新規事業としてアッセンブリーの検討を!
ビジネス講座 @Random
業界関係者に贈る (57)
〝空きスペースが活用でき印刷業と関連性があるため取り組みやすい〟
現在、EC市場の拡大や製造現場のDX推進に伴い、アッセンブリーへのニーズが高まっています。
アッセンブリーとは、主に製造業や物流・販促物を扱う業界において、製品の最終的な仕上げや、商品をセットして梱包する工程を代行・提供するサービスを指します。印刷会社では、印刷物や販促品を検品・セット・梱包・発送するのが主な業務になります。
アッセンブリー事業の最大の課題は、商品を保管する倉庫や作業スペースを確保できるかという点です。すでに有効利用できるスペースを持っていれば、事業化する上で第一の関門が取り除かれたと言えるでしょう。
印刷会社がアッセンブリーを事業化しやすい背景には、かつて工場内に機械を置いていたスペースや、使わなくなった部屋、デッドスペースなどを利用できる点が挙げられます。
スペース以外の問題としては、技術・ノウハウがありますが、印刷物や出版物、販促物など印刷業に関連性のある商品を扱うのであれば、現在の延長線上のサービスとして考えられます。すでに実践し成功している印刷会社がありますから、見学して参考にすることができます。
企業における販促物の利用頻度は、店舗での企画・キャンペーンの増加物価高騰による販促物の価値訴求・重要度の高まりなどが要因となって上昇傾向にあります。
〝販促担当者の7割が販促物の利用頻度が高まっていると回答〟
株式会社SPinnoが2024年に実施した「メーカー販促担当者に聞いた販促業務に関するアンケート」で、「2024年は店頭や営業現場での『販促物の利用頻度』は増えていますか?」という問いに、約7割の販促担当者が販促物の利用頻度が増えていると回答しています。(グラフ参照)
特に、「小売、卸」「自社店舗」「ECサイトの購入者」といったBtoC領域で、販促物の利用頻度が増加していると回答しています。このことから、企業のアッセンブリーへのニーズも高まっていることが窺えます。また、営業拠点や店舗などへ販促物を発送する際の現場との情報共有に関しては、アナログで行うケースが多いため、コスト削減のニーズが高まっています。
そのためアッセンブリー事業は、これらの企業の課題やニーズに応えるビジネスとして、今後進展していくとみられています。
また、機械設備の初期投資が問題になってきますが、事業をどの程度の規模で行うかを考慮してスモールスタートで開始するのが望ましいでしょう。それに補助金や助成金の活用もぜひ考えたいものです。
事業の多角化・付加価値向上という観点から、非常に取り組みやすく、印刷とアッセンブリーは親和性が高いと言えます。また、収益性については、人件費や作業効率の管理に大きく依存するものの、適切な運用によって安定した利益を生み出すポテンシャルがある事業と言えます。印刷会社が抱える「紙媒体の縮小」という課題への有効な打開策になるのではないでしょうか。
また、印刷会社がアッセンブリー事業に取り組みやすい理由として、前述の物流・保管スペースを所有している点に加え、印刷から発送まで一貫した対応が可能であることや、印刷現場で培われた正確な作業や品質管理体制が、検品や配送面で大いに活かされる点が挙げられます。
さらに、販促物やDMなどの納期がタイトであっても、普段から短納期の仕事に慣れていたり、急な発注にも迅速に対応できる体制を持っていたりする点も挙げられます。印刷を依頼してくる顧客に対し、セットアップサービスを提案することで、新規顧客獲得の営業コストを低減できる可能性がある点も、他業種よりも有利と言えます。ですから、事業として取り組みやすいわけです。

〝事業ではデジタル化自動化で、効率的な作業が重要になる〟
具体的な事業展開としては、印刷したパンフレット、カタログ、DMを、ノベルティグッズと一緒に袋詰めして発送するという「販促・ノベルティセット」が真っ先に挙げられます。
次に、出版社向けに、付録の取り付けや梱包作業をする「書籍・雑誌の付録セット」があります。さらに、工業製品メーカーに向けた取扱説明書、保証書、付属品をセット梱包する「マニュアル・キット作成」もあります。
アッセンブリーを外注に出したい企業は多く、印刷・販促・出版業界以外にも、輸送機器メーカー、電気・電子機器メーカー、産業機器・FA機器メーカーなどの製造業をはじめ、食品・化粧品・日用品メーカー、EC事業者、通販業者、小売業者など多岐にわたっています。ですから、市場そのものは大きく事業化しやすい面があります。要は営業力次第になりますが、まずは既存顧客への営業、また顧客からの紹介という紹介営業で、新規開拓に取り組んでいくのが得策と言えるでしょう。
手作業だけでなく、封入封緘機などの自動機を導入することで、大量受注や短納期対応を実現することが重要です。そのため、労働環境と労働力の確保が最大の課題になるかもしれません。体力を使う作業が増えるため、作業負担が軽減できる自動化ラインの構築、工場内の温度管理を徹底して働きやすい環境を整える必要があります。
新規に人材を雇用するのが難しい場合は、現在の人員構成でローテーションを組んで事業に臨む方法も考えたいものです。
人件費率が高くなる傾向があるため、原価管理の徹底と効率的な作業、適切な価格設定が必須です。単なるセットアップだけでなく、顧客のマーケティング活動を支援する「物流(ロジスティクス)」や「デジタル技術」を組み合わせることで、高付加価値型のサービスを目指すのがよいでしょう。
あるいは事業を拡大するにあたっては、従来の印刷とは異なる物流・サービスの視点が求められます。
既存の印刷技術とスペースを活用しつつ、クライアントの手間とコスト削減を解消するサービスとして、アッセンブリー事業は非常に有効ではないでしょうか。
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