株式会社内外プロセス■顧客ニーズに応えて業態をデジタル化
DTP、製版、色校正を主体に、「色彩と文字のプロフェッショナル企業」を謳っている株式会社内外プロセス。昨年、執行役員社長に就任した森真一社長は、動画制作やCG制作など新たな分野にも力を入れ、デジタル化を一層進めている。また、持続可能な経営を目指してSDGsやBCP対策にも取り組んでいる。事業内容を中心にビジョンなどについて話を伺った。
若い社員の発想と力でビジネスを展開する
株式会社内外プロセスは、1972年に設立し、製版・色校正を中心に事業を展開してきた。近年はDTP、オンデマンド印刷、電子書籍・Web制作、ソフトウェア開発等にまで業務を広げている。同社ではデジタル製版のニーズが増えてきている今日、デジタル志向をさらに強化していく方針を打ち出し、昨年4月、営業部長だった森真一氏が手腕を買われて、谷口邦雄社長(現代表取締役会長)から指名を受けて社長に就いた。
「従来の仕事のままでは世の中のデジタル化の動きについていけないと考え、若い社員たちの発想や力をもっと前面に出して、デジタル技術の活用に注力していく必要があると考えました」と、森社長は言う。
製版・色校正業務で顧客から厚い信頼を得ている同社は、2017年に富士フイルムの「Jet Pr ess 720S」を導入。データとデバイス側でカラーマネジメントを確立し、高品位の本紙色校正を納品してきた。さらに2021年5月に、同機にバリアブル印刷機能を搭載し、校正刷りだけでなく、多品種小ロットの印刷物も提供するようになった。
「厚紙、薄紙、上質紙などを使用した、品質にこだわりがある小ロットカラー物について、Jet Press 720Sでの印刷が増えています」とのことだ。
「またRGB印刷をはじめ、高品質なレタッチやスキャニングなどの画像処理技術を施し、お客様に付加価値の高いサービスを提供するようにしています」と、森社長。アナログ製版技術にデジタル画像処理のノウハウを付加している。
また、新たな商材として、オリジナルのアクリル製品を中心にノベルティやお土産商品といった製品を提供するなど、製版技術をアクリル印刷にも生かしている。
得意先は、広告代理店や印刷会社が多い。カタログ類やパッケージの色校正、及び製版業務を主軸としながらも、DTP 制作も得意分野で、大量ぺージの出版物の編集組版も手掛けている。学習参考書・教材のDTP 制作は、出版社や編集プロダクションから仕事を請け負っているという。お客様のニーズに合わせて、グループ会社の株式会社オンソノと協業のもと、取材・執筆・編集から受託しているケースも少なくない。
SDGsやBCP対策で持続可能な経営を
また、「ネット販売の普及でデジタルカタログが使用されるケースが増えている背景もあり、Web用の画像処理やコンテンツ制作、ECサイトの構築・運営にも取り組んでいます」と、Webビジネスにも意欲的だ。
新たな製品として、グループ会社の内外インキ中国販売株式会社が販売している、印刷会社向け工程管理システム「NIIT」の開発も担っている。同システムは、元々同社が社内で使用していた工程管理システムであるが、「コストの問題や自社の業務に合ったものが無いという理由で、導入していない印刷会社に販売しています。自社開発なので、低料金で提供できていることが、お客様に採用いただけている要因の一つでは」とのことだ。
簡単な操作で営業から工場まで全体の仕事の進捗状況を可視化し、作業指示書をデータ化して、ミスや印刷事故、作業の属人化を防止できるのが特徴である。
さらに同社は、今年3月に優良な健康経営を実践している法人として「健康経営優良法人2023」に認定された。具体的には、オフィスでの予防接種・健康診断、時差出勤制度、社内クラブ活動など、社員の健康増進に努めている。これはSDGs：3の「すべての人に健康と福祉を」に当たるものだ。他に気候変動への対策、災害のリスク計画も実践し、令和3年度の「事業継続力強化計画」の認定を取得した。
「岡山県は2018年7月に西日本豪雨で多大な被害を受けました。弊社は直接的な被害には遭わなかったのですが、近くに河川があるため、自然災害から社員と設備を守る必要性を改めて感じました」と、2022年にBCPの策定も行っている。
「今後はデジタル化をさらに加速させるつもりです。これまで培った経験に、AIによる業務効率の向上化などデジタル分野の知見を融合させて、お客様の期待に応えられるサービスを展開していければと思っています」と、森社長は抱負を述べた。
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