ソーシャルメディアマーケティング編

データは語る

5年後には商業印刷
市場規模を超える!?

 ソーシャルメディアマーケティング(以後、SMM)は、企業にとってブランディングやPRにおいて大きな効果をもたらすマーケティング施策として活用されています。企業によるSNSの活用は、顧客のリアルな声を聞いて顧客との距離を縮め、商品やサービスのファンになってもらうことが最大の目的になります。要は見込み客を作り、売上に繋げていくためのマーケティング施策として利用されています。
 SMMを主な事業にしている株式会社サイバー・バズ  とデジタルマーケティングの調査・コンサルティング・メディア運営を行っている株式会社デジタルインファクト  が行った、2022年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査によると(2022年11月発表)、2022年の市場規模は9,317億円になりました。これからもかなりの市場規模に成長していることが分かるわけですが、2023年には1兆899億円と1兆円の大台に乗り、前年比117%になると見込んでいます。
 また、この勢いで推移すると、2027年には2023年比で約1.7倍の1兆8,868億円に達すると予測していますが、これは前年比約115%の一定の伸び率で示しています。デジタルマーケティングが今後も伸び続けていくでしょうから、SNSの伸び率が鈍化するのか、逆にさらに伸び率が向上するかは何とも言えませんが、いずれにしてもSMMの市場規模が拡大していくことは間違いないと言えるでしょう。
 同調査では、企業がソーシャルメディアを活用したマーケティングを目的とする年間支出額を「ソーシャルメディアマーケティング市場」と定義としていますが、電通が発表している2022年の商業印刷市場が1兆7,750億円ですから、5年後にはSMMの市場規模が商業印刷市場の規模を上回ることになります。
 印刷業界にとっては由々しき事態と言わざるを得ませんが、デジタル化社会では時代の流れとして受け入れるしかないのでしょう。そうであるなら、印刷業界も積極的にSNSを取り入れて、自社の集客やブランディングに活用し、売上増に繋げていくしかありません。
 SNSの市場拡大の要因は、インターネットの普及、スマートフォンの普及、ソーシャルメディアの機能と利便性の向上、ソーシャルメディアの種類が増加したことが挙げられますが、そこに目を付けた企業がソーシャルメディアをマーケティング施策に活用するようになったのは、低コストでしかも即座にユーザーとコミュニケーションが図られて反応を知ることができる点が大きいからです。特にOne to Oneマーケティングでは有効な手法と言えます。

SNSを使っている社員
を担当者にする

 SNSを利用すると、ユーザーに商品やサービスを認知してもらう機会が多くなります。しかも、発信している情報が、ユーザーにとって心地良い、役に立つ、欲しいと思っていたタイミングと合えば、その商品やサービスを好ましいと思い、購入に繋がりやすいわけです。しかも、スマートフォンなどのデジタルデバイスからアクセスされると、企業ではデータが蓄積され、以後、顧客情報としてさまざまなマーケティング施策に活用できます。これが印刷媒体にはないデジタルマーケティングの強みです。
 しかし、SNSでは企業の一方的な情報発信は嫌われがちです。そこを上手くユーザーとコミュニケーションをとっていくためには、その企業に好意を持っているユーザーや既存顧客、問い合わせをしてきたユーザーが、自らSNSで発信しているのが分かれば、企業側もアクセスし、直接お礼のコメントをしたりして「アクティブコミュニケーション」を行うことが施策として重要です。つまり関係性を維持していくことで、リピーターになってくれる可能性が出てくるからです。
 このように、企業はソーシャルメディアをマーケティングチャネルとして活用することを重要視するようになったわけですが、この傾向は今後も続いていくことでしょう。
 今やSNSは、企業がターゲットオーディエンス(企業が広報活動を通じて情報やメッセージを伝えたい対象者)にリーチし、ブランド認知度や売上を向上させるための強力なツールになっていることを印刷業界も認識しなければなりません。そして、印刷会社も自らSNSを利用して集客や販促を展開し、積極的に活用していくべきです。
 またSNSは、見込み客、既存客からのフィードバックを得て、商品やサービスの改善を行うためのプラットフォーム機能としても利用価値はあります。
 とは言っても、経営者自らがSNSで情報発信するのは未経験からでは抵抗があるかもしれませんから、普段SNSを利用している社員を担当者にして、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを使って商品やサービスなどの販促、ブランディングを行ってみてはどうでしょうか。新たな可能性を見出せるかもしれません。

ブランディング Webマーケティング 月刊GCJ