見込み客管理で営業の仕組み化の確立を!
ビジネス講座 @Random
業界関係者に贈る (51)
担当者以外の営業が即応できる体制を構築する
昨今の新規開拓営業では、見込み客を作ってデータベース化して、見込み客管理を行い、それぞれの見込み客に適した営業を進めていくことが求められています。しかし、多くの印刷会社の営業は、名刺交換した見込み客に電話とメールでアポイントを取って訪問するという、旧態依然の営業を続けているのがほとんどではないでしょうか。
デジタルマーケティングが主流になってきた今日の営業では、見込み客を管理するツールを使って営業を展開していくことが、営業担当者の仕事と言っても過言ではありません。
印刷営業でも、名刺交換をして見込み客としてデータベース化し、組織的に管理していく必要があります。アプローチするにしても、いきなり電話やメールをしても簡単にアポイントは取れません。見込み客が関心や興味を示しそうな情報を提供し、場合によっては有益な企画や提案を持っていかないと、会ってくれないのが実態です。
見込み客が印刷物を発注したければ、見込み客からアプローチしてくるだろうという考えで、待ちの営業を続けていても成果はなく、そのまま見込み客を放置してしまう状態になってしまうことになります。
そのような状態に陥ってしまう主な原因は、営業の仕組みが確立されておらず、見込み客を営業担当者個々の管理に任せて、組織で見込み客の進捗状況を把握し、後追い営業ができていないからです。営業担当者は顧客になってくれそうな確度が高い見込み客に集中して、それ以外の見込み客を疎かにしてしまう傾向があります。確度の低い見込み客でも、継続して後追い営業を続けていれば、ある時期に突然、発注の話が舞い込んでこないとも限りません。継続しないまま放置してしまうために、見込み客として繋がっていかないわけですが、それは組織自体に問題があると言えます。
見込み客の進捗状況を知るということは、同時に営業担当者の行動履歴を知ることにもなります。営業担当者が見込み客に対して、どのような営業をしているのかを組織で共有していないと、見込み客に対して的確な対応ができません。例えば、営業担当者が不在の場合に、見込み客から問い合わせがあった時に「後ほど本人から連絡させます」という返答になってしまうと、重要な見込み客からの問い合わせだった場合に、即刻対応することができないばかりに、受注できるかもしれない案件だったものが、営業担当者が不在ということだけで、その見込み客が別の印刷会社に発注してしまう可能性が出てくるからです。
扱いやすいSFAを導入し、見込み客管理を行う
そんな時に、顧客管理を組織全体で行い、見込み客の進捗状況や営業担当者の行動履歴を把握していれば、別の営業担当者が的確な返答をして、見込み客として繋いでいくことができます。見込み客は誰が営業を担当してくれても関係ないわけですから、代わりの営業担当者がその場を受け継ぎ、営業を進めていけば、ビジネスの機会を損失することはないでしょう。そのような考え方を組織として持たなければなりません。
そこで組織全体で管理していく体制を構築することが重要になるわけですが、そのためのツールとして導入したいのが、SFA(営業支援ツール)です。SFA 自体はかなり以前から存在していますが、印刷の営業で使用している印刷会社はまだまだ少ないのが実態です。
SFA は、名刺交換した見込み客をデータベース化し、営業担当者が見込み客にアプローチをして、その反応やヒアリングした情報を入力して、組織全体で営業担当者の行動履歴と見込み客の実状を把握するというものです。これは営業を仕組み化する上で欠かせないツールで、今ではSFAと似たようなツールとしてMA(マーケティングオートメーション)やCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)といった様々な顧客支援ツールが出回っています。
ここでは、比較的低コストで見込み客や顧客を管理できるSFAツールの導入を提案しますが、それは営業担当者自身が、日々の営業日報として活用できますし、上司や他の営業担当者とチャット方式でやり取りできるものもあるため、最適なアプローチについての支援を受けられるからです。また、誰が見ても一目で見込み客に対する営業の流れを把握することができますから、営業担当者が不在の場合に、代わって見込み客や顧客に対処しやすくなっています。
今では多くのSFA がシンプルで扱いやすく、営業担当者自身も入力しやすい製品がありますから、まずは低料金で利用できる製品を導入して、試しに使ってみることをお勧めします。SFA を使いこなせるようになれば、次の段階としてMAツールやCRM ツールの導入を考えていくのも良いでしょう。
営業担当者が見込み客にアプローチして空振りに終わったとしても、後追い営業ができるように、「何時に御用聞きのメールをした」といった一方的な行為でも結構ですから、とにかく見込み客へ行った痕跡を残していくことが大切です。
持続的な営業を続けていくことで、見込み客との接点を維持していけば、いつか発注してくれる日がくるかもしれません。機会を逃さないためにも、見込み客を決して放置することなく状況を日々把握し、営業を持続させていくことが将来の受注に繋がる有効な施策になると言えるでしょう。
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