「JAPAN PACK2025」に見る包装技術最前線!

最新の包装技術・製品から新ビジネスを模索する

最新の包装技術・製品から新ビジネスを模索する

10月7日~10日の4日間、東京ビッグサイトで国内最大級の包装関連総合展示会「JAPAN PACK 2025」(日本包装産業展)が開催された。「BEYOND|包むで創る 人と未来と Create the Futureof Packaging Together」をテーマに、省人・省力化、環境配慮、持続可能性といった今日の課題解決に焦点を当てた、幅広い分野の最新包装技術、製品、サービスが一堂に会した。今回は、出展社の中か
ら印刷会社や関連メーカーをピックアップして紹介する。包装関連の資機材は、GC業界にとって直接係してくるものではないが、工夫を凝らした包装製品は利活用できるものが少なくない。最新の包装技術を知ることで新規ビジネス開拓のヒントにしたり、顧客に付加価値の高い手法を紹介したりする際に役立つと言えるだろう。

印刷関連メーカーの出展内容

 JAPAN PACK2025には印刷関連メーカーも多数出展しており、GC業界で馴染みのあるメーカーも数社出展していた。富士フイルムグラフィックソリューションズ㈱は、「もっと自由にパッケージ・オンデマンド。」を掲げて、インクジェット方式やトナー方式など、富士フイルムが独自に開発した幅広いラインアップのデジタルプリンティング技術を紹介した。ブースではさまざまなサンプルを展示し、パッケージやラベルの付加価値向上を提案した。
 パッケージ分野も小ロット・多品種化のニーズが進んでいる。制作現場では小ロットや短納期に対応する動きが顕著で、デジタル印刷機の活用に注目が集まっている。ブースでは「必要な時に」「必要な分だけ」の生産を可能にするデジタル印刷機のメリットや活用事例を紹介した。
 1パス5色印刷を実現した『Revoria Press SC285』は、業界最小クラスのトナー粒径を実現したSuper EA-Ecoトナーにより、高品質で鮮明な印刷を可能にしたプロダクションプリンター。ブースでは同機種が、これまでグラビア印刷では数万単位の大ロット発注が一般的だったパウチ印刷(紙や印刷物をフィルムで包み、汚れや湿気から保護する印刷加工技術)の小ロット・多品質・短納期の実現を披露し、注目を集めていた。
 また、軟包装用水性インクジェットデジタルプレス『JetPress FP790』や、高画質・高生産性・低臭気を実現したUVインクジェットデジタルプレス『Jet Press 540WV』を活用して作ったサンプル品も紹介した。
 ㈱SCREENグラフィックソリューションズと㈱SCREENGPジャパンは、「パッケージに彩りを」をテーマに、サステナブルな社会に貢献するソリューションを提案し、最新のデジタル印刷機による具体的なサンプルの出品や最新のビジネス事例を紹介した。
 特に強調していたのは、Valloy社製のトナーデジタルラベル印刷機『BIZPRESS 13R』。幅1400mm、奥行き850mmのコンパクトなサイズのため、省スペースの環境でも導入が可能である。コート紙やアート紙など多様な素材に対応し、低温定着トナーに加え、静電気除去装置を搭載しているため、基材の適正が高く、薄紙から厚紙まで安定した印刷が可能である。また、基材幅は210mm~320mmの範囲で変更でき、ジョブに応じて最適な幅を選択できるのが特長の1つだ。
 さらに、見当合わせや濃度調整など経験が必要な作業が不要で属人化を解消し、DTPオペレータや印刷機オペレータでも短時間で操作を習得でき、早期戦力化できる点もメリットである。
 ㈱新星コーポレィションは、軟包装、紙器パッケージ向けにデジタルカラープルーフ、モックアップ作成のソリューションを提案した。パッケージに付加価値を与えるメタリックや、蛍光色を使用したデータ制作を効率的に行えるソフトウェアを紹介。実機のデモンストレーション(参考出品)では、『GMG ColorProof5.17/GMG OpenColor3.3+EPSON SureColor SC-S9150』による軟包装パッケージ向けプルーフとしてカラーの再現性を訴求した。
 また、本紙への印刷が可能なUVインキやその他のインキを使用したモックアップ製作の可能性について提案した。
 オーシャンテクノロジー㈱は専用タッチパネルに形状とサイズを入力するだけでパッケージ生産が可能なボックスメイキングマシン『OT BM2500』を出展した。タッチパネルで全ての設定が可能で、2mm~最大8mmの資材厚の基材と50種類以上の形状に加工できるのが特長である。ネットショップなどのEコマースに対応した、極小ロットでの生産で短納期出荷を実現できるパッケージ作成を訴求した。
 ㈱シンク・ラボラトリーは、軟包装用水性インクジェット印刷機『FXIJシリーズ』や、自動レーザーグラビア製版システム『NewFX3自動検査機搭載タイプ』などを出展し、多数のサンプルを出品して注目を集めていた。
 ユーザックシステム㈱は、紙器・ラベル印刷向け業務管理システムを出展した。パッケージ用製版システム「Pack#」(パックシャープ)を自動化する「PackFlow」(パックフロー)と、紙器・ラベル業界向け業務管理システム「印刷業名人」のコラボレーションによるシステムである。業務管理システムで入力した内容がそのまま製版システムに直結するだけでなく、データ管理も一元化して事故防止と効率化を実現している。機械別計画グループでの閲覧・変更が可能で、スマートフォンによる作業実績入力にも対応している。
 シリウスビジョン㈱はブラザー工業㈱の協力を得て、ブラザー工業社製UV印字機に搭載したインライン検査を出展した。後印字による印刷バラツキや位置ずれ、伸び縮みに強い画像検査技術を解決するもので、文字欠けやつぶれといった印字品質と、文字認識OCR、バーコード・QRコード読取データ照合、連番検査といった印字内容の情報検査を同時に実現するシステムである。
 また、同社は軟包装材・フィルム検査向けフラットベッド型スキャナー検版システム『S-Scan A2/A3/A4』の他、非接触型大判検版機『S-Scan LNC』、扇型形状など基準線のない異形状ブランクスも高速搬送・検査が可能で、最大検査速度120m/分、毎時12,900枚で高精度な検査を実現するブランクス製品検査も出展した。なお、画像検査システムには、高速画像処理が可能な新世代ソフトウェア『PolarVision』を搭載している。
 アルマーク㈱は、高精度・高耐久印字を実現する最先端インクジェット機種の実演を行った。強付着インクが使用可能な『BOTMARK』は、樹脂への印字を実現し、食品パッケージへ600dpiの高解像度印字を可能にした。
 また、コードの品質や規格適合性を検証し、あらゆるコードリーダーで素早く読み取れることを数値化で評価する、新製品のインラインバーコード検証機『REA VERIFIER』を出展した。同新製品は、製造ラインに設置することでラインを止めることなくコードの品質を全数検証することが可能で、不良品の排出装置などと連携することもできる。
 アルテック㈱がOMG社製(イタリア)のドライペーパーフォーミング機(紙成型機)を出展した。複雑な形状の紙容器製造において、水をほとんど使用しない製品だ。電力やCO2の消費を格段に抑えつつも高い生産性を実現し、排水処理設備が不要で設置場所の制限がないのがメリットである。ブースではサンプルを展示し、高い成形性をアピールした。
 また、BOBST社(スイス)が提供している拡張ガモット(ECG)を使用したサンプルも展示。同技術は色をデジタル化し、人間の介入なしで印刷品質を安定、平準化させるもの。使用するインクのセット(4色~7色)を固定しつつ従来のCMYKよりも広い色域を実現し、オペレータのスキルに関係なく色の再現性を可能にしている。
 RNスマートパッケージング㈱は、次世代の包装資材ソリューションを紹介した。新製品では、リコーの独自技術による自動蒸通機能を有した包材である「スマレンジ」を出展。同製品は一般的な蒸気圧でフィルムを破るのではなく、内圧に依存しないマイクロ波で自然に穴が開く画期的な蒸通フィルム。その他では、紙素材でありながらガスバリア性、フレーバーバリア性、耐油性を有し、リサイクル性にも優れたプラスチック包材に代わる包装資材「バリアコート紙RESC(レスク)」や、フィルムや紙基材などへの直接印字が可能で、ラベルやリボンなどのサプライが不要な環境に対応した包装材『ラベルレスサーマル』などを出展した。

印刷関連会社からも出展相次ぐ

 ㈱サンユー印刷が出展したコードレスハンディ自動結束機『SAMURAI TOOL』は、PPバンド、エステルバンドを自動で結束できる製品である。ボタン1つで引締め、溶着、カットができ、バッテリータイプのためコードレス。重量も3kg前後と軽く、持ち運びできるのが特長だ。さまざまな梱包作業を短時間で行うことができ、人件費の削減にも貢献できる製品である。
 トキワ印刷㈱が製造・開発し、㈱日進堂印刷所が販売する植物性由来の原料を配合した環境配慮型の発泡緩衝材「ワンダーエコシリーズ」を出展した。自然素材を活かして製造されており、軽量かつ断熱性にも優れている。緩衝材としてだけでなく、保冷箱などさまざまな用途に利用できるのが特長である。「バイオマスマーク50」認定商品のため、環境問題に関心を寄せる顧客に対して訴求できる緩衝材である。
 特に『ワンダーエコ保冷BOX』は、外箱段ボール×内装材にワンダーボードを組み合わせた「減プラ保冷BOX」。内容物に合わせてサイズを設計できるのが特長で、外箱のデザインも自由設計が可能である。
 奥村印刷㈱は、同社の特許取得済み技術である「折り紙食器beak」シリーズを応用し、従来のパッケージに「ミシン目」と「折り曲げ用スジ」を施すことで、箱から皿へと変身する新製品『beakx(ビークス)』を紹介した。
 「beak」は、環境と防災に配慮した折り紙食器として好評を博し、世界に認められた技術として数々の公的評価や国際的受賞を得ている。現在、A4サイズのシート状食器として、丼、カップ、皿の3種類を用意している。
 beakxは組み立て式の食器になるパッケージで、レトルト食品などのパッケージが持つ「食べづらさ」という課題を解決している。従来のパッケージは開封後、中身を直接取り出すか、別の皿に移す必要があったが、beakxは糊やハサミを使わずに簡単に組み立てられるだけでなく、耐水性・耐油性を施した丈夫な皿として使用できるようになっている。そのため、アウトドアや災害時において「食品+皿」として機能する実用性を備えている。
 大阪シーリング印刷㈱は、「クリエイターが想いを形に」を出展テーマに掲げ、高透明ラベルや指紋が目立ちにくい封かんラベル、環境対応資材など、オリジナルデザインを可能にする製品やソリューションを出展した。
 食品・飲料メーカー向けラベル・包装資材、ラベラー機を出展し、製品の付加価値向上や現場の課題解決を支援することを訴求。パッケージについては、デザインから製造までワンストップで提供することをアピールし、オリジナル制作の相談・依頼を受けていた。

JAPAN PACK2025の技術動向と市場

 JAPAN PACK2025におけるパッケージ印刷分野を見ると、水性インクジェット印刷機による製造が目立っていた印象がある。今後は環境負荷の低減や小ロット・短納期対応、デジタル化の流れから導入が進むと思われるが、簡単には広がっていかないだろう。というのも、水性インクジェット印刷機の導入コストが高く、既存のグラビア印刷機からの置き換えが容易ではないからである。
 ただし、化粧品・医薬品・食品分野など、極小ロット市場やカスタマイズ性が求められる市場では、環境対応や多様化する消費者ニーズに応えるために水性インクジェット印刷機が強みを発揮する。クライアントに環境負荷への対応や短納期面で訴求し、売上増が見込まれれば、水性インクジェット印刷機の需要が伸びていくと予想される。先述の極小ロット市場やパーソナライズド市場で需要を喚起できるかが問われるだろう。あとはインクの定着性や素材対応などの技術面が改善されれば、導入増加の可能性がさらに高まるだろう。
 また、包装に新たな機能や価値を持たせるものとして、QRコード、AR、NFC(近距離無線)などの技術をパッケージに付加し、消費者がスマートフォンでスキャンすることで、製品情報、使用方法、製造ストーリーなどのコンテンツにアクセスできる「消費者エンゲージメントを強化する」動きが、今後増えてくることが予想される。
 さらに、トレーサビリティとサプライチェーンの最適化を図るために、RFIDタグやIoT対応のパッケージで、製品の現在位置、在庫状況、流通経路をサプライチェーン全体で追跡・管理し、効率化やロス削減を推進する動きも普及していくだろう。
 産業用包装資材は、製造業や物流業において製品の保護・保管、安全な輸送のために使用される梱包資材を指すが、近年では、環境負荷低減など多岐にわたる役割も果たすようになっている。印刷業におけるパッケージ制作も、製造業、物流業における産業用包装資材の一翼を担っていると言えるため、ビジネスとして捉えていくことが重要だと言える。

JAPAN PACK 2025 包装技術 Monthly Report