若い人材を採用するために行う方策
そこが知りたい!gcj MANAGEMENT(151)
業務のデジタル化で「3K」イメージの払拭を
今や、ほぼすべての産業で若い人材が求められていると言えるでしょう。どの業界も人手不足に直面していますが、特に深刻なのが建設業をはじめ製造業全般、運輸業、介護業界、外食・サービス業などです。印刷業界も然りで、若い人材を求めている印刷会社が多いのが実情です。
しかし、若い人材を募集してもなかなか集まらず、採用が困難になっているのが現状です。企業としては現在の事業を継続していくためにも、何とかして次世代に事業を繋げていく必要がありますが、実態は中高年の社員が中心となっている状況が見受けられます。
若い人材が入ってこないと、組織の活力は低下し、イノベーションも起きません。また、技術や技能の承継も滞り、その結果、企業としての競争力が低下し、後継者となる人材も育たなくなり、さまざまな弊害が生じることになります。
若い人たちにとって印刷業のイメージは、どう映っているのでしょうか。未だに「3K(きつい・汚い・危険)」というイメージを持っているかもしれません。では、若い人材を採用するためにはどんな施策を採っていけば良いのでしょうか。
まずは、旧態依然としたアナログ設備のままの企業は、最新の設備や技術を導入して職場環境を改善し、クリーンで働きやすい環境にしていく必要があります。
また、IT化を推進し業務の効率化を図ることも大切です。若い人材はデジタル化されたスマートな業務に就くことを望む傾向があるため、タイムパフォーマンスを重視する意味からもIT化やDX化を進める必要があります。その他、3Kのイメージを払拭するためには、ワークライフバランスを重視する姿勢を示し、残業時間の削減や有給取得の推奨などを積極的に行うことが効果的です。
若い人たちは、印刷産業が縮小していることをネットや統計情報を見て知っているでしょうから、縮小している印刷市場に関心を示さないのも頷けます。そうは言っても、印刷物がさまざまな分野で活用され、社会に貢献していることは事実ですから、そのことを具体的に伝えていくことは大切です。どの企業も紙の印刷物は不可欠であり、企画・デザインから印刷・後加工まで、ものづくりの一連の工程に携わる面白さ、顧客への貢献度、顧客の課題解決に繋がる達成感などを、面接の場でしっかりと伝えることが重要です。
問題はキャリアパスです。例えば、「製造部門で何年間か経験を積んだら、次の役職が何になり、〇〇の資格を取得したら〇〇職に昇格する」と、ある地位に就くまでに必要なスキルや経験を明確に示すキャリアパスを提示することも求められます。しかし、企業規模が小さくなればなるほど具体的に示すのが難しく、実際には明確なキャリアパスを提示できない印刷会社が多いのが実態です。
キャリアパスやインターンシップなどの施策を
もちろん、企業側だけがキャリアパスを設定するものではなく、社員自身も将来像を描きながら考えていく必要があります。しかし、何もわからない新入社員にそれを求めるのは酷です。応募者は印刷会社の体制や組織の在り方など知る由もないでしょうから、まずは企業が未経験からでもスキルアップできる教育制度や研修制度を設けて、社内のキャリアパスを示すことができるようにしておかなければなりません。将来どのようなキャリアパスを描けるのかを示すことは、中小の印刷会社であっても不可欠な要素であると認識する必要があります。資格取得のための支援制度などを事前に設け、社員のスキルアップを後押しできる体制を構築するようにしましょう。既存の社員に対しても必要不可欠なこととして取り組みたい施策です。
次に、採用方法自体を見直すのも重要です。人材採用のミスマッチを防ぐためには、従来の求人媒体や採用方法に固執することなく、若者が利用しているSNSや就職サイトなどを活用し、自社の魅力をアピールする情報を発信し、ものづくりや企画・デザインの楽しさを普段から訴えていくことも大事です。
学校や地域との連携を強化し、会社説明会や工場見学会などを定期的に実施することも重要です。また、採用広報を行う際は、若い世代が共感できるようなキャッチコピーを用いて求人広告を制作することも大切です。
特にインターンシップ制は、ぜひ取り入れたい施策です。インターンシップは専門学生や大学生が、自分の将来の道を選択する際に、その業界・企業で実際に就業体験ができる制度です。昨今は印刷会社でも導入されるようになりましたが、まだまだ少ないのが実情です。一般的には、大学のキャリアセンターが主催して行政やNPOなどの各種団体と連携して行われるケースが多いですが、地域のデザイン学校、大学、あるいは工業高校などと連携して、印刷会社が主体となって実施することも可能です。学生個人が応募できる仕組みですから、インターンシップを整えた施策を計画し、繁忙期を避けられる期間に実施することを検討してみてはいかがでしょうか。
採用に関する情報発信では、自社のホームページを活用したり、Webサイトや就活・採用サイトに目を向けたりすることも大切です。ホームページでは職場の雰囲気や社員のインタビューなどを掲載して、親近感を持ってもらえるようにすることが重要です。また、動画コンテンツなどを活用して、具体的に仕事の内容を見せることで、視覚的にも訴求力のある情報発信が可能になります。
また可能であれば、社員による紹介採用も考えたいものです。紹介者にはインセンティブを付与するなどの制度を設け、紹介採用を奨励することで、入社意欲の高い人材の確保を目指しましょう。
あるいは、印刷業から切り離して、Webサイトや動画コンテンツに特化した事業部を設置し、その分野で才能ある人材を採用して新たな組織を作るのも、業態変革を目指す上で有効な選択肢として考えられます。紙の印刷に拘ることなく、将来を見据えた人材戦略を目指したいものです。
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