ニッチ分野のトップを目指し創造と改革に挑戦

近畿圏を中心に複雑な製版加工やクリエイティブ画像処理、CTP出力、特殊原反へのデジタル印刷などを事業展開しているダイワ光芸株式会社。今回は、小笠原秀樹社長の娘婿である住本尚己氏に話を伺った。住本氏は今年1月に中途入社したばかりであるが、同社の次代を担うホープとして期待されているパーソンである。


ダイワ光芸株式会社

〒543-0001
本社:大阪市天王寺区上本町4-1-23
http://www.daiwakk.com/
https://www.daiwakk-xlab.com/


住本 尚己(GC近畿)

高難度の製版処理から殊原反印刷まで展開

 ダイワ光芸株式会社は1957年に写真植字を事業にスタートして以降、プリプレス全体に事業を拡大し、90年代半ばにはDTPのワークフローを構築しフルデジタル化した製版会社である。「鍍金(メッキ)はあかん、金無垢や」を経営理念に高品質を追求し、ニッチ分野のトップ企業として創造と改革に挑戦し続けている。

 現在は、多ジャンルの紙製品メーカーをはじめ、紙器・POPメーカー向けの製版並びに印刷、B2判のデジタル印刷機による特殊基材への多品種小ロット印刷を手掛けている。

 「得意分野は、複雑な製版処理や難度の高い色調補正です。お客様ごとのルールを遵守し、細かな対応で臨んでいます。長年培ったノウハウや技術力がお客様に買われて、手間が掛かる複雑な仕事を受注する機会が多いです。そのため『ダイワ光芸に任せれば間違いない』『まずはダイワ光芸に相談してみよう』と思っていただける関係性を構築しています」と、顧客との信頼関係を大切にしている。

 住本氏は、昨年11月に小笠原社長のご令嬢と結婚され、それまで勤めていたIT系企業を退職し、今年1月同社に入社した。前職ではWebマーケティングに関するシステムの提供が主な仕事だったという。印刷業は畑違いではあるが、事業を続けていくためには、インターネットやIT 技術は切り離せないため、その分野に長けた若い人材の入社は、同社に新たな息吹を吹き込んでいる。実際住本氏は、「次の世代にダイワ光芸を継承していけるように笑顔で仕事に取り組んでいます」と話し、将来を見据えている。

 コロナ禍が同社にとってはギアチェンジの機会になったとのこと。「お客様ごとに定型作業のワークフローの開発・スクリプト開発を行うことができ、大幅な生産性の向上、労働時間の削減に繋がりました。併せてMISの完全再構築・入稿・プリフライト・経理等のバックオフィス業務についても、大幅に自動化することができました」と、社内のDX化を進めることができたという。

 「入稿量が上昇に転じてきた今日、構築した無人化・自動化の効果が目に見えて出てきました。また、同時期に内勤営業のチーム体制を整えており、メール入稿時のタイムリーな対応を飛躍的に向上させることもできました」と、これまで以上に顧客ファーストな対応ができるようにもなったと述べている。

顧客にとって唯一無二のパートナーを目指す

 同社は2019年に東京・神田に開業した「東京サテライトOFFICE」を、2022 年に東京の江東区に移転し、「X-Lab豊洲(クロス・ラボ豊洲)」として新たに開設。日本HPのB2判デジタル印刷機「Indigo10000 digitalPress」を導入し、合成紙や蒸着紙などを使った特殊原反印刷を始めた。

 色校正も同社が強みにしている1つで、特色配合の提供、油性・UVともにB1サイズまで対応。さらに保守契約が終了し、少なくなったフィルムセッターも現役で稼働しており、ポジや樹脂版用・シルク版用のフィルム出力にも対応しているのが特徴である。

 「直近ではカッティングプロッターを導入しました。とにかく古い設備も上手く活用しつつ、新しい設備も導入する、攻めと守りの両方ができる点が弊社らしいところです」とのことだ。

 働き方改革にも積極的に取り組んでおり、時短勤務かつリモート勤務をする役職者のママさん社員がいる。同社には年齢・性別・キャリアで人を評価せず、社員の素晴らしい面、秀でた部分を最大限に評価し、苦手な部分は周囲がフォローする文化がある。また、プロ技術者ありきの会社でありたいことから、役職制度とは別に技術者を評価し称えるマイスター制度を運用し、働き方改革を実践している。

 さらに、同社の文化として毎年レクリエーションを兼ねた社員研修や社員旅行を実施している。10年ごとの節目には社員の家族も招待し海外旅行にも行っているという。今年は創業67年だが、コロナ禍で65年の記念イベントができなかったため、USJで会場を貸し切り、社員とその家族を招いて67周年記念パーティを開催した。社員と社員を支える家族へ感謝をする機会として、今後も継続していくとのことだ。

 住本氏自身は、現在、先輩について回り、厳しい指導を受けている真っ最中とのこと。「社員やそのご家族から支持される会社、チャレンジ精神旺盛な会社、より実力を備えた会社にしていきたいですし、お客様からも『ダイワ光芸がなかったら困る、唯一無二のパートナー』と言っていただけるよう、お客様の声を聴きニーズに応え続けていきます。時代に合わせて業態やターゲットを変化させ、全く新たな事業も考え育てていきたい」と抱負を述べた。


色調補正 特殊原反印刷 GC近畿 Fellowship