情報を美しくデザインし、効果的に伝える

1931年創業の株式会社ミカドは、情報文化を通じて社会に貢献することを経営理念に掲げて、デザインからDTP、各種商業印刷、製本加工、Webサイト制作と幅広いサービスを提供している。制作では読み手に配慮した美しい媒体づくりを重視し、顧客のニーズに応えている。今回、取材を受けていただいた津川康平氏は、長年にわたって同社一筋に制作を担ってきたDTPデザイナーである。デザインに対する考え、仕事に取り組む姿勢について話を伺った。


株式会社 ミカド(GC東京)

〒101-0064
東京都千代田区神田猿楽町2-7-7
https://mkd.jp/

制作部
津川 康平

“習うより慣れろ”で激務の日々が続く

 津川氏は、鹿児島県徳之島の出身で、高校卒業後、東京在住の叔父様の伝手で上京し、ミカドの社員と知り合いだったことから同社で仕事をすることになったという。「パソコン(以後、PC)は高校の授業で触った程度でしたし、社会人として仕事をするということで、アルバイトとして入社しました。というのも、いずれ専門学校へ入学するつもりでしたから、そのための資金集めが目的でしたから」と、当初は腰掛け仕事であったという。それが今日まで続くとは想像すらしていなかったに違いない。
 最初に就いたのは製版工程だった。「フイルム出力で青焼きをして校正作業に携わる仕事でした。何しろ大変だったことを覚えています。1年ほど経った頃に、『ArtWorker』を使って、版下をスキャンしてデータ化し、Adobe Illustratorに取り込んで制作をするDTPの業務に就きました。本来新しいものが好きな性分でしたから、PCに触れてソフトを使って仕事をすることに惹かれていきました」と、DTPとの出会いを話す。
 しかし、90年代末はデジタル化が一気に押し寄せて、次から次へと仕事が入ってきた時代である。「上司からは『習うより慣れろ』と言われて、仕事をしながらDTPを覚える毎日で、教えてもらえる環境ではありませんでした。体で叩き込まれたという印象です。深夜まで激務が続いて、帰宅できずにそのまま会社の床で寝たことも多々ありました」と、過酷だった当時を振り返る。
 そのうち、「部長から社員になったほうが良いと言われて、正社員となりました」。以後、転職することなく、ミカド一筋で来た。「入社して27年になります。最近ではDTPだけでなく、Web制作にも携わっています」とのことで、GCJのホームページは津川氏が制作している。「おおまかなデザインや制作方針、記事の取り込みなどは私が担当しています」と、青柳社長とともに取り組んでいる。
 Webサイトは『WordPress』を使って制作することが多いとのこと。「紙でもWebでも制作では、お客様の情報を高品質かつ美しく見せ、エンドユーザーに確実に伝えていくことを最も重視しています」と話す。
 同社は商業印刷物が中心で、営業が顧客から直受してきたものを一から制作するケースが多いとのこと。そのためデザインも全て任される。「Web制作でもAdobeのソフトを使用していますから、DTPと互換性があってデータのやり取りもスムーズに行えます」。この津川氏の言葉から、Webの仕事はもはや必須というのが窺える。

独学で技術力をつけスキルを磨いてきた

 特筆すべきは、入社初期の頃のPC操作からDTP制作、そして近年のWeb制作まで、独学で技術を習得してきたことだ。
 「先輩や上司のしている仕事を見よう見まねで覚えるのが当たり前でした。仕事を通じてさまざまな技術を会得していくしかなかったわけです。DTPデザイナーになったのも、元々DTPを担当されていた先輩が退社されたのがきっかけでした。後を引き継ぐ形になったわけですが、試行錯誤しながら独学で取り組んできました」と、当時苦労した日々を振り返る。
 独学で技術を習得してきたゆえに、仕事に対しては前向きに取り組み、高いモチベーションで臨んでいるのが窺える。
 「デザインの感性を磨くために、著名人のデザインやデザイン誌などを見聞きし、自分なりに仕事に役立てています。若いデザイナーの作品の中にも当然優れたものがありますから、そのデサイナーがどういう考えや意図でデザインしたのかを分析して、自分のノウハウや感覚と照らし合わせて、より良いものをアウトプットしていくようにしています」と、常にデザインに対しての見聞を広めてスキルアップに努めている。
 津川氏のポリシーは「いかに情報を見やすく、伝えやすいものにしていくかを心がけています。日常の街の風景から良いデザインを見つけて、そこから学び取って自分の技術として身につけることが大事だと思っています。現状に満足するのではなく、常に新しい感性を継ぎ足していく考えで仕事に臨んでいます」と、クリエイティブな視点と学ぶ力が大切であると説く。
 特にWebの技術は日進月歩で進化しているため、常に新しい技術を知り、学ぶことが重要だということを実感しているようだ。
 制作で生成AIを使うのは必須とのこと。「主にGeminiにプロンプトを入力し、ラフ案を作って修正し、読みやすく綺麗なデザインにブラッシュアップさせています。これによって制作を時間短縮できる点が大きなメリットです」と、生成AIは仕事で不可欠になっている。
 DTPデザイナーのキャリアパスを考えた場合、これからはWebをはじめとするデジタルメディアの知識や技術が不可欠になってくる。「当社ではWebの仕事は数年前に始まったばかりですから、まずはWebの技術力を高めていくことが先決だと感じています。そこからキャリアパスの将来が見えてくるのかなと思っています」と、あくまでも新しい技術の習得に余念がない。制作の屋台骨として、同社にとってますます不可欠な人財になっている。


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