マルチクリエイターを目指す次代の逸材

札幌市で紙媒体のデザイン制作からロゴマーク、商品ラベル、パッケージのトータルデザイン、ブランディング、さらにはWebサイト・動画制作も事業展開している株式会社プロセスレボ。同社でデザイナーとして活躍しているのが富樫芽生さんである。まだ入社して3年目であるが、グラフィックデザインを中心に、イラスト・動画制作と幅広い技能を習得して仕事に取り組んでおり、次代を担うマルチクリエイターとして期待されている。


株式会社プロセスレボ(GC北海道)

〒060-0062
札幌市中央区南2条西13丁目318-18
https://prevo.jp/ 

デザイン室
富樫 芽生

独学で動画制作を始めて仕事に繋げる

 富樫芽生さんは、株式会社プロセスレボに入社してまだ2年半という若手のデザイナーである。出身は札幌市の西に位置する倶知安町。羊蹄山やニセコ連峰の麓にある風光明媚な町だ。
 高校時代に趣味でイラストを描いていたという富樫さん。「でも、イラスト制作のみに絞るのもどうかと思い、ポスターなどの紙媒体全般のデザインにも興味を持ちはじめ、グラフィックデザインの道に進むことにしました」と話す。
 そこで、卒業後は札幌市内にある北海道芸術デザイン専門学校に入学した。同校ではグラフィックデザインを専攻し、さまざまな印刷物の制作を学んだという。「学校の方針もあって、授業では実際の仕事現場で役立つような課題が出され、それをデザイン制作するという内容が多かったです。卒業後にグラフィックデザイナーを目指していたので、非常に役立ちました」とのことだ。
 プロセスレボに入社したきっかけは、学校に掲示されていた同社の求人広告だった。「弊社を調べる際にホームページを見たのですが、さまざまな印刷物や販促品の企画・デザインに積極的に取り組んでいる会社だという印象を持ち、そんな会社で働いてみたいと思って応募しました」と述懐する。
 富樫さんは、入社してからグラフィックデザインだけでなく、動画制作を独学で学んだという。その仕事への積極的な姿勢が功を奏し、同社で動画制作の仕事も受注するようになったという経緯がある。そのきっかけを作ったエピソードについて伺った。
 「入社した時点で、弊社では既にWebサイト制作が行われていて、新しい分野の仕事に取り組んでいることを肌で感じていました。それなら、私は皆さんがまだ手掛けていない動画制作を身につけようと思い、架空の会社案内のサンプル動画の制作に取り組んだのです。制作をするのであれば、ある程度クオリティのあるものを作りたいと思い、皆さんには伝えずにこっそりとキャラクターを活用した1分程度のアニメーション動画を作って、完成したものを皆さんに見てもらいました。そこから動画制作の仕事にも本格的に取り組むことになりました」と振り返る。
 このことから、新しい分野のスキルを積極的に学び、仕事に活かそうとする高いモチベーションを持っていることが分かる。
 さらに最近では、動画制作の技術を活かしてARにもチャレンジしているとのこと。「まだまだ技術を習得している段階です」と謙遜するが、いずれ持ち前のデザイン力が活かされて成果に繋がるだろう。

顧客視点に立ってデザインを考える

 デザイン制作では、営業担当者に同行して顧客の会社に伺い、打ち合わせをする機会が多いという。「ヒアリングをしてお客様の具体的な要望を聞き、ニーズに応えられる制作を心がけています。また、1つの案件を複数のデザイナーで制作することが多いため、その時は協力・連携し合って取り組んでいます」。
 デザインを考える上で留意していることは、「見た感じの印象から即座に情報が入ってくるようなデザインを心がけています。消費者がデザインを見てどう感じるのかを意識して制作に臨んでいます」と、常にエンドユーザー視点のデザインに注力している。
 デザイン力を身につける方法として、興味のあるアートの展覧会やデザイン展にも足を運ぶという。「なるべくアンテナを張って美術やデザイン関連の新しい情報を入手し、独特なデザインなどを見聞きして、表現力やインスピレーションを得るようにしています」と、デザイン力の向上にも余念がない。
 また、同社では本社1階でプリントショップ・プレボを運営しているが、そこで販売しているTシャツは同社のデザイナーが自らデザインしたもの。富樫さんもイラストを描いたTシャツを装飾したところ、好評を博したとのこと。「自分の描いたイラストのTシャツが評価されると、モチベーションに繋がりますね」と語る。
 取材時、富樫さんは23歳ということで、デザイン室では唯一の20代だという。現在デザイン室の社員は8名ほどいるが、30代、40代のベテランしかいないとのことで、「年が離れていることもあって、皆さん優しくしてくれます(笑)」と、次代を担うデザイナーとして嘱望されていることが窺える。
 同社のデザイン方針は、個々のデザイナーの得意な分野を伸ばしていくスタイルで、受注するメディアによってある程度担当が決まっているとのことだ。キャリアアップについて富樫さんは「現在3DCGやAR技術を使った動画制作を学んでいますが、さまざまな制作技法を身につけて、幅広い分野で活躍できるクリエイターを目指したいです」と語る。将来的にはプロジェクトなど仕事全体を見通せるマルチクリエイターとしての成長が大いに期待されている。


マルチクリエイター デザイン GC北海道