新規開拓営業における見込み客づくりの手引き

ビジネス講座 @Random
業界関係者に贈る (54)
見込み客を「集めて・選んで・調べる」
営業手法は、得意先を対象としたルート営業、顧客からの紹介営業、ホームページからのオンライン営業などいくつかに分かれますが、多くの印刷会社は固定客を中心としたルート営業が主流ではないでしょうか。しかし、既存顧客が廃業した場合の備えや他社との競争力向上、事業拡大を図るためには、新規開拓営業を行っていく必要があります。そこで今回は、新規開拓営業でも見込み客づくりとアポイントの取り方に絞って言及します。
新規開拓営業の準備段階として、①「できるだけ多くの見込み客リストを作る」、②「集めた見込み客を精査し選別する」、③「事前に見込み客を入念に調べる」、といった見込み客づくりを行う必要があります。
①の「できるだけ多くの見込み客リストを作る」では、見込み客を集める方法は多種多様ですが、アナログ手法としては、1. 地域の企業や店舗に赴いて名刺交換を行う。2.印刷関連の展示会や販促・マーケティング関連の展示会に出展・見学して、来訪者と名刺交換する。3.地元の法人会や異業種交流会に参加し名刺交換や媒体制作に関する情報を収集する。4. 各種セミナーへ参加したり、自社でセミナーを開催したりして来場者と名刺交換する。といったことが考えられます。
地域の企業や店舗などに、印刷物制作を受注している主旨のチラシを配布することも考えたいものです。要は営業用のチラシを作って郵便受けに投函するわけですが、商圏をある程度限っている印刷会社の場合は有効と言えるでしょう。
また、デジタルコンテンツによる見込み客の集め方では、1. ホームページに相談・問い合わせ欄を設けてコメントをもらう。2.見込み客が興味を持つ情報をホームページに掲載しアクセスを促す。3.LinkedInのようなビジネス特化型のSNS を使って見込み客になりそうな企業を検索し、コンタクトを取る。4.見込み客の属性や興味関心に合わせたWeb広告を配信し、クリックした見込み客をホームページに誘導して情報収集や問い合わせを促す。5.ホームページ内にホワイトペーパーや事例集など、見込み客に有益と思われる資料を作成し、ダウンロードを促す。といった施策が挙げられます。
見込み客はランク別に分けて効果的にアプローチしていく
次に、見込み客の情報をデータベース化する必要があります。見込み客のリストは専用ツールを導入して作ることもできますが、Excelでも十分対応可能です。一度フォーマットを作ってしまえば入力するだけで済みますから、コストをかけずに作成することが可能ですし、Google Driveを活用すれば、営業部門でリアルタイムに情報共有することができます。
見込み客リストのフォーマット制作や入力の仕方については、既に各企業で独自のシステムを使って行っていると思われるため、ここでは割愛しますが、先述のExcelで作った見込み客リストでは、顧客情報や営業の進捗状況を入力し活用するには改良や再構築しなければ、運用が難しい可能性があります。営業リストとして営業担当者全員がアクセスし、詳細な情報を可視化するためには、いわゆる顧客管理システム(CRM)や、顧客情報の入力・管理から営業活動の進捗状況まで実現できる営業支援ツール(SFA)といった、より高度なシステムを導入するのが良いでしょう。
それらのツールを導入したら、見込み客とどんな話をしたのか、コミュニケーションの内容を入力し、最適なタイミングで企画・提案が行えるような仕組みを作ります。
②の「集めた見込み客を精査し選別する」は、効率的な営業を行う上で必要なことです。例えば、展示会やセミナーで名刺交換した際に、印刷物の課題や問題点について話をしてくれたり、相手からアプローチがあり印刷物の状況を話してくれたりした場合は「A ランク」、こちらがアプローチしたら名刺交換し、自社の印刷物の状況について少し話してくれたという場合は「Bランク」、名刺交換しただけで終わった場合は「C ランク」というように、見込み客を選別します。ランクごとに最適なアプローチを行っていくわけです。
具体的には、Aランクの見込み客には、その場でより詳しい印刷物の状況をヒアリングしたい旨を伝えて、訪問日時のアポイントを取り付けるのが肝要です。その場でアポイントが取れない場合は、翌日に電話かメールでアポイントを取るようにしましょう。
Bランクの見込み客についても、詳しい状況について話を聞きたい旨を伝えて、アポイントを取り付けるようにします。Cランクの見込み客は、DMを定期的に送信し関係性を維持するように努めましょう。
AランクやBランクの見込み客とアポイントが取れたならば、③「事前に見込み客を入念に調べる」ことになります。これは、見込み客の業種やエンドユーザーの特性に基づいて、最適な媒体や広告宣伝手法を提案するために不可欠な過程です。見込み客のホームページを閲覧し、商品のチラシやパンフレットはどのようなデザインになっているのか、あるいはホームページは有効に働いているのかどうか。また、どの部分で改善が望めるのか。新たな媒体づくりを提案できるように事前に調べておくわけです。これらは重要な営業活動になりますから、できれば見込み客すべてについて調べておくことをお勧めします。
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