、顧客にしてみれば、システム構築に多大な投資が必要になると思うかもしれません。しかし、自動組版システムの導入は大規模なシステムでない限り、さほどコストは掛からないものです。
例えば、既存のAdobe InDesignにプラグインを導入したり、クラウド上の定型フォーマットにCSVデータを流し込んだりする方法では、初期費用と月額費用を合わせても数十万円ですから高額な投資とは言えないでしょう。コストを抑えてスピーディーに導入できる点を強調し、可能であれば、コストは全て制作・印刷会社側が受け持つ考えを提示しても良いのではないでしょうか。顧客の負担を軽減させることで、自動化やデータ連携のシステム構築を促すことができれば、採算以上のメリットがあると言えるでしょう。
また、チラシやパンフレットでも定期的に制作するもので、商品情報・画像を差し替える作業がある場合は、自動組版システムを使って作業を効率化できないか、検討してみる価値があります。作業効率を高めて顧客のコスト・手間を削減していくことで、強固な関係を築き安定した受注に繋げていきたいものです。
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