人材を獲得するには仕組みづくりから

そこが知りたい!gcj MANAGEMENT(149)

検索した際にスマートフォンに表示されること

 「当社は小規模の印刷会社だから、募集しても良い人材が来ない」と思っている経営者はいませんか。しかし、同じような規模の同業者でも、新卒や若い中途採用者を採用できている会社があります。なぜ、その会社は採用することが可能なのでしょうか。それは、「求職者に対して人材を募集していることをしっかりと伝えている」からです。
 このように言うと、「我が社も求人サイトや求人広告で募集しているし、ホームページ上でも伝えている」と答えるでしょうが、実は肝心な点が抜け落ちているのです。それは、求職している若い人たちにその求人情報が届いていないケースがあるからです。いくら多額の広告料を払って求人広告を出しても応募者がほとんどないのは、単にその会社に魅力がなくて応募してこないだけでなく、求人情報を見て興味・関心を持ってもらっていないのが大きな理由です。
 今日の若い人たちは、新卒であっても中途採用者であっても、求職する時にほとんどスマートフォン(以後、スマホ)を使ってインターネットで求人情報を検索します。その際に求人広告サイトや就職・転職サイトに掲載していれば見つけてもらうことはできますが、スマホで会社のホームページを閲覧することができないと会社の詳細な情報が分からないため、応募してくる可能性はほとんどありません。まして、ホームページを開設していない会社には、応募することはまずないでしょう。
 つまり、求職者がスマホで自社を検索した場合に、自社の情報が表示されているかがポイントになります。スマホで効果的に情報を伝える仕組みを構築していないと、今日では若者からの応募はほとんど期待できないでしょう。求人活動を行う場合は、まずスマホから容易に情報が入手できるように、しっかりと「伝える仕組み」を作ることが不可欠になります。
 中小企業が求人情報を出しても応募がない理由の一つに、そもそも社名を知られていないことが挙げられます。求職者は当然ながら、大企業などの認知度が高い会社に関心が集まりやすいものです。
 もちろん中小企業が大企業並みの認知度や魅力を持つのは簡単ではありませんが、とは言っても、誰もかれもが大企業に就職したり、転職したりすることはできません。実際、大卒者の3分の2は中小企業に就職しているのが実態ですから、就職先として見てくれるよう、求人サイトに自社の魅力をアピールし、それが伝われば中小企業にもチャンスはあるのです。
 では、中小企業で採用ができている会社は何が違うのか。それは伝え方が上手く機能している点です。逆に採用ができていない会社は伝え方に問題があると言えるでしょう。決して無名な会社だから、あるいは地方の会社だからという理由ではありません。
 地方の印刷会社で応募がない理由として、「小規模な印刷会社だし、何の魅力もないので応募などしてこない」と思っている経営者がいるかもしれませんが、それはホームページなどでしっかりと会社の存在と経営理念、事業内容などを伝えていないことが往々にしてあります。今日では、ホームページを開設していない会社に新卒者や若い人材が応募してくる可能性はほとんどありません。

求人情報や会社情報をSNS でも発信していく

 求人を募集するなら、採用専門のサイトやランディングページを設けて、「我が社は求人を募集している」ということを訴求する必要があります。斜陽産業と言われている印刷業界であっても、例えば黒字経営を続けていたり、他社にない印刷物を制作していたり、デジタルコンテンツ制作に力を入れていたりする企業などには、若い人たちが興味を持って応募してくる可能性は高いです。これらの企業がデザインや販促品などのモノづくり、あるいはメディア制作などを前面に打ち出して、クリエイティブ性を訴えれば求職者の関心を集めることができるでしょう。つまり、印刷物や販促品のモノづくりの面白さを伝えることが、会社の魅力を伝えることになるわけです。決して印刷会社に魅力がないわけではありません。
 会社自体を知ってもらうためには、まず求人を募集していることをしっかりと伝えていくことが不可欠です。具体的には、インターネットで検索して1分以内に自社の求人を発信している情報サイトが見つかるような仕組みを作ることが重要です。
 最初に自社のホームページを中心とした仕組みを作ります。広告媒体への出稿は予算との兼ね合いを考慮してプラスアルファとして考えたいものです。広告サイトやリクルート関連の媒体だけに依存するのではなく、ホームページを充実させて自社に直接応募できる環境を作ることで、応募数が増えたという事例がありますから、まずはホームページで採用情報を詳しく掲載し、直接応募できるようにするのがポイントです。さらに予算がとれるならば、並行して広告サイトに採用情報を掲載すると良いでしょう。
 広告サイトは書式が決まっており、かなり詳細な情報を掲載できるようになっているため、求職者にとっては分かりやすく他社との比較も容易です。そこでいかに興味を引く内容にするかが重要になります。会社を検索・閲覧し、興味を持った際に求職者は必ずと言っていいほどホームページを見ます。特に優秀な人材や真剣に就職先を検討している人材ほどホームページを閲覧し、よりその会社の実情を知ろうとする傾向があります。そのためホームページで経営理念、会社の風土・特色、事業内容、働き方改革への取り組みなどをしっかりと伝えることが大切になってきます。
 さらに、SNSの活用も効果的です。今では多くの若い人たちがSNSでコミュニケーションをとり、さまざまな情報を入手しています。「ソーシャルリクルーティング」という言葉があるように、SNSで人材募集活動を行うのが一般化しつつあります。SNSを活用することで、会社と求職者がインタラクティブに対話し、お互いの情報を事前に知ることができますし、ミスマッチを防ぐこともできます。結果的に採用活動にかかるコストや時間を削減することもでき、拡散力もありますから、SNSは採用活動において有効なツールと言えるでしょう。 

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