page2024 展示会レポート

テーマ「連携」の下、最新の資機材が一堂に会する

テーマ「連携」の下、最新の資機材が一堂に会する

(公社)日本印刷技術協会(JAGAT、塚田司郎会長)が主催する「page2024」が、2月14日から16日までの3日間、東京・池袋のサンシャインシティコンベンションセンターで開催された。今回のテーマは「連携」で、自社にはない強みを持つ企業とのコラボレーションによって、課題や問題を解決していくことを提案しており、会場ではニューノーマル時代に相応しい印刷ビジネス関連のソリューションが各出展社から紹介された。主な出展社の内容についてレポートする。

生産現場の効率化と高品質化を追求

 「デジタル印刷とオフセット印刷の両輪による生産改革」を提案したのが、富士フイルムグラフィックソリューションズ株式会社  である。特殊トナーの搭載が可能な6色機である「Revoria Press PC1120」をはじめとしたデジタルプレスとオフセット印刷機を、生産機としてフレキシブルに併用することで、生産の効率化とムダをなくし、「人材や設備の有効活用」「新規ビジネス創出」などを可能にするソリューションを提案した。
 「Revoria Press PC1120」は、デジタル印刷にかつてない表現力をもたらす1パス6色プリントによる高画質・高速処理、薄紙から厚紙まで業界トップクラスの用紙対応力を訴えた。また、印刷をしながら自動で印刷物を検査し、不良品をリアルタイムで検出する「検査マネジメントシステム」では、人手に頼る検査作業負荷を軽減し、検査品質のバラつきを抑え、「品質の安定化」「生産性の向上」に寄与する新機能を紹介した。総合カラーマネジメントソリューションにおいては、「i-ColorQC」から「GASmile Navi」、そして今回「FFGS QC Navi」(仮称)へ進化させて提供することになる。
 さらに、「Revoria Press PC1120」の特殊トナーを活用した加飾印刷・偽造抑止印刷や、最新の圧着トナーを活用した圧着DMサンプル、「Revoria Press EC1100」の感圧紙対応キットを活用した薄紙、領収書等のサンプルも展示した。

 「変化に応えるプリントビジネス-紙とデジタルの共創-」をテーマにしたのが、コニカミノルタジャパン株式会社  。変化するニーズや環境に対応するためにデジタル化やマーケティングとの連携に加え、プリントビジネスに役立つ「生産プロセスの効率化」「印刷物の価値向上」「SDGs 支援」の観点から支援するシステムを出展した。
 デジタル印刷機では、封筒印刷の効率化と検品作業の軽減を図った「AccurioPressC4080」、新製品の高彩度トナー×オンデマンド箔を実現した「AccurioPressC84hc」などを出展。また、四方断裁、スジ入れ、名刺カット、ドブ断ち、ミシン目など多彩な加工を自動で処理することができる「インライントリマーユニット TU-510」を紹介。「AccurioPressC84hc」にオプションとして装着し多彩な加工を1ユニットで実現できる多機能性をアピールした。
 新製品ではPP機を保有しているユーザー向けに、プリンターの持つ情報を一括して可視化し、管理の効率化と工程の継続的な改善を支援する「AccurioPro DashboardJobManager」を出展した。
 注目は、プリプレス工程から次工程までの生産自動化で、PRINT SAPIENS、iCE LiNKとシステム連携し、印刷工場における省人化・自動化を図るワークフローシステムである。MISとの連携に加え、AccurioPro Fluxで印刷前工程の自動化と帯掛け処理を紹介した。
 また、封筒に印字されたQRコードをリアルタイムで検品するバリアブル印刷の紹介や、RGB画像を出力に最適化したAccurioPressC84hcによる広い色域とオンデマンド箔によるメタリック表現を提案した。

 印刷現場の働き方改革を実現するソリューションから新時代のフォントプラットフォームを提供する株式会社モリサワ  は、デジタル印刷機では「RISAPRESS Color4080」を出展した。同機による働き方改革の課題である知識やスキルを不要とするスキルレスの作業性、ムダのないシンプルな印刷プロセス、高品質と高速処理を訴求した。
 フォントでは、2023年にリリースした新書体を紹介。「A1明朝」が3ウェイト構成のA1明朝ファミリーとして新たにリリースしたことを訴求。他にも個性的な書体を大幅に拡充した。また、高品質なフォントを便利に使えるフォントプラットフォーム「Morisawa Fonts」を紹介。定番書体からデザイン書体まで、あらゆる創作を支えるフォントが揃っており、フォント管理や契約手続きをオンラインで実現できるのが特長である。デバイスにとらわれないライセンスで、利用場所を選ばないワークスタイルを実現した。会場では、来場パスをスタッフに見せるだけで総合書体見本帳をプレゼントし盛況を博した。

 「デジタルで彩る印刷のカタチ」をテーマに出展したのが株式会社SCREEN GPジャパン  。同社はソリューションプラットフォーム「EQUIOS」を中心にCTPワークフローからデジタル印刷へ展開するノウハウを分かりやすく紹介した。デジタル印刷による最新サンプルの展示や、実機でのワークフローのデモンストレーションを通して、当社グループが推進する「印刷のカタチ」を提案した。
 デジタル印刷ソリューションでは、商業印刷向け連帳デジタル印刷機「Truepress JET 520HDシリーズ」をはじめとして、軟包装向け「Truepress PAC830F」、紙包装向け「Truepress PAC 520P」、ラベル向け「TruepressLABEL 350UV SAIシリーズ」などを出展し、印刷工程の効率化と高い印刷品質を実現したサンプルを紹介した。
 また、本紙校正用インクジェットプリンター「Proof Jetシリーズ」による、蛍光ピンクインクを活用した特色の高精度なカラーマッチングを提案。デジタル印刷でのOne to Oneマーケティングなどに欠かせないバリアブル印刷データ作成ソフトウェア「PDFormstudio」をデモンストレーションで紹介した。
 その他では、ソリューションプラットフォーム「EQUIOS」、デジタルワークフロー自動化ソフトウェアの「デジタルコンテンツファクトリー E2E」、Webポータルシステム「EQUIOS Online」、色評価用LED照明「Tino4000RA98P」などを出展した。

メーカー・企業間の連携が加速

 印刷会社が現在の業界の課題にうまく対処し、顧客により良いサービスを提供できるよう支援する革新的なデジタル印刷、プリプレス、及びソフトウェアテクノロジーを提案したのがコダックジャパン  。「SONORA XTRA」による持続可能で省資源なプロセスフリープレートで革新的な技術を提供する同社は、「KODAK SQUARESPOTイメージングテクノロジー」を搭載した「KODAK TRENDSETTERQ400プレートセッター」でSONORA XTRAの簡単かつ迅速なイメージングを披露した。
 また、デジタル印刷ソリューションからは、「KODAK PROSPERインクジェット印刷機」及びインプリンティングシステムのKODAK ULTRASTREAMコンティニュアスインクジェットテクノロジーを活用した「PROSPERULTRA 520 Press」の高いオフセット品質のサンプルとビデオ映像を紹介した。
 ワークフローからは、ワークフロー自動化と従来印刷及びデジタル印刷プロセスのサポートを提供する「KODAK PRINERGY」プラットフォームソリューションのデモンストレーションを行った。PRINERGYはクラウド、オンプレミス、またはサブスクリプションバンドルを備えたハイブリッドソリューションとして利用可能で、印刷会社に究極の価値とコスト削減をもたらすもの。同プラットフォームは、ほぼ全てのサードパーティソフトウェア及び機器と互換性があり、幅広いデジタル印刷機に接続できるのが特長である。

 まさにpage展のテーマである「連携」という言葉が相応しく、近年他メーカーと連携してきたのがホリゾン・インターナショナル株式会社  である。同社は「現場をもっとスマートに!」をコンセプトに、印刷加工現場においてスマートに仕事ができる空間・仕組みづくりを提案した。
 ポストプレスマネージメントシステム『iCE LiNK』は、クラウドを利用して製本機及び後加工機の一元管理を可能にし、ビジネス領域の拡大を図るもので、UltimateTechnoGraphic社の製本仕上げの自動化ソフトウェアとiCE LiNKの連携により、高い生産性と高度な自動化を実現するEnd to Endのワークフローを紹介した。また、キヤノンブースと連携した、自動化ソリューションのAGV連携ロボット投入無線綴じシステムでは、用紙搬送から積載まで、AGVを活用することにより無人化を実現した製本システムを紹介した。
 新製品の無線綴じ製本機『BQ-300』は、隣の印刷革新会のブースに出展し盛況を博していた。同新製品は、新世代の15インチパネルHorizonXUIを初搭載した1クランプモデルで、製本のノウハウや自動化技術を融合し、オペレーターの経験や能力に頼ることなく作業を行うことが可能である。印刷革新会ブースで稼働実演を行い、好評を博した。
 その他新製品では、カードまとめ装置付きシステムで、名刺やカードの型抜きから集積までを自動で行う、ロータリーダイカットシステム『RD-N4055+GST-50RD』を出展した。

 色校正における課題を解決すべく、本紙及び専用紙のプルーフシステムとインクジェットペーパー「BrightJetFS」を紹介したのが株式会社新星コーポレィション  である。主な出展内容は、オフセット・紙器パッケージに最適な本紙対応プルーフシステム「Direct Color Proof Type-M」、グラビア向け本紙対応プルーフシステム「Direct ColorProof Type-R」、色再現性を重視した「新星 GravureProof」、JapanColor認証メディアの紹介を行った。
 Direct ColorProof(Type-M/Type-R)は、印刷本紙にダイレクトプリントし、リアルな質感、高精度のカラーマッチングを実現。グラビア印刷・フレキソ印刷等の軟包装印刷、パッケージ印刷、オフセット印刷等、各種本紙にダイレクトプリントが可能である。モック作成や本紙校正用途に、高精度のカラーマッチングを実現する。用途に応じてType-MとType-Rの2つのタイプを用意している。
 またFSC®認証取得の発色豊かな水性インクジェットペーパー「BrightJet FS」は、SDGsに対応する素材でFSC®認証紙を使用した銀塩プリントの質感を持った高品質なRCベースの水性用ポスターペーパー。速乾性と耐水性・防塵性に優れ、写真・ポスターをはじめ、屋内ディスプレイにも最適なメディアで好評を博している。

 今回のpage 展では、新たに連携ゾーンを設置した。テーマに相応しく「クリエイター連携ゾーン」と「異業種連携ゾーン」を設けた。クリエイター連携ゾーンには(公社)日本パッケージデザイン協会が出展している「日本パッケージデザイン大賞」の受賞作品や、富士フイルムグラフィックソリューションズによるIPA受賞作品やユーザー事例、シンクイノベーションも出展した。一方の異業種連携ゾーンには、三越50年の配達プロジェクトなどが出展されるなど、ユニークな作品が揃った。

従来にない新製品も出展

 リコー製のプロダクションプリンター2機種やPODユーザー会員の活動事例を出展したのが株式会社大塚商会  である。同社は、ブース壁面に全国のPODパートナー会員191社のビジネスを紹介。また会員企業37社の活動事例や、同会で開催したカレンダーコンテストの入賞作品を展示した。
 カラープロダクションプリンターでは、「RICOH ProC9500」を展示。また、新開発の制御システム「RICOHGC OS」により、さまざまな用紙の設定や調整、機器の利用状況やメンテナンスの管理のスキルが不要となる。会場では、オプションの検査装置を搭載した印刷システムを提案した。さらに、「RICOH Pro C7500」や、昨年12月に発売した枚葉インクジェットデジタル印刷機「RICOH Pro Z75」の動画と印刷サンプルも紹介した。

 その他、注目したいのが株式会社モトヤ  である。冬場の低温時に印刷不良が発生するのを改善した紙面昇温装置「SION」を出展。同機は町田印刷株式会社が開発・製造した装置で、それをモトヤが販売代理店として発売している。熱風を紙面及び用紙間に噴射することで、インキの着肉不良や紙ムケといった問題を防ぎ、暖房室で用紙を長時間温めるシーズニングスペースを必要とせず、電気料金の削減も可能となっている。
 また、新発想除電装置「放射式除電装置」も出展。同製品は帯電物への放射式で電気力線を放出。イオナイザー式とは除電方式が異なり、電極発塵や微風、オゾン等を発生させないのが特徴である。除電バーの位置は15cm~20cmが最も効果があるが、約3m以内であれば除電効果があるとのことで、実演を見せて来場者からの関心を寄せていた。

 GCJの会員である株式会社アズワン(GC東京)と株式会社ニューキャスト(GC中部)がメンバーとなっている自動組版普及委員会(ACDC)  も出展。アズワンは、AdobeInDesignからのデータ抽出やAdobe InCopy(アドビ インコピー)を使った雑誌制作等の自動組版のワークフロー構築、さまざまな自動組版の取り組み支援をアピールした。また、ニューキャストは、DX、業務効率化を「印刷物をデータ化する」ことから訴え、DOT3による原稿集めや自動組版をクラウド上で実現し、印刷物制作を効率化しながらデータをWEBやその他システムと連携させることで、業務全体の効率化を提案した。また、株式会社サイバーテックは、提供している国内シェアNo.1のXMLデータベース(XMLDB)「NeoCore」を紹介した。

 特筆すべき製品として、リコーブース内でリコーデジタルペインティング株式会社  が「ボトルプリンター」を出展した。同製品はガラス瓶、陶器、水筒など表面360度の円周に文字や写真、イラストなどをフルカラーで直接印刷するユニークなプリンターで、円筒だけでなく四角の形状にもプリントできるのが特徴である。

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