平成29年度事業報告

自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日

わが国の経済環境は改善効果もあってか、回復への好循環にある程度の持続性が見られ、上向く景況感が窺えます。

さて、私たち日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会を取り巻く財政環境は想定以上に厳しいものがあり、この 1 年どのように対処すべきか、緊迫した「財政危機」のもとで組織運営の議論を重ねてきました。そこで、具体的な対応策と組織存立の意義を考えましたが、将来に向けて最低限の基本的な事業活動を継承するためには、かなり厳しい判断、決断が求められました。今後「組織」をどうするのか、真摯にそして慎重に議論を重ねるために、次年度(2018年度)も「最重要案件」としてこれを継続することになりました。今年度の事業を振り返りますと、主に次代に向けた立ち位置での情報提供や発信に努めてまいりました。

【実施事業】では、存在感のある業界組織として、その発展と振興に努めてまいりました。また、全国の組合員企業の個性豊かな集合体(団体組織)として情報発信を強化し、全国の組合員の皆さまとの「情報の共有化」に邁進してまいりました。とくに「広報事業」関連では、機関誌・月刊「gcj」の編集・発行を通じ、役立つ情報としてさまざまな分野の経営と技術等の情報を収集し提供してきました。さらに、ウェブサイトの充実を図るため、公式サイト【GCJホームページ】とポータルサイト【GCのトビラ】での情報発信を展開してきました。

【一般事業】では、上述のとおり緊迫する「財政危機」のなかで、[組織基盤・運営]事業を核にその確立に向けた対応を重ね、またその他各種事業も推進し、所期の成果を収めました。さらに平成29年5月には「第61回日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会東京大会」を盛況に開催し、全国の組合員の仲間が一堂に集いました。このように事業推進に努めることができましたことは、全国8会員(工業組合)所属の組合員各位のご理解とご支援、ご協力の賜物にと深く感謝いたします。

ここに、次のとおり「平成29年度(2017年度)事業報告書」を申し上げます。

Ⅰ.[事業戦略]事業の推進

私たち日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会(以下、GCJと略す)は、直面する課題に【事業戦略】事業を通じて微力ながら取り組んできた。私たちの組合事業が大きく変貌するなか、全国の組合員企業は次代に繫がるように明日を意識し、事業の中心に「情報発信の強化・提供」を据え、微力ながらその推進に努めてきた。

1.存在感のある集団(団体組織)として、業界内外に向けた情報発信に努める

機関誌・月刊『gcj』をはじめ、公式サイト【GCJホームページ】、ポータルサイト【GCのトビラ】の編集・発行を通じて、積極的に全国組合員への情報提供だけでなく、顧客(お得意先)に向けても、私たち業界の存在を知らせる広報活動を展開した。

多角的な視点で経営環境やマーケティング、さらには日進月歩の最新技術情報などを常にバージョンアップした構成で編集をしてきた。 “伝えたい情報”を“伝えたい人”への「情報の発信基地」を目指した、ユニークな情報提供の活動を展開してきた。

1)機関誌・月刊『gcj』の発行(年12回)

機関誌・月刊『gcj』の内容の充実を図るため各種の情報収集に努めた。充実した編集内容は内外各方面からも高い評価を得ている。毎号、時勢に適した特集や「人物紹介」「業界関連の先端技術」「マーケティング」の連載、さらに全国GC組合の動きや業界内外のニュースなどの多彩な情報を収集し、的確な内容で編集・制作している。今年度の「特集」テーマは次のとおり。
2017年
4月号:「脱紙」で変革!
5月号:ネット時代の写真の肖像権と著作権
6月号:デジタル加飾の最前線
7月号:基調講演と分科会のサマリー GCJ東京大会より
8月号:販促ビジネスで攻めの経営へ
9月号:「コミュニケーション・デザイン」を理解し実践を
10月号:ご当地キャラクターで地域貢献・需要開拓
11月号:IoTで変革が起きる印刷業
12月号:マーケティングに強くなる!
2018年
1月号:2018年業界を取り巻くキーワードを考察
2月号:再認識! インクジェットプリンターの力
3月号:page2018展示会レポート
※当機関誌・月刊『gcj』発行にあたっては、「協賛広告」にご協賛を頂戴しました。ご協賛の各企業様には深く感謝を申し上げます。

2)公式サイト【GCJホームページ】で情報発信

公式サイト【GCJホームページ】(https://www.gcj-page.or.jp/)を通じて、GCJの業界内外への広報活動をより一層充実させるとともに、業界の社会的認知と存在感を高めるべく、GCJ情報の更新を実行し、的確な情報発信を図った。

3)ポータルサイト【GCのトビラ】で情報発信

GC東京の主導で発信するポータルサイト【GCのトビラ】(http://gc-tobira.jp/)も5年が経過した。その認知度は業界内外に高まりアクセス数も徐々に増えている。ユニークなビジネスの取り組み、制作に関わるソリューション情報、また「制作会社検索」を会員サイト用として機能させ、登録している組合員企業が自社で自由に更新できるようにした。
主なコンテンツは、
1.プロのものづくり集:組合員企業の最新の技術や独自のアイデアによるものづくりのビジネス事例を紹介している。
2.制作会社検索:登録した企業の社名、都道府県、事業分類の各分類から検索ができる。
3.制作お役立ち便利帳:制作に関するさまざまな疑問に専門家が答える。
4.匠のカタログ:ユニークな技術や卓越した技を持つ制作会社の紹介ページ。各社の特長を1ページにまとめて紹介。会社概要はもちろん、得意技や制作に対する思いなど、ニーズに合った会社が見つけられる。

4)「GCJクラウドサービス」の実施

組合員のメリットとして、BCP対策のひとつクラウドストレージを利用したバックアップサービス【GCJクラウド】の事業化に向けた活動である。
GC東京が運営形態を管理し適正に組合員企業に提供する「クラウドサービス(バックアップサービスのみ対象)」として、GC東京の賛助会員(株式会社キクミ)と連携、協力して低コストでの提供を実現、運営を開始した。

5)各種情報の提供

2.環境保護対策の推進

1)環境保護印刷推進協議会への協力

主管団体としてGCJが主導的役割を果たしている「環境保護印刷推進協議会(E3PA)」の主要な事業である「認証制度(クリオネマーク)」の普及、啓発などの事業活動に全面的に協力をした。また、同協議会が企画するイベント、セミナーの開催案内をPR、参加の呼びかけに協力した。
同協議会に役員2名を派遣、現在は10社が入会している。

2)一般社団法人日本印刷産業連合会「グリーンプリンティング認定制度」への協力

日印産連が推進する認証制度「グリーンプリンティングマーク(GPマーク)」の支援や普及、啓発に協力した。

3)一般社団法人日本印刷産業連合会「環境優良工場表」への協力

印刷関連企業の優れた環境への取組みを表彰する「第15回印刷産業環境優良工場表彰」はGC東京所属の株式会社セントラルプロフィックスが「奨励賞」を受賞した。

4)環境関連の情報提供

環境保護に関連する資料を組合員に配布し、啓発に努めた。また、環境関連法令等による職場環境改善、労働安全衛生等の理解並びに対策に資するため、関係官庁・団体等の情報を収集して提供、発信に努めた。

5)日印産連の冊子「第 1 回印刷と私」の配付

日印産連「グリーンプリンティング認定制度」事務局が主催して、「第 1 回『印刷と私』エッセイ・作文コンテスト」の作品募集を行い、同「受賞作品集」を発刊し、配布した。

3.一般社団法人日本印刷産業連合会の事業への協調

1)FAX通信『GCJ INFORMATION』配信

各種事業など情報伝達の利便性を活用して、FAX通信『GCJ INFORMATION』で情報発信に寄与した。さらに、外部機関などの各種情報の配信を行った。

2)日印産連・「Web 版印刷用語集」に協力及び普及・啓発

日印産連が印刷業界の標準化の一環として『現場で役立つ印刷用語集』のWeb版を発行している。この編集にあたっては、GCJからも委員を派遣、印刷用語の記載内容などの整合性、問題点及び改善などの編集に協力した。
「Web版印刷用語集」は【GCJホームページ】及び【GCのトビラ】に下記のバナーを貼付、クリックすれば活用できる。

一般社団法人日本印刷産業連合会(以下日印産連と略す)が役割や活動テーマ等を再構築する【グランドデザイン】の策定を提唱。具体的には、4本柱である「新しい価値の提供」「公正で的確な事業活動を推進」「持続可能な地球環境への取り組み」「印刷産業の理解促進」を中核にした事業遂行の理解と協調に努め、各種委員会や研究会、部会などに委員を派遣し、適切な協力関係と交流を促進した。さらに、適切な情報収集や提供、交流の場を通じてコミュニケーションを図った。

Ⅱ.[組織対策]に関する事業の推進

組織対策事業

1.組織基盤・運営対策事業の推進

(1)全国8会員(工業組合)の組織基盤の確立
①全国8会員(工業組合)との連携、協力を緊密にして、組織活動を展開、推進してきた。
②私たちの技術・技能と関連性の深い業態業務(コンテンツ制作)との連携、情報交換等を検討し、事業展開を続けてきた。
③全国8会員(工業組合)の事業活動などを通じ、同業仲間の連帯意識が感じられる組織活動に努めた。

(2)将来に向けた「組織基盤」や「事業運営」などを多方面から検討
厳しい財政事情を憂慮するなか、数年前から「赤字対策」の具体的な解決策を見いだすため「財政検討委員会」「組織検討委員会」等を設置して幾度も議論を重ねてきた。状況がさらに悪化して、業界組織の存立に関する究極の危機が叫ばれ、団体組織「GCJの在り方、その方向性」を真剣に検討、考察するために意見交換、会議を重ねた。
会議では全国8会員(工業組合)の所見、意見を集約して、「GCJ組織について」の危機的意識からGCJを多角的な方位から検討し確認したが、最終結論の帰結点には至らず、今後「GCJ組織」をどうするのかの慎重な議論と最終的な決議をするために次年度(平成30年度)の「最重要案件」として継続をすることなった。
(3)協力関係業種(業界)等との交流を促進
それぞれの協力関係業種(業界)等との相互理解と協調を深めるため、全日本印刷工業組合連合会、一般社団法人日本グラフィックサービス工業会、全日本製本工業組合連合会の「4団体懇談会」などを通じ交流を図ってきた。

2.関係官庁・関連団体との折衝

業界の発展向上に資するため、経済産業省、厚生労働省をはじめ全国中小企業団体中央会など関係官庁、関連団体と折衝を行った。

3.各種表彰の実施及び推薦

日印産連の平成29年度「印刷の月」に印刷功労賞に山田義弘氏(GCJ副会長・GC近畿理事長)、印刷振興賞には田中潤一郎氏(GCJ副会長・GC九州理事長)がそれぞれ受賞した。

各種事業関連対策事業

4.各種事業の推進

1)経営・技術関連等の関連事業の推進

業界を取りまく「経営」や「技術」に関する情報を収集、広報の機関誌・月刊『gcj』を通じ情報提供に努めた。

2)情報セキュリティ対策の推進

(1)「情報セキュリティ対策」関連の情報提供
①企業活動における「個人情報の保護」「情報セキュリティ」など重要テーマへの取り組み、さらに得意先から預かる貴重な原稿(情報)のセキュリティ対策等の扱いなどの情報提供や啓発に努めた。
②GC東京が入手した「中小企業向けサイバーセキュリティ対策の極意」のリーフレットを配付し「情報セキュリティ対策」の啓発・啓蒙に資した。
(2)「知的財産権」等の情報提供及び啓発・普及を推進
①知的財産権に関する知識や業務(コンテンツ制作)に関わる「著作隣接権」などの権利の趣旨内容の情報収集に努めた。
②全日本印刷工業組合連合会(全印工連)が刊行した『大きく変わる知的財産件の取り扱い 官公需における知的財産件 -著作権は印刷会社の大切な財産です-』を参考資料として配付した。
③機関誌・月刊『gcj』等で関連情報の提供を行うとともに、日印産連の機関誌「JFPI」から「知的財産アドバイス」を転載し情報の提供、啓発に努めた。
(3)福祉共済事業の推進
各種共済の加入促進及び共済事務の合理化を図る。全国8会員(工業組合)と協力して「生命共済制度」「退職金共済制度」等の各種制度の加入促進に努めた。また、一般財団法人全国中小企業共済財団と連携して事務の合理化、効率化に努めた。
(4)労務対策の実施
労働環境の変化に対処するため、関係官庁と協力して指導並びに機関誌・月刊『gcj』等を通じ資料等の提供を行ってきた。

5.「第61回日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会東京大会」の開催

「第61回 日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会 東京大会」をGC東京の主管で平成29年5月19日(金)に東京・文京区関口の「ホテル椿山荘東京」で開催し、全国から230名が参集した。大会は全国各地から多数の業界仲間と関連業界の皆様が一堂に集い、情報交換と将来的な業界展望などを語り合う場として、昭和28年にGCJの前身が発足させて以来、有意義な大会として開催されてきた。今回はGC東京が担当で、【架け橋】を大会のスローガンに盛大に開催した。

1)第61回GCJ東京大会開催要項(概要)

◆開催日時 平成29年5月19日 (金)
◆開催場所 ホテル椿山荘東京 オリオン1(5F)
◆大会スローガン(基調テーマ) 「架け橋」
■フォーラム (イベント)
1)基調講演
・演 題:「心の架け橋! マグロ船に学ぶ、社員がイキイキと動く仕事術」〜「危険」で「キツイ」仕事からあみだされた智恵〜
・講 師:齊藤 正明 氏 マグロ船式人材コンサルタント(株式会社ネクストスタンダード 代表取締役社長)

2)分 科 会
◎Session1
・テーマ:「アンガーマネジメント」〜後悔しない「怒り」のコントロール術〜
・講 師:アンガーマネジメントアドバイザー 沖 みちる氏
◎Session2
・テーマ:「コミュニケーション術」〜あなたの印象は一瞬で決まる!信頼される経営者の「見た目」と「コミュニケーション力」〜
・講 師:株式会社ベルヴィ 代表取締役 山本 光子氏

◎Session3
・テーマ:「体と心の健康」〜中高年向け体幹トレーニング!〜
・講 師:『TeamAOYAMA』代表 青山 剛氏

■式典・表彰
日 時 平成29年5月19日(金)午後5時00分
会 場 ホテル椿山荘東京 オリオン 1(5F)
主な内容 ・式典:主催挨拶/来賓祝辞など
・表彰:GCJ各賞表彰/「ロゴデザインコンテスト」表彰
■懇 親 会
日 時 平成29年5月19日(金)午後6時10分
会 場 ホテル椿山荘東京 オリオン2(5F)
アトラクション チアリーディング「ライムスガーデン」
■大会観光
開催日時 平成29年5月20日(土) コース
◎Aコース:ホテル ⇒ 皇居内散策 ⇒ 東京ゲートブリッジ ⇒ 築地場外市場
散策 ⇒ 浅草観音・仲見世 ⇒ 懇親会(夕食会)

◎Bコース:ホテル ⇒ 株式会社ウエマツ ⇒ 株式会社大伸社コミュニケーションデザイン ⇒ 懇親会(夕食会)

2)GCJ各賞表彰 受賞者
GC(グラフィックコミュニケーションズ)業を営むGCJの組合員で、多年業界の発展向上に尽力し、その功績が顕著で他の範となる人を表彰するGCJ各賞表彰が行われ、GCJ特別功労賞1名、GCJ功労賞3名、GCJ振興賞7名、さらに永年従業員を表彰するGCJ精励賞14名がそれぞれGCJ会長から表彰された。
受賞者は下記のとおり。(順不同・工組別)
◎GCJ特別功労賞
工藤 元隆 (株)アートプロセス (GC九州)
◎GCJ功労賞
東 光彦 (有)東広告製版 (GC東北)
青木 重雄 (株)セイユー社 (GC東京)
大西 健彦 (株)あいぼっくす(GC近畿)
◎GCJ振興賞
伊藤 長一 アオバプロセス(株) (GC東北)
竹ノ上 蔵造 (株)第一製版 (GC東京)
安藤 雅男 城北製版(株) (GC東京)
友部 孝雄 (有)ファースト (GC東京)
枠元 孝夫 (株)アズワン (GC東京)
伊藤 公一 (株)伊藤美芸社製版所 (GC中部)
原田 信夫 (株)プロスキャン (GC近畿)
◎GCJ精励賞
高見澤 充 (株)プロレスレボ (GC北海道)
大坂 志郎 (株)アジプロ (GC北海道)
伊藤 文明 (株)ユニグラフィック (GC東北)
西島 喜美子 (株)山田写真製版所 (GC中部)
西垣 光広 (株)みどり (GC中部)
前田 浩尚 (株)みどり (GC中部)
岩室 哲雄 (株)みどり (GC中部)
湯元 法和 (株))コトブキ企画 (GC近畿)
山元 國生 (株)あいぼっくす (GC近畿)
藤井 日出生 おおひろ写植(株) (GC中国)
石塚 正志 (株)丸加 (GC中国)
荒内 真二 (株)内外プロセス (GC中国)
光畑 靖博 (株)内外プロセス (GC中国)
藪下 順二 (株)ミヤプロ (GC四国)

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