生成AIを活用しデザインに付加価値を与える

GC東京

1969年に仙台市で創業した印刷製版会社の有限会社高橋写真製版。「人の喜び創造業」を経営理念に掲げ、箔押し用の亜鉛凸版・樹脂版制作からデジタル印刷まで幅広い事業を展開している。同社でデザイナーとして19年のキャリアを持つ菊地樹実氏に、同社に入社した経緯や仕事の内容について話を伺った。


有限会社 高橋写真製版(GC東北)

〒984-0001
宮城県仙台市若林区鶴代町5番30-1
https://www.takahan.com/ 

デザイナー
菊地 樹実

地元の飲食店と繋がるTAKAHAN通信を制作

 菊地氏は、高橋写真製版に入社して19年になるデザイナーである。出身は岩手県大船渡市で、仙台市内の専門学校日本ビジネススクール(現・専門学校日本デザイナー芸術学院)のコンピュータグラフィックス科に入学し、グラフィックデザインの技能や印刷工程全般の知識を身につけた。卒業後は、いったん大船渡の実家に帰省し、中学校の臨時講師や小学校の用務員の仕事に勤務したという。
 2年経った頃「仙台にいる友人から、高橋写真製版がデザイナーを募集しているので受けてみないかと言われたので、仙台に戻って応募したところ採用されました」と、同社に入社した経緯を語る。
 同社は、情報価値創造業として『人の喜びを創造する』ことを経営理念に掲げ、箔押し用の亜鉛凸版の製造からスキャニング、オフセット印刷、デジタル技術を駆使したオンデマンド印刷、ホームページのレンタルサーバーなど、多彩なサービスを展開しているのが特徴だ。
 また、仕事以外にも地域奉仕活動の清掃活動、エコキャップ回収活動などSDGsにも取り組んでおり、地域社会への貢献に熱心である。
 菊地氏は入社後、グラフィックデザインを習得した経験を活かして、DTP制作に関する仕事を任された。「印刷用データを作成し印刷工程に渡すという仕事をしています」とのことで、現在はデザインから出力まであらゆる業務に従事しているという。
 制作を担当しているものに『TAKAHAN通信』というA4判両面刷りの情報紙がある。「印刷物をお客様に納品して仕事が終わるだけでは味気ないということで、営業先で円滑にトークが進み次に繋がるようなコミュニケーションツールを作ってほしいと、社長から打診があったので、制作することになりました」ということで、10年ほど前から春夏秋冬の年4回発行している。
 同通信で特筆すべきは、今年の新春号と春号でラーメン特集号並びに飲食店特集号を企画し、菊地氏が実際に地元仙台市内の飲食店やラーメン店に伺って飲食し、料理の写真とコメントを掲載するという紙面作りを担当していることだ。裏面には仙台駅周辺のラーメンMAPを掲載し、厳選した店舗のラーメンの写真と営業日時を載せている。
 飲食店特集では、料理の画像と短文の感想を菊地氏が記載することで、掲載された店にとっては格好のPRになる。実際、飲食店やラーメン店の記事は好評を博しており、通っているうちに店主と親しくなったケースもあるという。
 「仙台市内にはラーメン専門店だけで300店以上あります。10年ほど前から取材で伺って、掲載の有無に関わらず250店ほどは写真を撮影しました」とのことで、菊地氏はもはや仙台市のラーメン通である。

壁紙プリントの市場拡大に注力していく

 また、紙面には4コマ漫画も掲載しており、それも制作を担当しているとのこと。「以前は漫画を描いていたスタッフがいましたが、今年の夏号からは私がChatGPTを使ってイラストを生成し描いています。漫画内のストーリーや吹き出しについてもChatGPTに指示や質問を入力し制作しています」とのことで、生成AIを使いこなしている。
 「印刷業も生成AIを使える場面が多々ありますし、実際、アイデアや企画、ライティングで使いこなしてより良い制作を行い、作業の効率化を図っていかなければと考えています」と、生成AIの活用には積極的だ。
 最近は新規事業として壁紙プリント製作に乗り出した。「お客様が撮影した写真や画像データを送信していただければ、弊社の大判インクジェットプリンターで出力します」。印刷データの制作は菊地氏が担当している。「壁紙など専門家による貼り付け作業を要する場合は、提携先の施工業者に依頼します」とのことだ。
 「お客様ご自身が描いた絵でもOKですし、壁紙だけでなく、直貼り大判ポスターにしたりすることも可能です。また、自宅の古くなった襖をリペアする際に、お好きな画像を作成し貼るのも良いかと思います。弊社でもさまざまな絵柄を用意していますから、その中から選んでいただいても結構です。簡単に剥がせますから、お客様ご自身で好きな時に貼り替えられるようになっています」と、絵柄が自由自在に加工できて貼り替えが容易な点を強調する。
 臭気とVOCの発生が極めて少ないラテックスインクを採用しているため、営業では環境にやさしい印刷という点を訴求できるのもメリットといえよう。今後、壁紙プリントは紙の印刷業に匹敵する事業になるよう市場開拓していく方針だ。
 「それに弊社は少人数ですから、一人で何役もこなしていかなければなりません。製版作業、オンデマンド印刷機やインクジェットプリンターの操作も行います」と、多能工化でさまざまなスキルを身につける必要がある点も話す。
 菊地氏は「お客様に喜んでいただけるよう、付加価値の高い媒体や印刷物の制作を心掛けています」というモットーで仕事に臨んでいる。幅広いサービスで顧客のニーズに応えている同社にとって、デザイン制作に長けた菊地氏は、会社を牽引する人財として期待されている。


デザイナー 生成AI GC東北