リードナーチャリングを事業に組み込むこと

 今回は、売上アップを仕組みで実現するCRMを提供しているカイロスマーケティング株式会社が、2024年4月16日に開催したマーケティング入門講座のオンラインセミナーの中で、同社営業部門長 佐々木将人氏が話したBtoBマーケティングの考え方、進め方についてのポイントを紹介する。佐々木氏はBtoBの営業においても見込み客を集めて購買意欲を高めるリードナーチャリングが重要だと指摘し、そのためには購買に至るまでのカスタマージャーニーを設計して、目標に沿ったマーケティング施策を展開することが大切だと話す。そして、成果を出すためには「リードナーチャリング」を事業に組み込む必要があると説いた。

レクチャーズ・ルーム 62

カイロスマーケティング株式会社営業 営業部門長
佐々木 将人 氏(講師)

 佐々木氏は、「BtoBマーケティングで獲得したリード(見込み客)のうちの75%は、すぐにはその商品の購入を検討しませんが、その75%をリードから放棄した場合には、そのうちの80%は2年以内に競合他社の製品を購入するというデータがあります。このことからリードを放棄することは非常にもったいないと言えるでしょう」と、リードとの繋がりを絶つことが機会損失になると述べる。
 「営業では、獲得したリードすべてに2年間連絡し続けて、競合他社から購入しないように働きかけても、時間も人手も絶対に足りません。その解決策として必要になるのが『リードナーチャリング』の視点です」と佐々木氏は説明する。リードナーチャリングとは、見込み客に対して継続的に接触を図り、購買意欲を高める施策である。「リードナーチャリングをしていかないと、見込み客からの反応が徐々に鈍くなり、機会損失が発生しやすくなります」と述べる。
 続いて「継続的に信頼をしっかりと獲得できるような取り組みをしていく」「お客様にとって有益な情報を提供していく」という2点が大切になるとし、リードの獲得と育成するナーチャリングはセットで考えていかなければならないと指摘する。しかし、BtoBマーケティングだけでは不十分で、営業からのフォローがないと成約まで繋げるのは難しいため、リードの獲得と育成、その後の営業をすべてセットで考えていくことが重要だと言及する。
 顧客の購買意欲が高まる様子を段階的に表して、一番低い購買意欲に対してはこの施策、次の段階はこの施策、その次の段階ではこの施策というようなマーケティング設計がある。また、顧客が商品を認知してから購入までどのような道筋をたどるのかという、購買に至るまでの流れ(カスタマージャーニー)に基づいて、ナーチャリング施策を展開するというのが一般的であると説く。
 しかし、このリードナーチャリングが企業の事業に貢献できているのかと言えば、実際はほとんどできていないのが問題であるという。そこで、事業に貢献するためのリードナーチャリングの3つの鍵として、1番目に「目標の設計」、2番目に「購買プロセスの設計」、3番目に「施策の設計」が重要だとし、この3つを順番に設計することが事業に貢献できる地に足がついたマーケティング施策になると指摘する。
 リードナーチャリングの目標を設計する時の基本は、短期、中期、長期の目標を個別に考えるのがポイントである。短期(取り組みの開始から約半年)は活動目標を設定、中期(半年から約1年半)は中間指標を設定、長期(1年半以降)は成果指標を設定する。各期間によって異なる目標を設定するのが重要であるという。
 「短期ではとにかく頑張ってBtoBマーケティングを運用できるようにすることです。運用ができるようになれば、中期の目標としてPV数、ウェビナー申込者数の目標値を掲げていきます。その目標がクリアできるようになったら、長期の目標に移行していくのが道筋になります」と、佐々木氏は話す。
 「お客様とはどのような人(企業)で、どのようなプロセスを経て当社の商品を購入するのかを、明確に定義しないと、信頼を獲得できるコミュニケーションを築くことは難しいです。そこで重要になるのが、ペルソナの設定とカスタマージャーニーです」。そして、リードナーチャリングの施策をマーケティングの中に取り込み、マーケティング自体が事業に貢献できるものにしていくことが、見込み客からの信頼と購買意欲に繋がり、最終的に商品を購入してくれる顧客になると、締めくくった。

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