ペーパーレス化編
データは語る
ペーパーレス化は今後ますます拡大していく!?
日本でペーパーレスという言葉が提唱され始めたのは1970年代と言われています。しかし、正確な時期を突き止めるのは困難なため、1998年に「電子帳簿保存法」が施行された時を、ペーパーレス化の起点としてみます。
それまでは紙での保存が義務付けられていた国税関係の書類が、データでの保存がはじめて認められました。その後、「e-文書法」が2005年に施行され、行政や民間企業が保存する紙文書のデジタル化が推進されていくのですが、当時はまだ紙での保存が主流でした。
印刷業にとっては、ペーパーレス化は既存市場の縮小によって、印刷の仕事の減少に繋がるというネガティブな側面がありますが、一方で、デジタル化によって新たなビジネスチャンス、が広がるポジティブな側面もあります。
例えば、顧客データに基づいてデジタルマーケティングと連動した高付加価値なパーソナライズ印刷に転換できる点や、印刷業だけでなく、データ作成やスキャニングサービスなどの電子化ビジネスへの拡大など、ペーパーレス化によって求められるビジネスが生まれるため、それら新しいビジネスを取り入れることで、従来の印刷だけに拘らないビジネスモデルを目指すことが可能になります。
では現在、ペーパーレス化はどこまで進んでいるのでしょう。株式会社デージーネットが、2025年5月に『ペーパーレス化の取り組み』に関するアンケート調査を某展示会場で実施したところ、「現在、ペーパーレス化のために実施しているものはありますか?」という問いで、75.6%の人が「紙データの電子化」と回答しました。
2位に「WEB会議システムの導入」 60.2%、3位に「ワークフローシステムの導入」43.2%、4位に「請求書の電子化」42.0%と続いています。(グラフ参照)
同アンケートは、2023年にも実施した結果を並列で示していますが、その数値を見ると、どの項目も大幅に伸びており、ここ数年でペーパーレス化が急速に拡大していることが分かります。請求書や契約書、見積書などの帳票類の印刷は、これまで印刷会社の仕事だったのが、ペーパーレス化によって市場は縮小しつつあることが分かります。

印刷は必要な分を必要なだけ、提供する時代へ
しかし、このまま帳票印刷がなくなっていくのかと言えば、そうとは言えません。紙の視認性、一覧性、即時に対応できる点はメリットです。ただし、以前から言われていた「必要な時に必要な枚数だけを印刷する」というオンデマンド印刷は、今後も求められていくのは避けられません。
ペーパーレス化は帳票印刷だけでなく、それ以外の印刷品目にも影響を与えています。ビジネスのデジタル化や環境意識の高まり、そして、生活者の情報接触スタイルの変化によって、かつて「印刷が当たり前」だった多くの品目がデジタルへと置き換わりつつあります。
例えば、広告や宣伝に関する印刷物は、顕著にデジタル移行が進んでいる分野です。フライヤー、チラシ、カタログ、パンフレット、DMなどはデジタル化が進んでおり、印刷需要が減少しています。雑誌やフリーペーパー、社内報などの定期刊行物もデジタル化され、WEBサイトでの閲覧に切り替えられつつあります。
さらに、信頼性やセキュリティが重視される通帳・保険証券、チケット、カード類にもデジタル化の波が訪れており、「マイページ」による確認、「QRコード」や「IC決済」に置き換わり、紙類は希少化・有料化によって減少しつつあります。
しかし、デジタル化が普及したからこそ、あえて紙で出す価値が見直されているのも事実です。ブランド力を高めるための豪華な装丁のパンフレットや記念品、大判の図面や、手元に置いておきたい重要な契約書、デジタルを普段使わない層へのアプローチや、開封率の高いDMなど、パーソナライズされた付加価値の高い分野で紙は生き残っていくはずですし、印刷会社としても、その付加価値の高い印刷需要は死守しなければなりません。
また、デジタル化が進んでいる中でも、展示会に訪れた時に気づく点があります。各社のブースでは、商品やサービスをPRするためのチラシやパンフレットが大量に置かれています。販売している商品やサービスがアプリなどのデジタルツールであっても、結局、それらを説明する媒体は紙の印刷物になっているわけです。来場者のスマートフォンに直接データを送信してPRするわけにはいかないからです。
大量印刷時代が終焉し、ペーパーレス化によってデジタルと組み合わせた「必要なものを、必要な分だけ、価値高く提供する」印刷へ、印刷業界は転換を迫られています。
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