資料・文書作成で「伝わる」デザイン術を指南

GCJ主催、GC九州主管の人材教育セミナーが、2月5日(木)午後4時~6時までオンラインで開催された。講師に株式会社モリサワのセールスマーケティング課チーフの橿本浩貴氏を招き、「『伝わる』が企業を強くする フォントで変わる資料デザイン術」をテーマに、資料の質はセンスではなく再現可能なスキルが求められ、特にフォントの選び方、使い方が重要だと説いた。資料の伝わる力は企業の提案力やブランド力を底上げするものである。橿本氏は、あらゆる資料・文書作成を行う業界人に向けたレイアウトの基本・ノウハウを伝授した。特に営業などの非デザイン職や業界に入ったばかりの新人に役立つセミナーとなった。

レクチャーズ・ルーム 75

株式会社モリサワ
セールスマーケティング課チーフ
橿本 浩貴 氏(講師)

 橿本氏は、顧客へのサービスが理解されていない、プレゼンしても上手く伝わっていない、会社のチーム内でプロジェクトが共有されていない、といった場面での「伝わらない」という状態は、企業にとって大きな機会損失を生むと指摘する。そして、「『伝わらない』と、人に選んでもらえません。人は取得する情報の8割を視覚が占めていると言われています」と、視覚の重要性を訴える。
 「伝える」と「伝わる」の違いについては、「『伝える』は自分の物差しで考え、話す、見せる表現で、一方、『伝わる』というのは、相手のことを思い、正しい伝え方のスキルで表現することです。そのためには情報の優先順位をつけて、ビジュアルで表現することが重要です」と述べ、興味を示してもらえるビジュアルにすることを強調する。
 世の中のコンテンツは、文字が占める割合が6割~8割あるとのこと。つまり、伝わるために改善すべき表現の大半が文字になるというのだ。文字と言えばフォントであるが、フォントを選ぶ時に大切なことは、読む相手の環境を思って選ぶ必要があると指摘する。「2040年には2.8人に1人が高齢者となり、老眼や白内障のリスクが増えてきます。作り手には読みやすい文字であっても、3人に1人は読みづらいということになります」と、人によって見え方が異なるため文字選びは重要だという。
 そこで読みやすいフォントとして、モリサワのユニバーサルデザイン(UD)フォントを紹介する。情報の優先順位を付けて、「フォントはそのまま使う」「情報のメリハリは文字サイズとウエイトを活用する」「読みにくい時は、行間・字間を疑う」の3つを実践することを提示し、フォントのバリエーションはウエイトで表現することを推奨した。
 次に、それらのノウハウを使った事例を示しながら解説した。特に行間については、行の長さに応じて調節することを勧める。橿本氏は、Wordにおける行間の設定方法を伝授し、本文の文字間については、ベタ組みにするのが読みやすいと言及する。
 続いて、フォントの色使いに移り、基本的には背景色1色(白)、文字1色(黒)、強調色2色(補色)の4 色を使うことを提唱する。「強調色の2色はどうやって選んでいけば良いのか、迷われる場合があると思います。その時は色と色の変化を繋ぎ合わせた色相環という図を見て、対角線上の色、例えば黄色を使う場合は、一方は紫色を使うわけです。これを補色と言います。補色は正反対の関係性になるのでお互いの色を目立たせる効果があり、メリハリのある色使いができます」と、色相環で補色の使い方を示す。
 最後は図形について言及し、図形は余白を均等に意識して使用するよう促す。文字を囲む図形については「派手なデザインは安っぽく見えてしまうので避けるのが得策です。ビジネス文書ではシンプルなデザインがお勧めです。また、文字の余白を確保すれば文字情報が伝わりやすいです」と説く。
 橿本氏は、実際に改善した資料について解説。見直しポイントとして、「プレゼン資料として適切な体裁は?」「大事なメッセージは?」「図は何を表している?」といった点に触れ、改善点を促し、ブラッシュアップすることを提言する。
 
 1. 伝わる状態を作るためのノウハウを知る。
 2. 資料作りを情報発信力とブランド力の基盤づくりと捉える。
 3. フォントの持つ役割と機能を知る。

 そして、「相手のことを想い、伝える」、「文字・レイアウト」、「相手に伝わる=目的に近づく」という点を伝授し、セミナーを締めくくった。

ユニバーサルデザイン フォント