リスキリング編
データは語る
技術の進歩についていけない不安はある
仕事で新たに必要となるスキルや知識を習得するために学ぶことをリスキリングと言います。昨今では新しいスキルを習得し、変化する市場に適応するプロセスのことを指すようになりました。
今やリスキリングは、あらゆる企業で必要とされており、特にデジタル化やIT化に必要な知識や技術習得が求められています。印刷業界も然りで、DXに対応するためのプログラミングやデータ分析、AIの活用などのスキルから、顧客ニーズを理解し商品やサービスを効果的にプロモーションするマーケティング力、顧客に対して適切なアドバイスを提供し、ビジネスの成長を支援するコンサルティング力などのスキルを身につける必要が出てきています。これらのスキルを身につけることで、変化する市場に対応し、新しい価値を創造できる業態変革が望めるようになるでしょう。
デジタルメディア運営を行うインターグ株式会社では、2024年1月に22歳~60歳までを対象に「リスキリングに関する意識調査」をインターネット上で行いました(有効回答500名)。
その結果、リスキリングについて知識があると回答した人が2割で、その他の8割はリスキリングについて知識がないと回答しました。リスキリングとは前述したように、いわゆる「新しいスキルを学び直す」ということですが、カタカナ語であり定着した言葉とは言い難い上に、仕事に携わっていない年配の人には通じません。ですから、大多数の人が理解していないのが実態です。
また、「あなたはリスキリングが重要だと思いますか?」という質問で、「はい」と回答した人は33%と全体の3分の1程度しかいませんでした。「いいえ」と答えた人が13.2%、「よくわからない」が53.8%となり、いかにリスキリングが認識されていないかが窺えます。
もちろんビジネスに携わっている現役世代に絞れば、リスキリングの重要性を認識している人が多くなるでしょうが、一般的にはまだまだ知られていない言葉だということが分かります。
そこで「リスキリングが重要だと思う」と回答した人に「将来的に新たなスキルを身につける必要があると思う理由に当てはまるもの全てにチェックをつけてください」と質問したところ、最も多かった回答が「技術の進歩についていけなくなるのが怖いから」(47. 27%)でした。
2位が「キャリアの選択肢が広がるから」(40%)、3 位が「仕事の競争が激化しているから」(30. 91%)、以下、「興味があるから」(27.27%)、「職場での成功のために新しいスキルが必要だから」(24.85%)と続きました。
リスキリングの重要性を訴えサポートする
最も多く回答があった「技術の進歩についていけなくなるのが怖いから」というのは、今後、職場でデジタル化やIT 化が一層進行し、コンピュータやインターネットを使いこなす仕事が増えてくることから、それを使いこなす必要性に迫られているという危機感からくるのだと思われます。また、スキルを身につけなければ仕事を失い、キャリアが閉ざされる不安もあるため、リスキリングの必要性を感じているのだと思われます。
では、印刷業界はどうでしょうか。社員が自らリスキリングを積極的に行うケースは少ないと考えられますから、企業がデジタル化やIT化を進めていく上で、リスキリングの必要性を伝えてキャリアパスを明確にすることが大切です。
具体的には、リスキリングが社員のキャリアにどのように役立つかを説明し、新しいスキルを身につけることでどのような役職に就けるかを明確にすることが求められます。また、新しい技術を習得した社員に対しては、昇給やボーナス、昇進の機会を与えることでリスキリングの意欲を高めることも効果的でしょう。
また、リスキリングは一度だけのものではなく継続的に行う取り組みです。そのため、リスキリングの進行度合いを見定めてトレーニングのサポートを行ったり、社員がリスキリングで得た新しい技術を活かせる仕事を担当させたりすることで、成果を実践に繋げることができます。さらに、リスキリングを重視する企業風土を作っていくことも重要です。経営者が先頭に立ってリスキリングの重要性を社内に広めて、社員が自発的にリスキリングに取り組む環境づくりを行いましょう。
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