得意先と強固な関係を築いて安定経営を目指す

品川プロセス印刷株式会社は、1954年に写真製版業で創業し、1971年に現在の法人組織となって、今年で創業70年を迎えた。企画からDTP制作、印刷物、各種販促ツールまでさまざまなアイテムを手掛けており、地元企業を得意先に安定した経営を続けている。太田社長に事業内容を中心に話を伺った。


品川プロセス印刷株式会社

〒461-0015
本社:愛知県名古屋市東区東片端町52番地

代表取締役
太田 善久(GC中部)

地元企業と50年以上にわたり取引を維持

 品川プロセス製版社で創業した同社は、謄写版でスタートし、やがてオフセット印刷機を導入し印刷業に参入。1971年に現在の品川プロセス印刷株式会社に改称し、総合印刷会社として事業を展開している。
 太田社長は大学卒業後印刷会社に就職し、活版印刷時代から印刷に携わってきたパーソン。アナログからデジタルへの移行でデータ送信の時代となり、生産の効率化が求められ、ワークフローをデジタルに変革してきた。5代目となる太田社長は「顧客のニーズに応えていくには何ができるのかを常に考えて、新技術やアイデアを提案していくようにしています」と、経営方針を話す。
 同社では専門スキルを持った外部のパートナーと協力し、企画・デザインのDTP制作から、CG制作・写真撮影・映像撮影・動画編集など、紙媒体からデジタルコンテンツまで仕事をこなしているのが特徴である。
 近隣に工場を保有し、オフセット印刷機を設置しているが、多ロットの印刷物等で自社では対応しきれない場合は、パートナーの印刷会社に外注している。
 顧客は地元企業が主体で、得意先は長年取引がある大手企業や学校が多い。中には50年以上にわたって取引し続けている企業もあり、安定した顧客を掴んでいる点が同社の強みになっている。
 得意先の中には地元の鉄道会社もあり、そのダイヤグラムの印刷から運転手、駅員などの社員が勉強するための教材などの制作・印刷までを手掛けている。「鉄道会社様からほとんど市場に出回らないニッチで少部数の印刷物の制作を請け負ってきました。また、高校や専門学校の入学試験問題やテキストなど秘匿性の高い印刷も手掛けています」と、顧客との長年の信頼関係が窺われる。
 さらに、名古屋市内にある数軒のシティホテルも得意先で、各種小ロットの印刷物を手掛けてきた。「近年はホテルのお客様もオンデマンド印刷機を導入され内製化するようになりましたが、プロの技術が求められる難しい印刷物やデザインを要求するものは、弊社に声をかけていただいています。お客様と一緒に制作方法を考え、アイデアやデザイン、加工方法などについて提案させてもらっています」とのこと。

毎朝の会議でアイデアや情報を共有する

 また、大手電機メーカーの製品のマニュアル制作も手掛けている。「機械部品1個ずつにつける国内外のマニュアル制作に携わっています。マニュアルは何百種類もある中の一部を担当していて、多種にわたる折り加工、断裁、在庫・配送管理など、お客様の細かな要望に対応して納品先ごとに仕分けする仕事などもしています」とのことだ。
 このように多くの企業から受注できるのも、同社が50年以上前からいち早くニッチマーケットに着目して営業を行い、強固な関係を築いてきたからである。「印刷会社が敬遠したがるニッチで小ロットな市場を、製版会社からスタートした小規模な弊社がその分野を開拓できたのは、やったことのない仕事に対する好奇心が大きかったからだと思います。また毎回毎回、『前回より良いものを作る』を愚直に続けてきたことが、長いお取引に結び付いているのだと思います」と、太田社長は述懐する。
 「近年はコールドフォイル印刷に特色を使った印刷など、いろいろな技術を吸収しインパクトのある印刷物も制作しています。新しい技術やアイデアのネタを持っていないと、お客様との会話が盛り上がりませんから」とのことだ。
 同社では毎朝20分程度ミーティングの時間を設けている。「今動いている仕事はもちろん、新しい技術について見聞きした情報や、世の中の流行や日々の営業活動で気づいたことを毎日話し合っています。情報を共有することで、社員の教育、お客様へのアプローチ、業務の効率化・時短化にも繋げることができます」と、社員間のコミュニケーションと情報共有の大切さを説く。
 また「営業では、顧客のニーズを察したら素早く最適な提案ができるように、仕事の効率化で時間を作り出し、考える時間をどんどん増やしていくことが重要だと考えています。お客様に喜ばれる仕事をしていくことが弊社の理念ですので、どうすれば喜んでいただけるのかを常に全員で考えていくようにしています」と、営業に対する考え方を述べる。
 「印刷物は実物に手で触れることができ、デジタル以上に感動を与えることができるものと考えています。今後もゼロからモノを作ることに興味を持ち、新たな付加価値を創造てそれを一緒に楽しむことができる社員を増やしていきたいです」と、次代を担う若い社員の採用にも注力する方針を述べた。


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