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パートナーシップを結び 新規開拓にチャレンジ!

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東京グラフィックコミュニケーションズ工業組合(以後、GC東京)は、12月8日、東京都千代田区の文化産業信用組合の会議室で、錦山慎太郎理事長、松浦睦桐副理事長、田畠義之副理事長、佐々木幸太専務理事の 4氏による「GC東京三役新春座談会」を開催しました。2021年5月に新執行部が誕生し、新しい組合体制でスタートをしたGC東京並びにGCJですが、新規事業も立ち上げ、着々と実績を上げています。そこで 2022年のスタートに当たり、GC東京三役の4氏にこれからの印刷業界におけるGC東京の事業戦略や、個々の組合員の経営の仕方などについて多角的に語っていただきました。当座談会で話されたことは全国のGCJの組合員に対しても言及する内容になっています。
司会進行は松浦副理事長が務めました。

松浦氏、錦山氏、田畠氏、佐々木氏

出席者
◆錦山 慎太郎 氏
 GC東京理事長、GCJ会長、株式会社共栄メディア 代表取締役社長
◆松浦 睦桐 氏
 GC東京副理事長、GCJ副会長、株式会社ローヤル企画 代表取締役社長
◆田畠 義之 氏
 GC東京副理事長、GCJ副会長、株式会社セントラルプロフィックス 代表取締役社長
◆佐々木 幸太 氏
 GC東京専務理事、GCJ専務理事、東京平版株式会社 代表取締役


強みを深掘りし多様な分野に進出

錦山理事長


松浦 新執行部がスタートして半年が経ちました。最初に錦山理事長に振り返っていただけますか?
 
錦山 組合事業を進めるに当たっては、常務理事を5人設けて5つの事業を遂行していくことにしました。5人の常務理事の方々にそれぞれ事業を担当してもらったのですが、本当によく頑張って取り組んでいただいています。その点で適材適所だったのではないかと思っています。今年はこのまま事業を継続させて具体的な成果に結びつけていくつもりですし、着々と実現に向かっているのではないでしょうか。
 
松浦 ではGC東京の今後の在り方、組合員の強み・特長などについて、最初に錦山理事長にお聞きして、その後引き続き田畠副理事長、佐々木専務理事にお話をしていただければと思います。では、錦山理事長お願いします。
 
錦山 GC東京は、製版会社を中心にDTPを業務にしている組合員が加わって構成されているわけですが、近年、さまざまな要因で組合員が再編成されてきました。それでも根底にあるのは製版という“色作り”だと思っています。その色作りを基盤に、多彩な事業を展開している組合だと考えています。
 また、「強み」については、デジタル指向、デザイン・制作への移行、印刷設備の強化、さらには加工・発送までトータルで事業展開と、各組合員がそれぞれ「強み」を持って経営をされているなと思います。またパートナーと組んで事業の幅を広げている組合員もいますから今後が楽しみですし、組合としては組合員同士がパートナーを組めるように、それぞれが取り組んでいる事業を紹介し情報交換することで、仕事で協業化できる体制を築ければと考えています。

田畠副理事長


田畠 現在の組合員はプリプレスレスの淘汰の時代を乗り越えてきた感があり、生き残っていること自体が強みとしての証明になっているのかなと思っています。多様性がある組合員で構成されているのは、時代に応じて変化してきたからだと言えるでしょう。今後の戦略としては、その強みを深掘りして、それぞれの特長を活かしていくのがベストだと考えますが、顧客のニーズも多様化していますから、いろいろな仕事を請けていかないと厳しいのも事実です。自社だけでできない案件の場合は、理事長もおっしゃったように、組合員同士がいつでもパートナーを組めるような強いネットワークを形成していくことが重要になるでしょう。いずれにしても、印刷産業が縮小している中で生き残ってきた組合員は独自のノウハウを持っているわけですから、皆でノウハウを共有して今後に活かしていければいいなと考えています。


佐々木 我々の強みというのは技術力だと思っています。その技術力を各社の事業に合わせた形で展開して、事業領域を変えて今日まできました。技術力を基盤にいろいろな分野に進出し、その結果生き残ってきたというのが我々の組合と言えると思います。GC東京の組合員の多くは印刷会社からの「孫請け」の仕事が多いわけですが、そんな状況下、製版工程のデジタル化で製版の仕事自体が問われる時期が来ています。これからは孫請けの体質から抜け出して、「直請け」で受注する企業にならなければと考えています。時代に対応して事業領域を拡大していくことが重要な経営戦略になると認識しています。製版という枠組みにとらわれずに、コミュニケーションコンテンツを作る産業であることを意識して、どのようなアプローチの仕方で得意分野の市場を開拓していけばいいのかを考えていく必要があるでしょう。今の各組合員はそれぞれ特長を持っていますが、さらに磨きをかけて、進むべき道を見つけて、そこに向かって事業を変えていくことがますます問われてくると感じています。そして、組合員同士が情報共有し、協力し合って進むべき道を見つけられるような活動をしていけたらいいなと思っています。

今後はコミュニケーションコンテンツ作りを

松浦 製版会社は10年前と比較して会社の数が半分以下に減っています。現在は新たなメディアの領域に進出したり、印刷の後工程に注力したりして、新たな事業に舵を切った会社が生き残っている感じがします。そのため、組合員同士が仕事でかぶるということがあまりない印象を持っています。特化した仕事で市場開拓されているので、自社でできない仕事を他の組合員に依頼し回している状況になっているのかなと。ですから、あえて強みが何であるかと言えば、変化をし続けたこと自体が 強みになっているという気がします。
 それと、皆さんそれぞれ武器を持っていらっしゃるので、お互いのノウハウを持ち寄り、協力し合ってチャレンジしていくことが大切だと考えています。また、佐々木専務理事がおっしゃった直請けをしていかないと、私たちの技術力をアピールする機会が無くなっていく気がします。

佐々木 直請けの意味には、単なる印刷業であってはいけないという意味が含まれています。確かに印刷は我々のコアなビジネスではありますが、顧客はコミュニケーションコンテンツを作る会社にWebサイトや動画などさまざまなコンテンツを依頼し発注していくようになるでしょうから、我々としては直接クライアントと付き合えるように、コンテンツのさまざまな相談に応じて、制作に携われる会社になっていくことが求められるわけです。GC東京の組合員は多彩なコンテンツを作れる点が強みになっていますので、印刷ありきで物事を考えていては、これからは経営が成り立たなくなっていくはずです。

田畠 下請けするにしても他社にない技術力やノウハウを持っていれば、製版業、印刷業の分野で強みを活かした経営に特化していくことは可能かと考えています。確かに市場の大きな流れは紙からデジタルに移行していますから、紙に特化した印刷業はますます厳しくなっていくとは思います。

錦山 製版・印刷会社はこれまで以上に数が減っていくでしょうから、さらに進化が求められてくるはずです。お客様の困りごとを解決する中で、印刷があったり、Web制作や動画があったりするわけですが、お客様が何を求めていて、お客様にとってどんなメディアが最適なのかを再確認する必要があるでしょう。困りごとを解決し売上を上げるために貢献できるデータを制作していくのが我々の仕事であり、そのデータ制作の技術力やノウハウの強みを発揮できればよいと考えています。
 それと、組合の事業で今後重要になってくることは、一般企業のお客様のところに直で営業ができるスキルを身に付けさせる勉強会を開くことなのかなと考えています。例えば、広告代理店は一般企業に営業しているわけですから、そこのスーパー営業マンを講師に招き、我々の若手営業マンに営業のノウハウを教えてもらう勉強会を開くというのもいいかもしれません。やはり一般企業に営業していくには今までとは違ったアプローチの仕方があるでしょうし、またITツールを使ったノウハウもあるでしょう。市場のターゲットを変えていくためには営業が一番大切ですから、そこに焦点を当てて若手営業マンを育成していくことが、組合の事業として求められてくると考えています。

佐々木 世の中に印刷会社は何万とあるわけですから、コミュニケーションコンテンツを作る会社もそれに匹敵するだけの数が必要になってきます。印刷だけで食べていくのではなく、さまざまなコンテンツを企画・提案できる力が要求されます。思考を変えていく必要がありますね。

一般企業直請けの営業を目指す

松浦副理事長

田畠 製版会社が印刷会社などの同業や関連業へ営業していくのは、培ったノウハウを持っていることもあって、さほど問題なくこなせてきたわけで、一般企業に直接対応できる営業力となると、ソフトパワーを上げていく必要があるわけで、そのハードルは相当高くなります。それでも、一般企業市場を開拓していくためには営業力を付ける必要があるでしょうね。

佐々木 従来の営業のままでは非常に難しいですから、一般企業に向けた専門の営業部隊を作っていくしかないと思いますね。

錦山 確かにそうなのですが、しかし、既存の営業マンに、現在の営業の仕事がなくなるということで、「はいご苦労さん」と言って辞めてもらうわけにはいきません。経営者としては、既存の社員の仕事の仕方を、少しずつでも変えていく努力をしなければいけないなと思っています。

松浦 未だコロナ禍が続いているわけですが、アフターコロナのメディアについてはどうお考えでしょうか?

錦山 コロナ禍で世の中のメディアが一気にデジタル化していますから、我々もそれに対応しなければならないとは思っています。今までなら印刷物でも良かったのですが、印刷物でなくても構わないという意識に変わりつつあることを感じます。弊社ではカタログを制作しますと、同時に関連する動画も作ることにしています。カタログの内容を解説した動画を見て分かるようになれば、それが主流になってくると考えています。読むよりも見たほうが早いという時代になっていることを実感しています。実際弊社では、今後動画コンテンツを受注し動画制作に力を入れていく方針です。

松浦 一般企業ではテレワークが増えてきたため、営業活動でお客様に訪問できなくなりつつあります。弊社ではWebサイトのランディングページを作って、次々と更新して集客に結びつけています。そして、問い合わせしてきた企業に対して営業活動をしていくようにしていますから、新規に訪問して足で稼ぐ営業活動は必要ない状態です。しかし、問い合わせがきた企業にはきちんとフォローをして、受注に繋がる営業活動をしていくように切り替えています。もうこの方法を3年程続けていて、最初の1年はほとんど問い合わせがありませんでしたが、現在は毎日何らかの問い合わせがくるようになりました。個人の小ロット案件や一部上場からの依頼など多彩ですが、お陰様でコンスタントに新規の案件を獲得することができています。Webに注力した営業をしていなかったら、今頃弊社はどうなっていたのか想像すると恐いですね。ですから、Webでの営業はすごく重要だと考えています。

田畠 そもそもアフターコロナがあるのかないのか微妙ではありますが、現在の印刷産業の行方を考える際に、コロナが終息したとしてもニューノーマル時代になることは明らかです。以前の印刷産業の業態のままでは経営が厳しくなるでしょう。松浦さんのおっしゃるように、情報伝達がオンラインに転換する動きが活発化していることを肌で感じますね。そして、印刷については必要なものしか残らないと。「去年印刷したから今年も印刷しましょう」とはならず、必要かどうかというフィルターがかかり、必要ないと思われたら消えていくでしょう。
 イメージとしては5年後、10年後の印刷市場が一気に目の前に来てしまったと感じています。しかし、印刷市場が縮小したとしても、我々から見れば巨大な印刷市場は残っていくはずですから、各社が本当に魅力的で価値のある印刷を目指し、需要があるものを深掘りして提供していくことができれば、印刷市場の中で価値のある印刷会社として生き残っていけると思います。しかし、そこで残れる数社は限られ、周辺事業の開拓も重要と思われますが、差別化なしにデジタルメディアを狙って進出しても、そこには既にその分野の有力企業がいるわけですから、簡単には勝てません。プリプレス分野などと相乗効果の狙えるデジタルメディアに絞って、付加価値のあるデジタル需要を喚起していくことが大切になってくるかと思います。その時に自社単独で事業展開するのが困難であれば、組合員の中で差別化をしっかりと発揮し周辺デジタルメディアを開拓しているところがあれば、そこと組んで一緒に顧客に提案していくことも考えていけばよいのかなと思っています。

組合員同士が組んで新市場に進出する

松浦 今後組合を維持していくためには、組合員にどんなことをアピールし、また、組合事業に参加してもらうためには何をすればよいと思われますか?

錦山 印刷業界にはたくさんの組合が存在していて、その中で選んでもらわなければならないわけですが、GC東京では5つの事業を設けています。存在価値事業では、我々が写植・製版業で培ってきた技術やノウハウを土台にしてさらにステップアップさせていく際、どの方向を目指そうかと考える時に、組合員の有益な情報があればそれを活用できると思うのです。そんな個々の組合員の情報を発信していくことが重要かと考えています。しかし、前提として個々の組合員を知っておかないと何も始まらないと思ったので、「情報交換事業」を立ち上げて機関誌『gcj』に組合員を紹介することにしました。そして、組合員同士がパートナーシップを組んで一般企業にメディアの提案をしに行くという組合にしたいと考えているわけです。

田畠 そのためには個々の組合員がまずは強みを持って得意分野を深掘りし、力を付けた組合員同士が組んで、新規開拓に乗り出すということが大切なのかなと思います。組合員がみんな高額な機械を導入したり、高度な技術力の保有や営業の企画・提案を行ったりするのは難しいわけですから、それぞれ独自の強みやノウハウを組み合わせていくことで、可能性を見出せるのではないでしょうか。

錦山 そうですよね。組合員はそれぞれリソースが異なり、皆が高額な機械やマーケティング施策に富んだ営業をしているわけではありませんから、パートナーシップを組んで組合員が持っている機械を別の組合員が活用できる仕組みを作っていけば、経費削減に繋がりますし、ノウハウも共有することができると思うのです。それと、機関誌『gcj』の中で毎月、組合員の会社を紹介しているのですが、現在は理事ではない組合員を優先して紹介しています。取材に行きますと、自社が掲載されれば今まで関心がなかった人も見てくれますから、組合事業に興味を持ってもらえて、勉強会があるとなれば参加してみようかなという話になってくると思うのです。今のところはGC東京の組合員を載せていますが、全国の機関誌ですから、今後は全国にも展開して各工組の組合員も紹介していくつもりです。そして、組合事業に関心を持ってもらって事業に参加したり、組合員の増強に手を貸してもらったりして、最後にはgcjの執行部になっていただければ最高に嬉しいですね。

佐々木 機関誌に紹介することも大事なことですが、どうやれば組合員の参加数を増やせるのかを真剣に考えなければなりません。それには、できるだけ興味を持ってもらえる勉強会やセミナーを開催していくしかないかと思っています。実際、経営に役立ちそうな勉強会であれば、これまで知らなかった組合員が参加したりしますからね。その参加を契機に繫がりをしっかりと持つようにしていくことが大切なのかなと・・・。
 それと、今は勉強会やセミナーを開催することだけに集中していますが、どうやって参加者を集めるのかという集客の方法に力を入れていないのが問題です。本当に多くの参加者に来てもらうための活動方法を考えていかなければならないと思っています。開催間際になって参加者を集めようとしても時間的に無理がありますからね。計画を立てて事前準備する必要があります。ビジネスでも新事業を始める際はしっかりと計画を立てて準備しますよね。本来の目的にかえって勉強会やセミナーを開催していく必要があるとつくづく思います。
 あとは「青年部」を設置することでしょう。青年部がないと組織は存続していきませんし、新しい人や若い人が育っていきません。若い人が勉強会やセミナーに参加してもらわないと、組合の裾野は広がらないですからね。

錦山 青年部を設立する案はあります。他の組合では組合に入ってもらう時に最初に青年部に加入してもらって、親会の動きを見て、その後理事として親会で活動してもらうという仕組みができあがっていますが、GC東京ではそのような仕組みがまだありません。ですから青年部を設ける必要は感じています。そのために、まずは財政を回復して、どこかのタイミングで組合員に組合存続の意味から青年部の必要性を理解してもらって、青年部を創設したいと思っています。

松浦 では最後に、今年7月に「GCJ東京大会」を開催しますが、全国の組合員さんに向けてPRをしていただけますか?

錦山 GCJ東京大会は、2022年7月29日(金)、文京区後楽にある東京ドームホテルで開催することが決まりました。基本的なテーマは「GCJ万博」で、「仲間を知って、ビジネスを広げよう」をサブタイトルに、およそ200人のお客様を招待するつもりです。式典では歴代の理事長などの表彰式の他、若手経営者がGCをどう考えていくかというパネルディスカッションを開く予定です。それとまだ企画段階ですが、東京ドームホテルと組合員の会社をネットでライブ中継して、工場の稼働状況または生産している作品・商品を観ていただくことも考えています。さらに、組合員各社の事業内容を展示パネルするのですが、動画配信をして会場に来られていない組合員の社員の方々に見てもらう企画も考えています。その後で懇親会を開催する予定です。
 このようにGCJの仲間を知っていただき、仕事を出し合える環境を作っていくことをテーマにしますから、できるだけ多くの組合員の方々に参加していただきたいですね。また、印刷・製本・後加工業者といった他の印刷関連業界の方々にも来場していただき、我々GCJの組合員が実際にどんな仕事をしているのかを知っていただきます。仕事の発注だけでなく、パートナーとなって新しい市場にチャレンジしていく場になればと考えています。さらに広告協賛会社の方々にもメリットのある大会にしたいということで、組合員のパネル展示を見ていただき、その内容から自社の機械や資材、システムを当該の組合員に売り込む機会を提供できるようにしたいです。GCJ東京大会を通じて、内外に広くGCJの存在価値を伝えることができればという思いで取り組んでいきます。

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