パソコンの定型業務をRPAで効率化

ビジネス講座 @Random
業界関係者に贈る (56)

注文・在庫管理、納品スケジュールなどの煩雑な業務を自動化

 定型的なパソコン操作をソフトウェアのロボットが自動化することを「RPA(Robotic Process Automation)」と言います。既にご存じの方も多いと思いますが、実際に印刷会社で導入している企業はまだまだ少ないのが実態です。しかし、単純で技能を必要としない定型業務の自動化は、コスト削減の意味からも重要であり、取り組むべき分野と言えるでしょう。これまで人手を要していたパソコン業務は、RPAによってさらに効率化され、コスト削減が実現できるわけですから、RPAを利用しない手はないと言えます。
 RPAは反復性が高い事務作業の自動化に適しています。ヒューマンエラーを防ぎ、生産性を向上させることができる点がメリットで、主に一般事務の仕事に導入されています。
 印刷業においても、RPAを利用することで、注文管理、在庫管理、納品スケジュールの調整などの煩雑な業務が自動化でき、ミスの削減や作業操作の迅速化を実現することができます。例えば受発注業務で使用する場合は、メールで届いたPDFの注文書から必要な情報を抽出し、社内の印刷業務管理システムや受注管理システムに転記する作業を自動化できます。また、印刷の進捗状況を顧客に自動でメール通知することも可能です。
 AIとRPAを駆使して業務効率化と生産性向上で成功している事例としては、北海道に本社を構えるT社があります。同社では毎年年末に年賀はがきの制作を大量に受注するのですが、今までは手書きの申し込み用紙に記入されたものを手動で入力し、印刷物作成ソフトに落とし込むという作業をしていたのですが、大変な手間と作業時間が掛かっていました。そこでAI-OCRというAIとRPAを連携させたシステムを構築・自動化し、大幅に作業時間を短縮することを実現したのです。
 同社のRPAによる仕組みは、申し込み用紙をスキャンするだけで、手書き文字の読み取り、Excelへのデータ入力、デザイン作成ソフトへのデザインデータの取り込み、文字組版という工程を完了することができます。スキャン後の作業は文字校正と細部のレイアウト調整のみなので、作業時間が大幅に削減されたとのことです。
 このような注文処理を自動化するために、RPAを導入する印刷会社は少しずつ増えています。オンラインで受注した発注情報をRPAで自動収集し、製造部門への指示まで自動化するケースも増えつつあります。
 また、在庫管理に関するものでは、印刷会社ではありませんが、ECサイトからの受注データと実店舗の在庫データをRPAで自動的に連携させる仕組みを構築している企業があります。このシステムは印刷会社においても、顧客の印刷物を自社の印刷工場内で預かったり、印刷インキや印刷用紙の在庫管理にも活用したりできるでしょう。このように、在庫監視や再発注の工程を自動化するケースで、RPAの導入が増えています。
 さらに、印刷会社ではデザインデータの初期チェックをRPAで行うことも可能です。データの不備や不足を即座に検出し、校正時間の短縮化、短納期化を可能にします。

PC業務を見直してRPAで自動化が可能かを検討する

 その他では、顧客からの問い合わせやクレームに対する対応をRPAで効率化することも可能です。ただし、RPAを導入する際は、その目的を明確にして、自社の業務に合ったものを選定しなければなりません。せっかく導入しても使われないまま放置される状況になってしまっては意味がありません。まずは、どんな業務にどれくらいの時間が掛かっているのか、どんな作業が非効率・非生産性なのかを洗い出し、RPAで解決したい課題をリストアップすることが重要です。
 印刷会社で導入が検討されるRPAツールをいくつか紹介すると、まず、NTTグループが開発した純国産の「WinActor」は、Excel やWord などのオフィスソフトやWebブラウザの操作に強く、印刷業務にも使えるツールになっています。また、世界的に高いシェアを誇る「UiPath」は、大規模な基幹システムとの連携や、複数の部門にまたがる複雑な業務プロセスを自動化できるツールで、導入Streamlining routine PC tasks with RPA.には会社の規模が問われます。さらに、デスクトップ型の「RoboTANGO」は比較的安価のRPAツールで、特定部署のパソコン作業を自動化するのに向いており、RPAを試してみたい小規模印刷会社のスモールスタートに適しています。発送伝票や印刷管理システムの作業を自動化する際に効果を発揮します。
 印刷会社の一般事務の仕事は多種多様です。郵便物・宅配物の送付、電話応対などは人が行わなければなりませんが、ファイリング、データ入力、備品管理、経費精算、請求書の作成・処理などは、パソコン上の定型作業にできます。それらの定型作業をRPAで自動化していくことは、これからの印刷会社における課題の1つと言えるでしょう。今一度、社内のパソコン業務を見直して自動化できるものがないかを探し出し、RPAで自動化することで業務効率化や人件費削減に繋がるかどうかを、検討してみてはいかがでしょうか。

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