常にポジ・ポジ精神で時代の変化に対応!

「お客様と社員を幸せにする」をモットーに、設立63年を迎え、大阪を本拠地にデザイン、制作、動画制作、画像処理、CTP出力、インクジェットプリンターによる色校正、POD、製本までの一気通貫体制を構築し、現在も堅持している株式会社あいぼっくす。大西健彦社長に経営理念や事業内容について話を伺った。


株式会社あいぼっくす

〒537-0011
本社 : 大阪市東成区東今里2丁目6番18号
東京出張所:東京都文京区小石川5-36-8
(窓口は本社一括受注)
https://ibox-data.com/  

代表取締役
大西 健彦(GC近畿)

デザインから製本まで一貫生産体制を構築

 株式会社あいぼっくすは、大阪の地で教科書、学参物のデータ制作を主力業務としながら、あらゆる印刷物のデジタル化に邁進し、設立63年の歴史を刻んできた。
 「弊社は、昭和37年に10数名の製版屋として創業しました。当時はまだ徒弟制度があり、師匠に弟子入りし職人技を磨くことが目的でこの道に入って、はや60数年が経ちました。今では過去の設備や経験すら強みにならない時代となり『何ができるか』より、お客様のニーズに応えて『何をやるか』の決断が将来を決める時代になっています」と大西社長は述懐する。
 実際の営業では対面受注を大切にし、印刷物に対するニーズをしっかり汲み取り、顧客の想いが伝わる製品を納品している。
 デザイン・制作部では製版にも精通する人材を育成し、スキルアップを図っている。最近では動画制作や二次元コード制作も受注しているが、一方で、カッティングプロッター、POD 機、PP 貼り機、三方断裁機、製本機などを導入し、プリプレスの後加工であるプレス部門の印刷・加工事業にも参入し、一貫生産体制を確立している。
 また、個別の業務でも、デザイン、データ入力、編集、色校正、CTP、印刷、後加工も当然受注しており、単品でも対応している。2021年には、大阪で初めての印刷本紙校正用インクジェットプリンター「Proof JetF1100AQ」を導入した。同校正機は網点レスで水性インキのため、コスト削減と時間短縮のメリットはあるが、校了紙として信頼性に乏しいと判断。新たにデジタル検版ソフトを導入し、後工程の刷版、印刷とカラーマッチングを完成させ、現在は本稼働させている。
 「わが社は印刷の前工程(フロントエンド)が本業ですから、後工程の皆様方にご迷惑をかけないためにも、プレス部門の印刷機や加工機などの特性を理解してこそプロの職人技だと、つねづね社員へ叱咤激励しています」と、笑って話す。
 現在、本業の製版部門は印刷会社からの相談案件が増えており、新規取引案件が多方面から増加しているとのこと。「大阪本社と東京出張所で専用のオンラインシステムを使って入出稿体制を構築させています。将来的にはすべてをネットワークで結び、提携会社との共存共栄を目指しています」と、将来展望を語る。
 フォントの備えも万全だ。主にはモリサワ・フォントワークスだが、トレンドを押さえるための情報収集や勉強も欠かさない。

紙は不可欠なモノ紙のブランド化を目指す

 データ保存に関しては、「しばらく保存することを義務付けており、お預かりしている画像は50万点以上にもなります」とのことで、旧データを保存するためのアーカイブ作業も実施している。
 そして「今後はメーカーによる既存機械や材料の製造中止という、我々印刷業界に横たわる諸問題もあり、対策に苦慮しているところです」とのことだ。
 また、今まではクライアントからの直受注が多かったためデザイン・制作部の人員を増強してきたが、今後は製版や印刷などアナログ部門の増員と、時代に応じたDX化を進めて、さらなる成長を目指して顧客のニーズに応えていくと話す。
 「持っている人材資源と設備、培った技術力を活かして、今後も業界に貢献し、生き続けてほしいと願っています」と、事業承継問題も視野において将来を見据えている。
 「紙の使用量が減りつつある中で、情報を永久的に保存できるツールとして『紙』が必要不可欠なモノとなる時が来ると信じて、デジタルにはない紙の持つ特性、魅力を追求し、印刷物のブランド化を目指してまいります」と、紙に対する熱い思いを語る。
 決して派手な業界でも会社でもないが、情報化社会の肝要な部分をしっかりと握っており、まさに印刷物の作成過程を支えているという自負に溢れている。培ったDTP・製版技術を土台に、個々の社員が積極的に先端技術を学び習得し、それが会社の潜在資産となっているように感じる。
 大西社長の先を読むその目はしっかりと将来の発展を捉えており、次の世代に経営理念が確実に伝わっているようだ。


一貫生産体制 デザイン GC近畿 Fellowship