インターネット広告費編
データは語る
広告の主流は紙媒体からインターネットを介したデジタルに
電通によると、2025年の日本の総広告費は8 兆623億円となり、過去最高を記録しました。そのうちインターネット広告費は、50.2%の4兆459億円(前年比110.8%)となり、初めて総広告費の過半数を超えました。企業の広告投資の中心がインターネットを中心としたデジタルへ移行していることが分かります。
過去10年間(2015年~2025年)の広告費を見ますと、コロナ禍の2020年、2021年を除いて堅調に伸びています。しかし、新聞広告費は約45%減、雑誌広告費は約54%減と、大幅に減少しています。インターネット社会になった以上、紙媒体の広告制作に携わっている印刷業者にしてみれば、如何ともしがたい流れと言えるでしょう。
特にインターネット広告費の伸びは急速で、2020年からの5年間で約1.8倍に拡大しており、広告市場の中で最も成長している分野です。インターネット広告費は大きくインターネット広告媒体費(3兆3, 093億円)、インターネット広告制作費(4,922億円)、物販系ECプラットフォーム広告費(2,444億円)の3つに分けられます。
インターネット広告媒体費の内訳をみますと、検索連動型広告費が1兆2,814億円で、媒体費全体に占める構成比は38.7%となっています。次にビデオ(動画)広告費が1兆275億円(同31.1%)、3位がディスプレイ広告費8,449億円(同25.5%)、4 位がその他のインターネット広告費856億円(同2. 6%)、最後が成果報酬型広告費699億円(同2.1%)という状況です。
因みに、4位の「その他のインターネット広告費」とは、Webメディアやニュースサイトと連携した「タイアップ広告(記事広告)」、メルマガや本文内の末尾に掲載される「メール広告」、インターネットラジオやポッドキャスト、音楽ストリーミングサービスなどの合間に流れる「オーディオ広告」などです。
このようにインターネット広告は今後も伸展していくと見られていることから、紙媒体を印刷する印刷業者にとっても無視するわけにはいきません。顧客のことを考えれば、紙媒体とインターネットを使って、顧客の販促を最適な方法で企画・提案していく必要がありますし、両者を連携させて効果的に展開していくことが望ましいわけです。
紙媒体とインターネットを連携させる方法として、まず考えられるのが、紙媒体にQRコードを付加しWebに誘導する方法です。弊誌でも「わが社の人財活用」で、QRコードを作成・掲載し、誌面の会社のホームページや商品ページに誘導しています。
このQRコードは、上記以外にも動画広告、ECサイト、資料請求、来店予約フォーム、ランディングページなど、さまざまなWebコンテンツに誘導できますから、ニーズがあれば大いに活用したいものです。
消費者データを扱うインターネット広告は費用対効果が高い
このようにQRコードは販促や集客の一役を担っていることから、既に取り組んでいる印刷会社も多いでしょう。ただし、まだまだ顧客に対して企画・提案されていないケースもあるはずです。
次に、紙媒体とWeb広告を同時に企画し制作する展開があります。
これは紙媒体だけでなく、新たにWebコンテンツも企画し制作していくものです。例えば、新商品や新サービスのキャンペーンをする際に、Facebook 広告、Instagram広告、X 広告、Google広告などで配信するというものです。紙だけでは届かない若年層にアプローチできるということで、今後需要が拡大すると見られています。
また、非常に効果が高いとされているのが、リターゲティング広告です。これは過去に一度、自社のWebサイトやアプリにアクセスしてきた人を追いかけて表示する広告です。最初にユーザーの訪問を記録する「タグ」を取得し、Webサイトに設置することから始めます。例えば、ネットショッピングで、ある商品を一度チェックし離脱した人に対して、再アプローチを促す広告です。ゼロから新規ユーザーを獲得するよりもコンバージョン率がかなり高くなることから、広告効果が向上し、費用対効果の高い手法とされています。
さらに、エンドユーザーのデータを活用したもので「パーソナライズDM+Web広告」があります。これは、性別や年齢、購買履歴、地域などによってDMの内容を変更し、そのユーザーに合わせたWeb広告も表示するという手法です。これにより一人ひとりに最適化した販促が可能となるため、広告効果が高まるとされています。
インターネット広告市場は、T Vや新聞・雑誌などのマスメディアからシェアを奪いながら拡大を続けています。消費者のメディア接触はスマートフォンが中心で、これは若年層に限らず、50代以上のシニア層まで利用が広がっています。そして、広告もあらゆる場面でデジタル化に移行しています。
印刷業者は、単に紙に印刷するビジネスモデルから脱却し、インターネット広告の強みを取り入れたり、逆にデジタルには真似できない紙の強みを尖らせたりする戦略が求められています。

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