電子書籍編
データは語る
若い世代と中高年世代で利用に大きな差が
電子書籍とは、単行本、文庫本、雑誌、漫画などを電子データにしてPCやタブレット、スマートフォンを使って、ディスプレイ上で読めるようにしたものを指します。
特にスマートフォンの普及で小説やコミックの電子書籍市場が拡大し、電車の中で読んでいる人が増えていますが、実際のところはどうなのでしょうか。自宅でも電子書籍を読む人は増えているのかどうか気になるところです。
若い世代はスマートフォンを活用することに慣れていますから、手軽に持ち歩けるという利点もあって電子書籍は身近な存在となっているのでしょうが、中高年の世代は未知のものという意識があり、利用するの若い世代と中高年世代で利用に大きな差がに抵抗を感じている人が少なくないように思えます。
若い世代は、電子書籍を販売する「電子書籍ストア」と呼ばれるサイトにアクセスし気軽に購入しているようです。特に漫画を電子コミックで読んでいる人が増えており、電子書籍の大半が電子コミックというのが実情です。
(株)インプレスが毎年調査している『電子書籍ビジネス調査報告書』によりますと、2022年度の電子書籍市場規模は、6,026 億円で前年比9.4%増となりました。近年順調に成長していることが数値からも窺えます。
同社の予測では2023年以降は前年比7% 増、2025年以降は前年比5%から4%増程度で推移し、伸び率は鈍化するとみています。電子化が進展し、スマートフォンの普及で手軽に読める状況になっているのに思いの外、市場は広がっていないとも言えます。ただし、紙の書籍を読んでいる世代が高齢となって本を買わなくなれば、電子書籍が紙の書籍の市場を自然に上回るようになりますが、しかし、紙の書籍の需要が極端に減少することは考えられません。2023年の紙の出版物の市場規模は1兆612 億円ほどありますから、電子書籍が紙の書籍の市場を上回るのは、まだかなり先のことになるでしょう。
電子書籍はメリットがある反面、デメリットもあります。そのデメリットから、中高年以上の世代は未だに紙の書籍を読む人が多いというのが現状ではないでしょうか。デメリットとしては、「ディスプレイで読むと目に悪い(目が疲れる)」「読んでいるという実感が持てない」「読みたい本が電子書籍になっていない場合がある」「中古で安く買うことができない」「充電の問題がある」「サービスが終了すると読めなくなる可能性がある」といったことが挙げられます。
もちろん、「スマートフォンを持っていればいつでもどこでも買えて読める」「本を置くスペースがいらない」「文字のサイズを変えて読める」「在庫切れにならない」などのメリットもあります。
電子書籍の中で人気なのはやはり電子コミックで、2022年度で電子書籍市場の86.3%のシェアを占めており市場を牽引しているわけですが、今後もこの傾向は変わらないでしょう。そして、本の種類によって紙と電子を使い分けるようになっていくのではないでしょうか。
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