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経営者・幹部社員が知っておくべきメンタルヘルスリスク対策

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経営者・幹部社員が知っておくべきメンタルヘルスリスク対策
――社員の精神障害を防いで、企業はリスクを回避する――

 GC東京は、3月24日(火)、東京・飯田橋の東京しごとセンターで、事業推進委員会部会セミナーを開催した。今回は、ながもり労務経営デザインオフィス特定社会保険労務士の永森延和氏を講師に迎え、『経営者・幹部社員が知っておくべきメンタルヘルスリスク対策』をテーマにセミナーを行った。永森氏は、メンタルヘルスリスクの現状、企業に及ぼす影響、ストレスチェックの重要性など、企業が取るべき対策などについて語った。その講演のポイントについてまとめてみた。

メンタル障害の社員は企業にコスト増をもたらす

講演する永森氏 最初に永森氏は、企業には「パワハラ」「セクハラ」「モラハラ」「マタニティハラスメント」「残業代未払い」「不当解雇」などのリスクがあることを説明した。
 また、大手広告代理店の社員の自殺したケースの賠償金が、1億6,800万円の高額になったが「金額よりも過労死が労災として認められたことが画期的なことである」と述べた。今日、残業は1カ月で100時間(6カ月平均で80時間)を超えると、他のさまざまな要因と併せて労災と認められるという。統計から近年は精神障害になる労災認定が増えているという。
 メンタルヘルスに問題を抱えている正社員がいる企業の割合は、全国10人以上の民間企業の内で56.7%(独立行政法人労働政策研究・研修機構2012年の報告)。3年前の同様の調査から31.7%の企業が増えたと回答している。
 メンタルヘルスで代表的なのがうつ病で、これになりやすい要因は「職場環境」「業務環境」「社会環境」にあるとし、仕事をしていく中で発症するケースが多いことを示唆する。原因は「長時間労働」「ストレスの蓄積」「環境の変化」「精神的ショック」等を列挙。うつ病になりやすいタイプは「律義で義務感、責任感があり、几帳面で凝り性の人が多い。それに気持ちの切り替えができにくい人がうつ病になりやすい」と、指摘する。
 メンタルヘルスリスクが企業に及ぼす影響としては、(1)休業による他の従業員の負担増。ミス、労災事故の危険性が増大。現場や人事担当者の負担が増えて、労働生産性が低下する。(2)残業代、納期遅延に伴う損害賠償責任によるコスト増加。(3)モチベーション低下、人材流出、ブラック企業化による職場環境の悪化、などを挙げる。
 コスト増になるのは「1つは、通院・体調不良等による欠勤が増える『アブセンティーイズム』によるコスト。これは欠勤しているからまだ目に見えるが、出勤していても仕事ができる状態ではない『プレゼンティーイズム』の社員は見た目では判別しづらく、結果的に仕事をしていないことでコスト増になっている。メンタルヘルスリスクはコスト増になることを意識する必要がある」と、説く。

ストレスチェックを実施し精神障害の早期発見を

 会社として特に注意すべきは、万が一社員が労災で亡くなって遺族から民事訴訟を起こされた時には、場合によっては億単位の高額賠償金を支払う必要が出てくる可能性があるということである。それによって会社は「安全配慮義務違反」があったとされ、イメージを落とすことになると指摘する。
 そもそもメンタルヘルスとは「こころ」の健康のことを指し、メンタルヘルスの不調から障害へ移り、その境目はない。誰にでも不調になる可能性があるとし、本人は疲れに慣れて、気づかないでいると、メンタルヘルス不調となって身体に症状が出てくる。睡眠、休暇を取らなくなる。遅刻・早退・欠勤が増え、作業能率の低下、孤独感、抑うつ感、自責、絶望感、自殺念慮へ進んでいく。
 「大事なことは、早期に発見して早期に対応することである。そのためにはストレスチェックを行い、本人に早く気づいてもらう必要がある」と、訴える。
 厚労省では、このほどストレスチェックの実施を義務付けた制度を創設し、平成27年12月から施行することになった。従業員50名以上の会社ではストレスチェックを実施しなければならない。これは1年以内ごとに1回以上行う必要があるもので、医師や保健師によって、「仕事のストレス要因」「心身のストレス対応」「周囲のサポート」の3つの分野に対してアンケート形式で行われる。
 ただし、本人の同意を得ないで結果を会社が取得することはできないこと(10人以上の企業は集団分析結果を入手することは可能)。また、従業員にストレスチェックを受ける義務は課せられないという点である。
 経営者が取るべき対策は、労務相談ができる弁護士・社労士を持つこと。定期健康診断とその強制力を明記した就業規則の整備。産業医の保有。使用者賠償、雇用関連賠責など保険手当などが必要だと述べる。「まずは社員自身がセルフケアすることが一番大事である。自分の考え方の癖を知って、バランスある考え方をして、あまり几帳面にならず、もう少し楽に考えていくことが大事である。また、ストレスの発散方法をいくつか持っておくことが大切である」と、心の持ち方を指南した。

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