作品の魅力をくみ取り、最高の品質を提供する

1939年に創業し、87年目を迎えた東京平版株式会社。「美しい印刷物を作り続ける」ことを企業理念に、企画・デザインから製版、印刷、Webコンテンツまで総合的な制作サービスを提供している。取材に応えていただいた営業部営業3課課長の塚本美恵氏は、部下をマネジメントしつつ、ポジティブな姿勢で業績に貢献しているパーソンである。入社の経緯から女性管理職としての苦労、仕事への取り組み方などについて話を伺った。


東京平版株式会社(GC東京)

〒162-0833
東京都新宿区箪笥町8
https://tokyoheihan.co.jp/ 

営業部営業3課 課長
塚本 美恵

営業部に配属を願ったバイタリティの持ち主

 塚本課長は大学時代、法律を専攻し、六法全書を片手に勉学に励んでいた。印刷物との出会いは、その大学時代に大学案内や広報誌の取材を受け、誌面にご自身のインタビュー記事が掲載されたことだった。「後日、完成した印刷物が手元に届いたときの嬉しさは、今でもよく覚えています」と懐古する。
 「学生時代に色彩に強い興味があったことから、カラーコーディネーターの資格を取得しました。それで、光源色の原理、光の三原色を学びました」と、印刷との接点があったものの、当時はそれが今日の仕事に繋がるとは想像もしていなかった。
 3年生の秋頃から就職活動を始めたが、「当時は、就職氷河期真っ只中で企業の募集自体が少なく、履歴書を何十通書いて送っても、面接まで進むことさえ困難でした」と述懐する。
 そんな折、東京平版の募集に出会った。4年生の秋に面接を受け、ようやく内定を得ることができたのである。「入社後は事務職として採用されたためか、お茶くみやコピー取り、電話番が主な業務で、仕事とは何だろうと悩む日々が続きました。そんな状況下でも、与えられた立場・仕事の中で何が学べるか、どう信頼を勝ち取り実績を積み上げていけるかを考えていました」と、苦悩の日々を過ごしたという。
 半年ほど経過した頃、母校の入試広報部でオープンキャンパスのスタッフをしていた経験もあったことから、有給休暇を利用して母校に足を運び営業を行い、何と封筒の注文を獲ったのである。
 新入社員が意を決して、今まで教わったことがなかった営業を率先して行ったわけである。それほど切羽詰まった心境にあったことは想像に難くない。「特色を使って用紙にもこだわった封筒を印刷し、納品することができました。そこで印刷の仕事の面白さを強く感じるとともに、達成感を味わうことができました」と振り返る。
 そのことが契機となって、上司に相談し営業部で働きたいと進言したところ、それが認められ営業部に転属となった。新卒の女性社員が自ら転属を願い出ることは、当時としては珍しいことである。それだけ仕事に対して向上心があり、バイタリティの持ち主であったことが窺える。
 現在の同社は、高品質の印刷技術とGP認定工場、カーボンオフセット印刷の推進という環境配慮を両立させた印刷サービスを展開している製版・印刷会社であるが、2002年当時は、大手・中堅印刷会社の下請けとして製版を主な事業とし、現場もアナログからデジタルに転換する過渡期であった。また、営業部が新規顧客開拓で直受の営業活動を始めた時期でもあった。

営業、現場、顧客とともにより良い仕事を目指す

 「その営業部の先輩とともに商業印刷物の新規開拓営業を行うことになりました。また、母校で受注した実績を水平展開しながら、都内のさまざまな大学にも提案し、各種制作物を受注していきました」と、商業印刷の直受営業を手がけていき、着実に実績を上げていったのである。
 現在、塚本課長の営業3課がメインにしている顧客・業種は、美術系の印刷物と商業印刷物だという。美術印刷といっても幅広く、日本画、洋画、コンテンポラリーアートなどの絵画から、陶芸、漆芸、ガラス、金工、木竹といった工芸分野まで多岐にわたっている。
 得意先は大手百貨店の美術部をはじめ、国宝作家、若手の芸術家まで多彩である。「いずれも作品の魅力を損なわず、作家の意図や世界観をくみ取る力が求められる仕事だと感じています。データ上では再現できない色味や質感を、現場が蓄積したノウハウと技術力、感性によって仕上げています。弊社の企業理念は『美しい印刷物を作り続ける』ことを掲げていますから、現場の存在なくして語ることはできません。紙の質感やインキの乗り、色の深みなど、最終的には現場の経験値が重要になります」とのことで、技術を培った現場の人たちへのリスペクトは欠かさない。最高の印刷物を作るために全社一丸となって取り組んでいる姿勢が垣間見える。
 営業である以上、当然ながら売上の数字を追求する必要がある。課長という中間管理職として部下を持っているが、「年上の部下を持つ立場として、日々のマネジメントにも工夫を重ねています。人生の先輩として敬意を大切にしながらも、職務上の責任を担う立場として、適切な距離感と判断を心がけています。とにかくモチベーションを上げるための言葉がけは欠かさず行っています」と、年上の部下を持つ女性管理職の難しさが伝わってくる。
 「営業、現場、お客様が同じ方向を向いて仕事ができる環境を大切にしています。そんな状況の一翼を担えることに感謝しかありません」という。女性管理職として今後ますます期待されている塚本課長であるが、そのロールモデルとして、これからも輝き活躍し続けていくことは間違いないだろう。


営業 女性活躍 GC東京