高品質・低価格・短納期で顧客のニーズに応える
株式会社JMCインターナショナルは、日本と中国を結び、両国間のビジネスに貢献することを目的に、2005年に孟靖社長が創業したDTP会社である。中国に100%出資の子会社を持ち、オフショアDTP・BPOに特化。中国のDTP会社とは一線を画すビジネスモデルを構築し、日本企業のニーズに応えている。事業内容について孟靖社長に話を伺った。

人海戦術で大量のDTP制作を行う
株式会社JMCインターナショナルの孟靖社長は、1993年に留学生として訪日し、卒業後、日本に残って一般企業に勤めた。その後、中国の大連市でDTP・CAD制作やソフトウェア開発等の事業を展開していた大手企業が東京支社を立ち上げることになった際に、経理業務で入社したの
が最後に勤めた会社だった。
孟社長がDTP 会社を立ち上げるきっかけとなったのは、2005年にこの大連市の大手企業が中国の上場企業に売却されることになったことが起点となっている。DTP部門の一部を孟社長が引き継ぐことになったのである。
「当時取引していた池袋の印刷会社が後押ししてくれたことで、創業に踏み切ることができました。JMCの社名はJapanとChina をMatchingするという意味合いですが、日本と中国を結び、両国間のビジネスに貢献することに由来しています。私自身はDTPは素人でしたので、数名のスタッフを雇ってDTP制作を任せて、私は営業に注力しました」と、設立時を述懐する。
さらに2年後には中国河北省にある石家荘市に100%出資の子会社を設立し、当時同社を支えていた中国人スタッフを日本に招聘し、日本でのディレクションと中国国内のオペレーションを繋ぐ役割を任せて、日本企業のニーズに応えるビジネスモデルを構築した。
事業の大きな柱であるDTPは、チラシ・カタログの制作や雑誌・書籍・教科書などの組版を手掛け、作業マニュアルの作成からプラグイン開発、スペック編集、下版までトータルでサポートしている。
主力になっているチラシの仕事は、クライアントから受け取ったデータを組版し、製版・印刷会社の後工程に渡すのが主な業務である。中国と日本の人海戦術による大量・短期間のDTP制作で、他社との差別化を図っている。
同社では、スーパーマーケットやドラッグストア、家電販売店を得意先に持っており、大量の仕事を高品質・短納期でこなすことができるのが強みである。チラシは商品写真の点数の多さと細かい組版が特徴だ。特にスーパーのチラシは短納期で正確性が求められるため、顧客との取引が長く続いているということは、それだけ顧客からの信頼が厚いことの証といえよう。
日本と中国の仲介役として顧客を支援
チラシに限ったことではないが、DTP制作においては校正ミスがなく納期を厳守することが何より大事である。「細かい仕事のため神経を使います。時にはデータの受け取りが遅くなる場合もあり、納期に間に合わせるために全員残って深夜まで仕事をすることもあります」と、印刷スケジュールに間に合わせるために、DTP制作ならではの苦労がある。
現在の事業は、DTPの他に人材派遣業務、コンサルティング業務なども展開。中国の子会社には総勢40名のDTPオペレータが在籍しており、東京本社のスタッフからの指示でDTP業務の他にBPO(情報処理・システム開発など)の業務に従事しているとのことだ。
子会社ではDTPをはじめ翻訳、情報処理などに精通しているスタッフも多く、また、日本企業の中国進出に関する現地調査をはじめ会社設立に伴うさまざまな支援業務を行っている。ここまで順調に実績を伸ばしている背景には、やはり孟社長の手腕が光っているからだと言えよう。
「お客様の求める品質・納期・価格に応えていくことが弊社の経営方針です。両国の言語はもちろん、ビジネス環境や両国の国民性の違いを理解し、仕事に対する考え方とその取り組みを共有できる仲介役になってきました」と、経営理念を話す。
DTPや印刷業で創業する女性経営者は少ない上に、20年にわたって経営を存続させ業績を向上させることができたのは、持ち前の信念と情熱があったことと、日本の企業とビジネスに深く関わって、顧客のニーズに的確に応えて信頼を勝ち取ってきたからに他ならない。 紙媒体の需要が減少しつつある印刷業界ではあるが、それでも依然としてチラシやカタログ、雑誌などのDTPは大きな市場として存在している。「市場ではCGや動画制作の動きが見られますが、DTPとはスキルで一線を画しており、その方面に進出するのは難しいですし考えていません。弊社は高品質で複雑なDTPを得意とし、それを必要としているお客様のニーズに確実に応えていきたいと思っていますから、今後もDTP制作を主体にビジネスを推進していくつもりです」と、改めて経営の方向性について述べた。




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