紙専門商社を活かして紙の価値を高める事業を
株式会社丸加は、紙の専門商社として1939年に創業。以後、60年代に写真製版業に進出し、99年に製版部をデジタルメディア部に組織変更した。今回登場いただいた佐伯学氏は、同メディア部の部長として組織をけん引しているパーソンである。デジタルメディア部の事業内容を中心に話を伺った。
顧客をサポートするスピードと対応力
紙の専門商社として1939年に創業した株式会社丸加は、地元岡山県の経済とともに着実に成長してきた。紙は情報の伝達手段として文化の発展に深く関わり、さらに産業や生活に欠かすことのできないものである。
そんな同社は61年に、顧客である印刷会社へ印刷用紙を販売していたことや今後市場が拡大していく印刷業の将来性に目を向けて、丸加製版株式会社を設立し写真製版業に進出した。
75年には丸加商事株式会社と丸加製版株式会社を合併し、株式会社丸加に商号を変更。以後、写真製版関連の設備を増強し、着実に売上を伸ばしてきた。
長年アナログ製版技術を磨いてきた中で、いち早くサイテックスのCEPSを導入するなどのデジタル化に取り組んできたが、さらなるデジタル化に向けて99年に製版部をデジタルメディア部に組織変更した。当時、印刷前工程はDTPが主流になりつつあり、同社もMacをベースとした制作過程へと移行していったのである。
「弊社のお客様は印刷会社が多く、それら印刷会社様に完全な印刷データを作成してお渡しするのがメインの業務になります」とのこと。
「印刷会社様には社内に製版部門を持って内製化している所も多く、それ以上の品質とスピードが求められます」と、高品質と即応力を心掛けてきた。そのためデジタル製版においてはDTPからCTP出力まで高品質のワークフローを構築し、顧客のニーズに応えて高い信頼を得ている。
「また、お客様にはデジタル化が浸透し、より納期が短くなってきたことから、それに対応するために工程管理システムを構築して進捗状況の共有化を行いました。それに加えて多能工化により工程間のロスを少なくしました。制作案件ではオペレータが営業を介さず直接お客様とやりとりすることにより、お客様の意図が伝わりやすい環境にしています。弊社ではベテランオペレータが多いので、問題点があればすぐに改善し、よりよいワークフローを構築するようにしています」と、多能工化と短納期を心掛けているという。
紙販売と連携したビジネスを目指す
出力関係ではインクジェットプリンターやPOD機はもちろん、現在ではめずらしいフィルムセッターや校正機も保有している。フィルムセッターはシール関係やスクリーン印刷等でフィルムを使用する会社からの依頼も多い。
校正機による特色印刷を中心とした本紙校正も、印刷用紙を入手しやすいメリットがあるので現在でもニーズがある。機械の維持管理が厳しい状況になっているが、お客様の要望にお応えできるよう機械が動く間は使っていくとのことだ。
同社では5年程前に、紙の卸売部門とデジタルメディア部門が協力して、印刷会社以外の顧客を対象にした紙専門店の台紙販売・紙加工のECサイト「さぁくるぷらす」を立ち上げた。さまざまな台紙・紙から色や厚さ、サイズ、入り枚数を選択し、簡単に購入できるようになっている。同サイトは紙部門の商品力をベースに、デジタルメディア部が培ってきたweb関連の知識を活かしてサイト運営をしている。紙のオーダーカット販売から始まったものの、新規顧客からの要望により印刷・加工の需要喚起にまで繋がっている。それにはデジタルメディア部の技術と機器も一役買っている。
佐伯氏は「今後さらに紙の価値を高める事業運営を目指していきたいです」と話し、紙専門店の強みを活かしたECサイトのビジネスに期待している。
紙パルプ、印刷業界では現在、一大転換期を迎えているが、同社では持続的な成長を目指して、合理化によるコスト削減、物流機能の充実、販売力の強化により、企業体質の一層の改善を進めているところで、顧客に信頼され最高のビジネスパートナーとして選ばれるよう努力しているところである。
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