Z世代の仕事観編
データは語る
若い世代はIT化・デジタル化を望む
あらゆる業界で若い人材を確保する必要が出ていますが、少子化が進みますます若い世代の採用が困難になってきました。しかし、会社を存続させていくためには次世代を担う若い世代を雇用していかなければなりません。印刷産業も然りです。いかに若い世代にマッチした働き方改革を実践していくことが問われています。
これまで人材採用では、経営方針と企業風土に合った人材を採用していくのが一般的でした。しかし、15歳から24歳に当たるZ世代の若者については、既存の採用方法で雇用することが難しくなっています。採用に成功するためには、それ相応の組織体制やルール作りをしてZ世代を迎え入れる姿勢が求められてきます。
紙の本の読書離れが著しい世代を、いかに紙の印刷を事業にしている印刷業界に引き込むかがテーマですが、有能な人材になればなるほど業界の将来性を危ぶみ、応募を避ける傾向にあります。解決策としては、Z世代に合わせた新事業への着手が必要かもしれません。
Z世代はデジタルネイティブと言われ、常にネットを利用した生活を送っていますから、当然、仕事もネットを駆使したビジネスに関心があります。そのため、新しいデジタルツールの導入は不可欠になってきます。
Z世代は個々の多様性を重視しており、ダイバーシティ、ジェンダー、SDGs などへの理解が進んでいて、中高年世代以上に受け入れる傾向があります。また、常識にとらわれない自分の価値観を重視するという特徴もあります。
若者サイドに立ったマーケティング施策を展開している株式会社SHIBUYA109エンタテイメントがZ世代を対象に、Web調査とマーケティング機関「SHIBUYA109Lab.」独自のネットワークによるインタビューを通じて「Z世代の仕事に関する意識調査」を行ったところ、企業がデジタル化できていないことを不本意に思っていることが如実に出ました。
この意識調査で「自分の勤め先で『古い』『遅れている』と感じることをすべて教えてください」(複数回答)という設問に対して、最も多かった回答が「IT環境・電子機器関連(機器の古さ、対応の遅さなど)」(31.9%)で、次に「業務の電子化(ハンコ・経費・書類申請など)」(27.0%)となり、1位と2位は印刷業界にとってはグサッと刺さる回答となっています。以下、「働き方(リモートワーク・労働時間など)」(22.4%)、「評価制度(昇進・人事評価など)」(19. 7%)、「SNSやデジタル施策への考え方」(18.0%)と続き、上位では4位の「評価制度」以外は、企業のIT化やデジタル化の遅れに関する項目が並び、デジタル化できていない職場環境に“イライラ”を感じている感が見て取れます。

安定していて給料の良い会社を求める
複数回答のためか、他の項目も一定数回答があり大きな差はありませんが、インターネットを通じてデジタル機器と常に接して仕事をすることに高い関心を持っていることが窺えます。
そうなれば、IT化やデジタル化が進んでいる企業を就職先や転職先に選ぼうとするのは当然と言えるでしょう。Z世代を採用したい企業にとっては、デジタルな職場環境を構築することは必須と言っても過言ではないでしょう。
これからの人材採用では、Z世代と向き合っていくしかありませんから、Z世代の仕事観を知って対処していくしかありません。「マイナビ2024年卒大学生就職意識調査」によると、企業を選択する場合にどのような企業が良いのか聞いたところ、「安定している」が約半数を占め、安定志向にあることが分かりました。斜陽産業にみられている印刷産業で、しかも中小企業に就職してもらうためには、業績が安定していることが必須です。また、近年は「給料の良い会社」を選ぶ新卒者が増えています。昨今の物価や社会保険料の高騰が、給料の高い企業を重要視する理由となっているようです。
Z世代全体の就職観は、「楽しく働きたい」「キャリアに夢中になれる仕事がしたい」「柔軟な勤務体系」「テクノロジーの活用」「SDGsやCSRに積極的な企業」などを挙げており、これらに対応している企業を求めています。これらの働き方改革を推進していくことは、単にZ 世代の採用に応えるためだけでなく、持続ある経営を目指していくためにも取り組んでいかなければならないと言えるでしょう。
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