HP運営の見える化と仕組み化を行い共有する

今回は、7 月21日にGC中国主催・GCJ後援(担当:GC 東京人材育成事業委員会+GC中国)で開催したウェビナーの内容を紹介する。講師は株式会社オルタナワークスの代表取締役・新居鉄兵氏。「ホームページ(以後、HP)で失敗しないためのWebマーケティング」というテーマで、デジタル時代に必要なWebマーケティングについて講演を行った。同ウェビナーはGC中国とGC東京がタイアップし、GCJ会員企業向けに開催したもので、80名以上が参加し好評を博した。新居氏はHPの役割を伝え、失敗事例を原因とともに示しつつ、Webから売るための仕組みを作ることを提唱した。そして、HP事業運営の見える化と仕組み化を確立することを訴えた。

レクチャーズ・ルーム 52

株式会社オルタナワークス
代表取締役 新居 鉄兵 氏(講師)

 新居氏は、高校卒業後プロサッカー選手になる夢を抱いていたが、20代半ばでその夢を諦め、Web制作会社に入社しWebデザイナーになった異色の経歴の持ち主である。その後、SEO系のベンチャーに転職し、顧客のHP作成に携わり売上増に貢献してきた。2014年に株式会社オルタナワークスを設立、代表取締役に就任し、大手・中小企業の業種業態問わず、Webコンサルティング、Webサイト制作を手掛けている。
 新居氏は、「HPを作成したり、運営したりする際は、目的を明確にすることが重要です。実店舗で売っていくのと、HPで売っていくのとはさほど違いはありません。WebマーケティングとはWebから売るための仕組みを作ることで、1つはHP事業運営の見える化を行い、もう1つはHP事業運営の仕組み化をする必要があります」と、HP運営の重要な点を説いた。
 見える化は経営者や管理職の仕事で、売上、営業利益目標を共有し、ターゲット設定や顧客の行動分析、競合調査、商品開発、自社分析、課題の洗い出し、数値目標の設定などを行う。一方の仕組み化は現場運営スタッフが行う仕事で、運営体制の整理(役割分担)、企画・キャンペーン立案・実施、プロモーションの実施などで、例えば、LINE、Instagram、ネット広告など、Webマーケティングとしての仕事になるという。
 「売れるHPを運営している企業は、見える化と仕組み化の両方を行っています。仕組み化に注力している企業が多いですが、重要なことは経営者が見える化を行う必要があるということです」と指摘する。
 新居氏は、成功事例を再現できるのは非常に少ないとし、「失敗事例から学んで成功に繋げていくほうが、失敗する確率は低くなると思っています」と述べ、失敗事例を紹介しポイントを解説した。例えば、SNSをしている新人や若いスタッフをHP担当者に抜擢するのは、実店舗で支店を出す場合と同じであるとし、「新人や若いスタッフに店舗の立ち上げや運営を任せますか?」と指摘し、「その際に、HPの見える化が実際にできるスタッフでないと、HPで収益を上げるのは難しいでしょう」と、新人や若いスタッフに任せるのは避けるべきだという。
 また、HPでは売上目標だけでなく、アクセスの集客人数は何人を目指すのか、どういう顧客に買ってもらうのか、単価や原価、粗利をいくらにするのか、販売費や営業利益等を達成する数字も考えていく必要があると指摘する。
 さらに、「お客様が知りたい情報、役立つ情報を考えて情報発信していくことが大切です。企画や施策をやりっぱなしで売上の増減しか見ないのではなく、何が良くて売上が上がったのか、何が悪くて目標が達成できなかったのかを振り返って分析することが大事です」と話す。
 「売上目標だけではなく、営業利益目標を必ず設定し、運営に関わるメンバー全員と共有してください。顧客が商品を購入する目的は何かの悩みを解決したり、欲求を満たしたりすることですから、そのためにはお客様の属性、ニーズ、行動を運営スタッフがいかに把握し、共通認識できるかが重要です」と説く。競合他社を分析し、自社でしか提供できない価値(ブランド・強み)を作ることが大事だとし、「ターゲットとなるお客様の買う理由、接点、HPコンテンツ、販売戦略に一貫性を持たせることが必要です」。
 最後に新居氏は、「『Web事業計画集計フォーマット』を作成して、月別ごとに売上目標や売上実績、目標対比、受注件数、平均売上等の細かい数字をとっていくことが非常に有効です」と、HPでの数字の取得と分析の大切さを述べ、締めくくった。

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