自社と顧客のために企画力を養う!

そこが知りたい!gcj MANAGEMENT(153)

知識やノウハウを得るために企画力は不可

 「企画力」とは、ビジネスにおいて課題やニーズを発見・分析し、それを解決するためのアイデアを発想・立案して具体的な形にして実行する力を指します。つまり、何も決まっていないゼロの状況から価値を形にするために必要なスキルになります。そのうえ、ヒト、モノ、カネの限られたリソースをどこに集中させるべきかの判断も求められます。
 近年の印刷業はデジタル化、ペーパーレス化、顧客ニーズの多様化により、単なる印刷技術だけではなく、マーケティングやプレゼンテーション、IT 活用力、さらにはデジタルコンテンツの制作力などが求められています。そのため、課題を発見し、解決策を見出して実行するための企画力が非常に重要になっています。
 企画力と一言で言っても、自社の新規事業や新サービスを考えることの他に、顧客の印刷物やデジタルコンテンツを提案する際にも企画力は求められます。「企画は顧客が考えるもので、印刷会社は送付されてきたデータを制作・印刷して、顧客に納品すればよいだけだ」という思考で、顧客に言われた仕事だけをしていたのでは、企画力を養うことはできません。
 仮に顧客が指示したとおりに、忠実に仕事をこなすにしても、より高品質で効率的に作業して、顧客の実際の売上に貢献できるコンテンツを制作するためには、どうすればよいのかを考えなければなりません。その知識やノウハウを身につける上でも、企画力は不可欠になってきます。このように、ビジネスのあらゆる面で企画力が問われてくると言っても過言ではないのです。
 「どのようにして価値を高めるか」「生産性を向上させるにはどうすればよいのか」「別の付加価値の高いコンテンツを提案すべきか」といったことを考える企画力が必要になるわけです。このことを経営者が理解し必要性を感じて、営業担当者をはじめ社員に日々伝えることで、企画力を養う土壌を育てていかなければなりません。
 では、社員の企画力を養うためにはどんな教育や施策を行えばよいのでしょうか。企画力を養うためには、「課題を発見する能力」「情報を編集する能力」「アイデアを具体化する能力」の3つが必要とされ、それらを実践するためには、「発想力」「決定力」「行動力」「共有力」「推進力」の5つが重要だと言われています。
 「発想力」が重要であることは何となく理解できると思いますが、実際、商品開発や新サービスを創出するためには、アイデアを出す作業が求められます。発想力を身につける方法としては、「自分の知らない情報や新しい情報に触れる」「異なる考え方を持つ人と話す」「既存の前提を忘れてゼロベースで考える」「アイデアを思いついたら書き出す」といったことが挙げられます。これらの方法を試すことで、発想力を高めることができます。

企画力は日々の考え・行動の積み重ねが重要

 「決定力」は、「品質」「コスト」「納期」「技術」などから最適解を選び取って実行する決断になります。決定力を身につけるためには、日々どのようなことをすればよいのか。「自分が最終決定権を持っていなくても、常に自分なりの答えを考える」「日頃から物事の優先順位を明確にしておく」「日常の些細なことから決断のスピードを高める」「自分の下した決断の結果がどうなったかを分析する」といったことを行うことで、次第に決定力が身についていくでしょう。
 「行動力」については、営業・生産現場ではタイミングを逃さないことが重要です。即時に対応することを習慣化し、気づきを行動に変えるために「視覚化」して「ムダを排除」していくことが必要です。まず動くことで、脳のスイッチをオンにするようにしましょう。デスクにつき仕事をするとなった時に気が進まない場合は、「1分だけPCを開く」と決めて作業に着手します。それによって脳からドーパミンが出て、徐々にやる気が湧いてくるようになります。
 「共有力」に関しては、情報を個人の記憶やファイルに留めず、組織やチーム全員がいつでもアクセスできる状態にしておくことが肝要です。また、DTP制作や色校正など感覚的な作業が多い現場では、言葉にして伝える技術を磨くことや、誰もが気軽に発言できる雰囲気を作ることが求められます。これらを実行することで、次第に共有力を組織内に育むことが可能になります。
 「推進力」とは、計画や課題解決を最後までやり遂げ、組織・チーム内を巻き込んで現場を動かす力です。「段取りを変える際は数分以内で行う」「最初から完璧を目指すのではなく、まず試験的に開始し成功体験を積み上げていく」「印刷ミスやトラブルが発生したら、原因を直ちに分析し再発防止策を考え、翌日から実行する」「前後の生産工程に先回りをして調整や声掛けを行う」といった行動が求められます。
 「推進力」は「行動力」に似ていますが、物事を前に進めて最後までやり遂げるという、結果というゴールまで導いていく力が「推進力」です。対象は、組織やチームのプロジェクトに対しての動きになります。
 最後に、企画力を養うための企画会議は、単にアイデアを出す場ではありません。「課題解決」「発散」「収束」のサイクルを意図的にトレーニングする場になります。アイデアを出す目的と判断基準をしっかりと設けて、出席者全員の考えをあまねく聞いて意見を集約することが求められます。そして、決定事項を確認し、社員の合意を得て実行に移していきます。企画力は社員一人ひとりの日々の考え・行動から生まれてくるものですから、さまざまなテーマを設けて企画会議を定期的に開いていくことが望まれます。

企画力