箔押し加工
五感を刺激し、付加価値を与える「凸の版」
金属凸版や樹脂凸版は、広義では活版印刷になりますが、お客様とともに「凸の版」の加工制作にこだわり続けてきたのが、金属凸版や樹脂凸版の製版会社です。ここでは金属版による凸版写真製版でも、箔押加工・印刷に焦点を当てて説明します。箔押加工は高級感があって人気が高く、確固たる市場があります。お客様に満足いただける製品、安心して使っていただける製品づくりで、箔押印刷による商品は多くのお客様に提供されています。
今日、インターネットを利用したWebによるPRやデジタルコンテンツの広告による販売促進ビジネスが趨勢を帯びていますが、アナログの手作り感と高品質な1点物へのこだわりから、箔押加工を利用した印刷物が新たに注目されています。「立体感」や「手触り感」といった五感を刺激する箔押・浮出加工は、商品に付加価値を与える効果があり、また、より豊かな表現を可能とする方法として利用価値があります。
貴社の商品や媒体を、より魅力的なものにするために、箔押加工による印刷を、ぜひ、一考なさってみてはどうでしょうか。
データ制作・版作成は長年培った技術を持つプロにお任せを
印刷物や販促ツールを使って、いかにお客様の商品をより販売するお手伝いをするかが、広告会社や印刷会社の皆様にとって、日々心をくだかれている課題かと思います。その解決策として箔押しによる「光る加工」「エンボス加工」は効果的な手法です。
箔押加工の用途は、名刺、各種シール、雑誌のロゴマーク、食品パッケージの文字、書籍カバーなどがあり、多種多様です。印刷手法としては、UVインキ+コーターでの部分光沢、浮出やシルクスクリーン印刷、バーコ印刷等の厚盛印刷がされたパッケージ。全体的にエンボス加工された印刷物などは、高級感、手触り感があって人気があります。 データ制作は主にイラストレーターで作成します。お客様が完成データを作成され入稿する場合は、「印刷データ」と「型データ」「完成イメージ」の3点が必要で、とくに箔をどうデザインするかがポイントになります。
データ作成では表紙データと分けて、別に作成する必要がありますし、データは原寸サイズで縮小・拡大はできません。しかもあまりに細い線や細かい点は再現できません。印刷と箔を重なるようにデザインするとか、ノウハウが必要となりますので、データ制作はプロに依頼するのが良いでしょう。
また、版を作る作業も職人技を要します。例えば銅版ですと、銅板の上に感光剤を塗布し、その上にネガフィルムを置いて焼き付けます。ネガフィルムで隠された部分は金属の肌が露出し、光が当たったところは感光剤が残るという仕組みで現像を完了します。次にエッチング液をかけると、銅肌が見えているところは凹み、感光材が付いているところは保護されて残ることで、銅板に凸凹を表わします。
銅版が完成すると、手差しで紙を置いてどこかに欠けている箇所がないかを確認する作業として試し刷りを行います。というのは、版を見ただけでは、細かい線が切れているかどうかが分らないため、試し刷りをする必要があるわけです。
多彩な取扱品目
- 活版印刷用→亜鉛版1ミリ・樹脂版
- シール印刷用→亜鉛版1ミリ・樹脂版・亜鉛版1.3ミリ・銅版1ミリ
- 箔押・型押用→亜鉛版1.3ミリ・マグネ版1.6ミリ・マグネ版3.0ミリ・マグネ版7.0ミリ・銅版
- 凹版印刷用→銅版1ミリ
- フレキソ印刷用→サイレル1.7ミリ
- 彫刻原版用→亜鉛版1ミリ
- 特殊加工→各種工業用エッチング加工や電鋳用等関連版
- 書籍スリップ→入力から仕上げまで
自動彫刻機を使った高級感のある箔押加工
箔押印刷には、箔押ししたデザインの版(凸版)が必要となります。パソコンからデータを送信して自動彫刻機を使って、銅板、アルミ板、亜鉛板、マグネシウム板などの金属板に文字を彫って凸版を制作します。書体のサイズには限界があり、最低でも5pt以上のサイズが必要となります。箔の輝きにより文字が見えづらくなることがありますので、書体やサイズには気を付ける必要があります。
高品質で満足していただけるオリジナル版の提供を信条としています。とくに「箔押し用の版」「シール印刷用の版」など、印刷用の版では刷れない金属凸版による、高級感のある箔押印刷向けを中心に制作しています。
付加価値を高める名入れをお勧めします
最近はオリジナリデザインを追求する傾向にあり、企業名や店舗名などイメージアップを図るために名入れ箔押印刷の需要が高まっています。名刺、グリーティングカード、ショップカード、クリアファイル、年賀状、挨拶まわり用品、賞状、各種表彰品、創立記念品などに名入れ加工するケースが増えています。
ホログラム箔押し
また、偽造防止策としてホログラムの箔押しが注目されています。ホログラムはスキャナーやカラーコピー機で読み取れないうえ、プリンターでは再現できませんから、偽造を抑制する効果があります。
箔押加工の種類
箔押加工には以下のような種類があります。
- 通常箔押
通常の箔押に使われる一般的な金属版には、銅、亜鉛、マグネシウムが用いられます。どの版で作るかは、紙の素材、耐久性(重版頻度)などを考慮する必要があります。製版方法はエッチングによる腐食式ですが、真鍮素材には自動彫刻機を使って作る場合もあります。 - 地紋入箔押
平面に細かな線や網点の模様を入れることで、一層高級感のある箔押に仕上げます。模様は既存のパターンからの選択、またオリジナル・パターンの創作することも可能です。 - 浮出
浮出加工は雌型に金属版、雄型に樹脂版をセットで用いて間に印刷物を挟み込むことで浮き上がらせるものです。 - 地紋浮出
彫刻による模様を入れた浮出で、網目や鱗等の形状・質感を再現する方法です。 - 空押
浮出とは反対に凹ます方法です。箔を使わない押し込みの意味で空押と呼びます。凹み方は台形状になりますが、凹み形状を指定することもできます。 - 浮出箔押
浮出し形状は台形が一般的ですが、丸くドーム型や三角に尖らせるなど形状や高さを指定する方法です。ただし、紙や印刷物の素材による制約があります。 - 特殊箔押
簡単な幾何学模様であればロゴマークを意匠化することができます。
箔の有効活用とコスト削減の重要性
箔押しは高級感があり、美的感覚に訴えかけますので、イメージアップで大きな効果をもたらします。しかし、だからと言っていたずらに多用するのは考えものです。印刷コストが高くついて、商品価格に影響してくる可能性があります。ですから、箔押し印刷を企画する段階から材料に無駄が出ないように、デザインを考慮する必要があります。箔を有効に活用して無駄のない箔押印刷に臨みたいものです。
取材協力:株式会社学術写真製版所
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