2019年度(55事業年度)事業報告書

自 2019年4月 1日
至 2020年3月31日

【事業概要】

 わが国の経済環境は徐々に改善効果が見受けられ、回復への好循環としてある程度の持続性や上向きの景況感が窺えていた矢先、昨年(2019年)11月に中国湖北省で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が、世界各地に感染拡大しました。今後の感染拡大ペースや終息時期も未だ不透明ななか、経済の落ち込みが懸念され、終息後も長期化しかねない実体経済への影響は予断の許さない状況にあります。
 私たち日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会の2019年度の事業を振り返りますと、財政環境は想定以上に厳しいものがあり、この1年をどのように対処すべきか、緊迫した「財政危機」のもとで組織運営を模索してきました。
 具体的な対応策と組織存立の意義を真摯に考え、将来に向けて基本的な事業活動を継承するためにかなり厳しい判断や決断をしながら、「組織」をどのようにすべきか、団体組織としての存在感を持ち、次代を意識した立ち位置で慎重に事業の遂行にあたりました。
 【実施事業】は、全国の組合員企業の個性豊かな集合体(団体組織)としての情報発信の強化や、「情報の共有化」に邁進してまいりました。なかでも「広報事業」関連の機関誌・月刊『gcj』の編集・発行を通じて、今求められ役立つ経営と技術等の情報を、さまざまな角度や分野から収集し提供してまいりました。さらに、ウェブサイトの充実を図るため、公式サイト【GCJホームページ】とポータルサイト【GCのトビラ】での情報発信も展開してまいりました。
 【一般事業】では、[組織基盤・運営]事業を核に、それぞれの対応を重ねながら各種事業を推進して所期の成果を収めました。
 このように事業推進に努めることができましたことは、全国8会員(工業組合)所属の組合員企業各位のご理解とご支援、ご協力の賜物と深く感謝いたします。
ここに、次のとおり「2019年度(55事業年度)事業報告書」を申し上げます。


【実施事業】

Ⅰ.[事業戦略]事業の推進

私たち日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会(以下、GCJと略す)は、微力ながら、【事業戦略】事業を通じて直面する課題に取り組んできた。私たちの事業運営が大きく変貌するなか、次代に繋がる【明日】を意識した事業展開を中心とした「情報発信」の強化・提供に微力ながら努めてきた。

1.存在感のある集団(団体組織)として、業界内外に向けた情報発信に努める

広報・情報活動の機関誌・月刊『gcj』をはじめ、公式サイト【GCJホームページ】及びポータルサイト【GCのトビラ】の編集・発行を通じて、全国の組合員への情報提供だけでなく、顧客(お得意先)に向けても、積極的に私たち業界の存在感やその集団(団体組織)を知らせる「広報活動」を展開してきた。

機関誌・月刊『gcj』の誌面構成も、多角的な視点で経営環境やマーケティング情報、さらに日進月歩の技術関連情報など、最新情報を常にバージョンアップした構成、編集に努めた。“伝えたい情報”を“伝えたい人”に、を念頭におき、「情報の発信基地」として業界の特徴ある活動を展開してきた。前年度から継続のクライアント(協賛広告主)である賛助会員や関連業者の多大なご理解、ご協力をお願いした『協賛記事広告』も、随時1~2ページを設け広報・宣伝活動を念頭においた「営業、マーケティング」などの効果を最大限引き出してきた。クライアント(協賛広告主)の営業戦略や訴求に繋がる新製品及び既存製品などのタイアップで、メッセージ性のある記事編集形式の『協賛記事広告』は好評を博した。

(1)機関誌・月刊『gcj』の発行(年12回)

広報事業 

機関誌・月刊『gcj』の内容の充実を図るため、毎号時勢に適した特集や「人物紹介」「業界関連の先端技術」「マーケティング」などを連載、さらに全国のGC工業組合の動きや業界内外の関連するニュースなど、多彩な情報を収集して的確な内容で編集・制作をしている。

今年度の各月の「特集」テーマは次のとおり。

2019年
4月号:マーケティングオートメーションを知り、活用する!
5月号:フリーペーパーで地域活性化し収益アップに繋げる
6月号:もっとARを活用した印刷物の作成を!
7月号:訪日外国人をターゲットに! 
8月号:SDGsを理解し、経営に取り込む
9月号:業務を「見えるか化」し労働生産性を向上させる
10月号:オーダーグッズ制作で役立つ機械設備
11月号:印刷関連会社の商品開発力を見る!
12月号:コミュニケーション・コンテンツで新事業を開拓

2020年
1月号:「スマートファクトリー」で見えた次世代の印刷工場
2月号:「開発」という差別化戦略で生き残る!
3月号:page2020 出展レポート

※当会機関誌・月刊『gcj』発行にあたっては、「協賛広告」並びに「協賛記事広告」にご協賛、ご協力をたまわりました各企業様には深く感謝を申し上げます。

(2)公式サイト【GCJホームページ】で情報発信

GCJの社会的認知と存在感を高めるべく、私たちの活動や事業内容を広く業界内外に向け、公式サイト【GCJホームページ】(https://www.gcj-page.or.jp/)で広報活動を展開、充実を図るとともに常に情報の更新を実行し的確な情報発信を行った。

(3)ポータルサイト【GCのトビラ】で情報発信

ポータルサイト【GCのトビラ】(https://gc-tobira.jp/)はGC東京が主導で情報発信している。サイトの認知度も高まり業界内外からのアクセス数も増加をしている。

サイトはユニークなビジネス展開や制作に関わる各種のソリューション情報、ビジネスに直結する「制作会社検索」、さらに登録会社の検索機能の充実に努めた。

サイト内の主なコンテンツは次のとおり。

①プロのものづくり集:組合員企業の最新の技術や独自のアイデアによるものづくりのビジネス事例を紹介している。
②制作会社検索:登録した企業の社名、都道府県、事業分類の各分類から検索ができる。
③制作お役立ち便利帳:制作に関するさまざまな疑問に専門家が答える。
④匠のカタログ:ユニークな技術や卓越した技を持つ制作会社の紹介ページ。各社の特長を1ページにまとめて紹介。会社概要はもちろん、得意技や制作に対する思いなど、顧客ニーズに合った会社が見つけられる。

(4) 「GCJクラウドサービス」の実施

業界が評価して運営形態を管理し、適正に組合員企業に提供する「クラウドサービス(バックアップサービスのみ対象)」をGC東京の賛助会員企業(株式会社キクミ)と運営の連携、協力して低コストでの提供を実現、運営をしている。現在登録企業は7社である。

(5)各種情報の提供

①FAX通信『GCJ INFORMATION』の配信
外部機関などの各種情報は、情報伝達の利便性を活用してFAX通信『GCJ INFORMATION』で配信した。
②日印産連・「Web版印刷用語集」に協力及び普及・啓発
日印産連が印刷業界の標準化の一環として『現場で役立つ印刷用語集』のWe
版を発行している。この編集にあたっては、GCJからも委員を派遣、印刷用語の記載内容などの整合性、問題点及び改善などの編集に協力した。

「Web版印刷用語集」は【GCJホームページ】及び【GCのトビラ】に下記のバナーを貼付、クリックすれば活用できる。

2.環境保護対策の推進

(1)環境保護印刷推進協議会への協力

主管団体としてGCJが主導的役割を果たしている「環境保護印刷推進協議会(E3PA)」の主要な事業である「認証制度(クリオネマーク)」の普及、啓発などの事業活動に理解し協力をした。また、同協議会が企画するイベント、セミナーの開催案内をPRし、参加の協力をした。

同協議会にGCJから役員1名を派遣、現在は9社が会員として参加している。

(2)一般社団法人日本印刷産業連合会「グリーンプリンティング認定制度」への協力

一般社団法人日本印刷産業連合会(以下、日印産連と略す)が推進する認証制度「グリーンプリンティングマーク(GPマーク)」の支援や普及、啓発に協力した。

(3)日印産連「環境優良工場表彰」への協力

印刷関連企業の優れた環境への取組みを表彰する「第16回印刷産業環境優良工場表彰」が行われたが、2019年度はGCJの該当者なしであった。

(4)環境関連の情報提供

環境保護に関連する資料の収集及びその啓発に努めた。また、環境関連法令等による職場環境改善、労働安全衛生等の理解並びに対策に資するため、関係官庁・団体等の情報収集、その提供、発信に努めた。 

(5)日印産連の冊子 第3回『印刷と私』を配布

昨年度から実施して好評である、日印産連「グリーンプリンティング認定制度」事務局が主催する、第3回『印刷と私』のエッセイ・作文コンテストの作品募集を行い、「受賞作品集」を発刊。冊子は全国組合員に配布した。

3.日印産連の事業への協調

日印産連傘下の10団体の一つとして、その役割や活動テーマ等を理解し、同会が描く未来志向の計画「グランドデザイン事業」の目的である「印刷産業の発展を通じて、社会の発展や情報文化、生活文化の向上に貢献し」、これまで以上に印刷産業が企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)を果たしていく活動の実現に協力してきた。

さらに同会の事業遂行に理解と協調に努め、各種委員会や研究会、部会などに委員を派遣し、適切な協力関係と交流を促進し、適切な情報収集や提供を受けるとともに、交流の場を通じてコミュニケーションを図ってきた。

【一般事業】

Ⅱ.[組織対策]に関する事業の推進

組織対策事業  

1. 組織基盤・運営対策事業の推進

(1) 全国8会員(工業組合)の組織基盤の確立

①全国8会員(工業組合)と緊密な連携と協力を図り、組織活動を展開し、推進した。
②全国8会員(工業組合)の事業活動などを通じ、同業仲間の連帯意識を持てる組織活動に努めた。

(2) 将来に向けた「組織基盤」や「事業運営」などを多方面から検討

この数年続いている厳しい「財政事情」が憂慮される。具体的な対応策、解決策を見いだすために、役員会などにおいて幾度も意見交換や協議を重ねたが、具体的な糸口を見出すに至らず、真摯に「組織基盤」や「事業運営」などに多種多様なの検討がもとめられている。

(3) 協力関係業種(業界)等との交流を促進

私たちと協力関係業種(業界)との相互理解と協調を深めるため、全日本印刷工業組合連合会、一般社団法人日本グラフィックサービス工業会、全日本製本工業組合連合会と交流を図る「4団体懇談会」を通じて親睦と交流を深めた。

2.関係官庁・関連団体との折衝

業界の発展向上に資するため、経済産業省、厚生労働省をはじめ、全国中小企業団体中央会など関係諸官庁、関連団体と折衝を行った。

3.各種表彰の実施及び推薦  

日印産連主催『2019年印刷文化典』の「印刷功労賞」に加藤啓介氏(GCJ副会長・GC中部理事長)、「印刷振興賞」には井上亘氏(GCJ専務理事・GC東京専務理事)がそれぞれ受賞した。

4.各種事業の推進

各種事業関連対策事業 

(1)経営・技術関連等の関連事業の推進

業界を取りまく「経営」や「技術」に関する情報を収集、広報の機関誌・月刊『gcj』を通じ情報提供に努めた。

(2) 情報セキュリティ対策の推進

1)「情報セキュリティ対策」関連の情報提供
企業活動における「個人情報の保護」「情報セキュリティ」などの重要テーマへの取り組み、さらに得意先から預かる貴重な原稿類(情報)の扱いに関するセキュリティ対策の情報提供や啓発に努めた。

2)「知的財産権」等の情報提供及び啓発・普及を推進 
①知的財産権に関する知識や業務(コンテンツ制作)に関わる「著作隣接権」などの権利の趣旨内容の情報収集に努めた。
②機関誌・月刊『gcj』等で関連情報の提供を行うとともに、日印産連の機関誌『JFPI』から「知的財産アドバイス」を転載し情報の提供、啓発に努めた。

3)福祉共済事業の推進
各種共済の加入促進及び共済事務の合理化を図る。全国8会員(工業組合)と協力して「生命共済制度」「退職金共済制度」等の各種制度の加入促進に努めた。
また、一般財団法人全国中小企業共済財団と連携して事務の合理化、効率化を行った。

4) 労務対策の実施
労働環境の変化に対処するため、関係官庁と協力して指導並びに機関誌・月刊『gcj』等を通じ資料等の提供を行った。

5.「第62回 日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会名古屋大会」の開催

「第62回 日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会名古屋大会」をGC中部が主管で2019年5月17日(金)に「ホテル花水木(三重県桑名市長島町)」で開催し、全国から115名が参集した。

大会は昭和28年にGCJの前身の組織からの有意義な大会として開催されてきた。全国各地から多数の業界の仲間と関連業界の皆様が一堂に集い、情報交換と将来の業界展望などを語り合う場として、今大会はGC中部が担当で、「朝まで語ろう、本音で語ろう、GCJ」を【大会テーマ】に盛大に挙行した。

1)第62回 GCJ名古屋大会 開催概要
◆開催日時:2019年5月17日(金)
◆開催場所:ホテル花水木/ガーデンホテルオリーブ
◆テーマ:朝まで語ろう、本音で語ろう、GCJ
◆宿 泊:ガーデンホテルオリーブ

■主な開催概要
●記念講演会
 講師:五十嵐 敬喜氏
 演題:日本経済は低成長から抜け出せるか 
●式典・表彰   
●懇親会   
●大会観光 
 伊勢神宮/おかげ横町/志摩観光ホテル

2)GCJ各賞表彰 受賞者

大会の席上でGCJの組合員を表彰する「GCJ各賞表彰」が行われた。多年にわたり業界の発展向上に尽力し、その功績が顕著で他の範となる人を表彰するもので、GCJ功労賞3名、GCJ振興賞5名、GCJ精励賞11名の19名が受賞。
①GCJ功労賞は3名。受賞者は次のとおり。(順不同・敬称略) 
 吉川 健(GC中部)/児島隆夫(GC近畿)/永野雅子(GC四国)
②GCJ振興賞は5名。受賞者は次のとおり。
 田畠義之(GC東京)/西山英徳(GC東京)/石川雅之(GC中部)/中田雅文(GC中部)/藤田章二(GC四国)③GCJ精励賞は11名が受賞。 

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