ESG経営で持続可能な企業を目指す

ビジネス講座 @Random
業界関係者に贈る (49)

「環境」「社会」「ガバナンス」を重視した経営を

 近年、SDGsと同様に注目されているものに「ESG」があります。ESGとは、「環境( Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の英語の頭文字を合わせた言葉です。
 企業が持続可能な成長をしていくためには、経営においてESGの3つの観点が必要だという考え方が世界中に広まっており、日本でもESG経営の必要性が高まっています。
 「環境」とは、温室効果ガス、廃棄物、再生可能エネルギーなどの気候変動対策に関するもので、企業が提供する製品・サービスは環境に配慮されているかどうかを問うものです。
 「社会」は、強制労働や児童労働の改善、非正規雇用の使い捨て問題、人権保護などへの取り組みになります。また、企業で働く従業員の労働環境は、多様性があり働きやすい環境になっているのかどうかが問われます。
 「ガバナンス」は、統治・管理を意味し、企業の透明性や健全性を高めて自己管理体制を整えることを指します。コンプライアンスの徹底、情報開示、経営幹部の報酬決定方法の開示などが問われます。
 企業がESG経営に取り組むメリットは、「ESG投資家からの評価を獲得できる」「企業イメージが向上する」「経営のリスクが軽減する」「労働環境が改善される」「新しいビジネスチャンスが見つかる可能性がある」といったことが挙げられます。
 ESG経営が広がった背景は、2006年に国連が、投資にESGの視点を組み入れることを掲げた国連責任投資原則(UN PRI)を提唱したのが始まりです。投資家は企業への投資に対して財務情報だけを見るのではなく、環境や社会への責任を果たしているかどうかも重視すべきという考え方が出てきたのです。それによって企業は、ESGに基づく非財務情報の開示を求められるようになりました。
 その後、世界ではさまざまなESG情報の開示の基準が整備され、ESG格付が広く使われるようになりましたが、日本では2015年に国連責任投資原則に署名したことによりESG投資額が急激に増加しています。それはサステナビリティレポート(CSRレポート、ESG データブック含む)を発行している企業が着実に伸びている点に表れています。日本企業は主に投資家やESG格付向けの情報として、ESG情報と財務情報を合わせて開示する統合報告書の形態が主流となっているようです。
 一方、数名から数十名規模の中小企業では、ESG経営はグローバルに展開している大企業の問題だと考え、自社とは関係ないという気持ちになりがちですが、取引先や顧客の企業がESG経営を推進していくようになると、印刷物の制作を受注する印刷会社も大いに関わってくる問題になります。

取引先の要望に応えサプライチェーンとしてESG経営に取り組む

 というのは、企業がESG経営を推進するようになると、サプライチェーン全体で取り組むようになってきます。印刷物を作るためには外部の印刷会社に依頼するわけですが、企業はその作り方も把握し、サプライチェーンにおけるESG問題がクリアするよう働きかけてきます。そして、問題があれば改善するようになり、取引先である印刷会社にもESG経営を要望してくるようになるのです。  その際に印刷会社が労働環境や情報開示に問題があれば、改善を求めてくるでしょうし、要求しても改善されないのであれば、取引が取り止めになる可能性が出てくるかもしれません。顧客の企業規模が大きくなればなるほど、また世間から優良企業と認識されている企業であればあるほど、ESG経営に積極的に取り組むでしょうから、サプライチェーンマネジメントを導入し、印刷会社などの取引先や仕入先においてもESG問題の抑制や解決を要望し、ESG経営を求めてくるようになるはずです。  中小印刷会社は、印刷関連メーカーの努力もあって、印刷関連機械はじめインキ、紙、版などの設備・資材が環境に配慮したものに変わりつつあり、CO2排出量の削減を図っている印刷会社が増えています。その点で「環境」に関しては多くの印刷会社で推進されている感があります。  中小企業の経営者は、株式を公開していないためESG経営の必要性を意識していないかもしれませんが、前述のように顧客や取引先がESG経営・ESG投資に取り組んでいくようになると、サプライチェーンで関わる印刷会社にもESGを求めてくるようになりますから決して他人事ではありません。中小企業であってもESG視点を持って企業活動を行うことで、融資、新規顧客開拓、人材採用などの重要な施策で良い影響をもたらすようになります。つまり、ESG経営により、社会貢献の姿勢を示し、顧客、取引先、金融機関からの高い評価を得ることで、結果として自社のブランドイメージが向上し企業価値を高めることになります。  印刷会社としては、カーボンフットプリントでCO2 排出量を算出し、カーボンオフセットを推進していくことが「環境」における当面の取り組みになりますが、実際にCO2排出量の削減が分かるように数値化し、見える化していくことが大切です。そして、最終的にはカーボンニュートラルを実現していくことが望まれます。  あとの「社会」と「ガバナンス」に関しては、年齢や性別、人種などに関係なく人材を採用し、多様性を重視している企業であることをアピールするのも良いでしょう。また、リスク管理、顧客満足度を高める商品・サービスの提供に取り組み、できるだけ情報を開示する体制を築いていくことが大切です。 というのは、企業がESG経営を推進するようになると、サプライチェーン全体で取り組むようになってきます。印刷物を作るためには外部の印刷会社に依頼するわけですが、企業はその作り方も把握し、サプライチェーンにおけるESG問題がクリアするよう働きかけてきます。そして、問題があれば改善するようになり、取引先である印刷会社にもESG経営を要望してくるようになるのです。
 その際に印刷会社が労働環境や情報開示に問題があれば、改善を求めてくるでしょうし、要求しても改善されないのであれば、取引が取り止めになる可能性が出てくるかもしれません。顧客の企業規模が大きくなればなるほど、また世間から優良企業と認識されている企業であればあるほど、ESG経営に積極的に取り組むでしょうから、サプライチェーンマネジメントを導入し、印刷会社などの取引先や仕入先においてもESG問題の抑制や解決を要望し、ESG経営を求めてくるようになるはずです。
 中小印刷会社は、印刷関連メーカーの努力もあって、印刷関連機械はじめインキ、紙、版などの設備・資材が環境に配慮したものに変わりつつあり、CO2排出量の削減を図っている印刷会社が増えています。その点で「環境」に関しては多くの印刷会社で推進されている感があります。
 中小企業の経営者は、株式を公開していないためESG経営の必要性を意識していないかもしれませんが、前述のように顧客や取引先がESG経営・ESG投資に取り組んでいくようになると、サプライチェーンで関わる印刷会社にもESGを求めてくるようになりますから決して他人事ではありません。中小企業であってもESG視点を持って企業活動を行うことで、融資、新規顧客開拓、人材採用などの重要な施策で良い影響をもたらすようになります。つまり、ESG経営により、社会貢献の姿勢を示し、顧客、取引先、金融機関からの高い評価を得ることで、結果として自社のブランドイメージが向上し企業価値を高めることになります。
 印刷会社としては、カーボンフットプリントでCO2 排出量を算出し、カーボンオフセットを推進していくことが「環境」における当面の取り組みになりますが、実際にCO2排出量の削減が分かるように数値化し、見える化していくことが大切です。そして、最終的にはカーボンニュートラルを実現していくことが望まれます。
 あとの「社会」と「ガバナンス」に関しては、年齢や性別、人種などに関係なく人材を採用し、多様性を重視している企業であることをアピールするのも良いでしょう。また、リスク管理、顧客満足度を高める商品・サービスの提供に取り組み、できるだけ情報を開示する体制を築いていくことが大切です。

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