「One Vanfu」で結束し顧客に価値を提供する

2023年3月、代表取締役社長に就任した須藤高幸氏。昨年は社員のことを知り、また自身のことを知ってもらう1年だったという。同社は謙虚で感謝と思いやりを信条に、顧客の「想い」をカタチにすることを第一に考えている。須藤社長に経営方針や事業について伺った。


株式会社帆風

〒162-0822
本社 : 東京都新宿区下宮比町2-29
竹橋プリンティングセンター:
東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビルB3F
https://www.vanfu.co.jp/

代表取締役社長
須藤 高幸(GC東京)

「 短納期」「24時間稼働」「高品質」でニーズに対応

 1980年に犬養俊輔氏によって創業された株式会社帆風。昨年3月に代表取締役社長に就任した須藤高幸氏は、88年に設立した株式会社風芽(グループ会社)に92年に入社して以来、帆風の下で勤務してきた生え抜きのパーソンである。

 「創業時の経営理念は、人間的に良い集団となって、強くてやさしい会社を目指すことでした。その後『常に謙虚で感謝と思いやりを大事に、かかわる、つながる、全ての人たちから必要とされる存在であり続ける』というバンフーグループの想いを掲げ、現在もその意思を引き継いでいます」と須藤社長は話す。
 社長に就いて2年目の今期は、「社員との間、さらには社員同士のコミュニケーションを図って、連携を取りながら1つの帆風を目指していく『OneVanfu』を掲げて活動しています」とのことだ。
 同社は、一大生産拠点の竹橋プリンティングセンターを中核に総合印刷業として、オフセット印刷機複数台の他、あらゆる後加工機を揃えて顧客のニーズに対応している。最新の印刷設備と自動化・標準化した工程管理による「短納期」「24 時間稼働」「高品質」を提供している。

 設備で特筆すべきは、昨年1月に印刷品質の自動検査装置などを搭載した、菊全判両面オフセット印刷機「KOMORI LITHRONE GX40RPadvance」を導入したこと。高性能LEDによる速乾性で省電力型の印刷機として省エネ化を実現した。さらに今年1月には薄紙からパッケージ用厚紙まで印刷可能なハイデルベルグの「スピードマスターCX104-4」を導入し、完全自動運転による高効率な印刷を行い、数値による万全な品質管理を実現している。また、デジタル印刷機では富士フイルムの「Revoria Press PC1120」を2台設置している。

 帆風の事業は、本社ビルでの店舗サービスと、バンフーオンラインショップの印刷通販サービス、そして印刷のプロフェッショナルによる営業部門の3つに分かれており、それぞれの窓口を通して受注しているが、一方で、経営手法としてグループ会社を保有し、それぞれの強みを活かした事業展開を図っている。
 須藤社長は同社の特徴について「印刷はじめ全てのアウトプットに長けていると思っています。東京の真ん中に工場を持っているため、地の利を生かし短納期で直送し、印刷における価値を高めています。また、生産の自動化も進めていて、営業やオペレータにとってもモチベーションを高める要因になっています」と、一貫生産体制のワンストップサービスを展開している。

 制作部門は飯田橋の本社にあり、紙媒体だけでなく、Web、映像制作までの企画の立案、プレゼンテーション、クリエイティブ制作を手掛けている。同社の顧客の9 割程度が都内にあって、取引先は2万社に上っている。
 同社ではさまざまな印刷物や販促品を生産しており枚挙に暇がないが、どちらかと言えば、小ロット多品種で小物の比重が高いのが特色だ。配送は都内の細い道にも対応できるよう軽ワンボックスカーを使っているという。

グループ会社と共に地の利を生かした経営を

 またグループ化を推進している点も特徴の1つ。帆風を主体に、企画提案・Web制作・システム開発・動画制作などを担当するクリエイティブ集団のクレアテック株式会社、専門性の高いプリントサービス「スプリント  」を運営する株式会社ugo(ユーゴ)、印刷関連に特化したコンサルティング業務を行うシナジーコミュニケーションズ株式会社、印刷知識がなくても注文しやすい印刷通販会社「イロドリ  」を運営する株式会社プリマリールで構成し、各社の得意分野と連携して幅広い事業を展開している。

 「弊社は価格競争に打ち勝つという経営方針ではなく、東京の中心に工場を構えていることで、顧客と強固に繋がって、受注に即応できる体制を敷いて、付加価値の高い印刷物をお客様に提供しています」と言う須藤社長。立地の良さと価値ある工場で経営に臨んでいる。
 さらに、環境理念を打ち立てて、地球環境保全への取り組みも万全で、一昨年はグリーンプリンティング認定工場を取得した他、FSC®森林認証とPEFC森林認証も取得している。「現在は電力料金の削減と省電力化のために使用電力を監視するシステムを構築し、電力の見える化に取り組んでいます」とのことだ。

 また、同社は社員あっての企業を重要視しており、社員教育や研修が充実している他、産休・育休への取り組み、考えを会社に進言できるアイデア制度、優秀社員表彰、女性社員の活躍推進、優秀な社員が好きな部署へ異動できるFA宣言など、常に社員のための各種制度を設けて、モチベーションの向上を図ることで、全社一丸となった経営を行っている。今後は健康経営優良法人の認定取得も目指していくという須藤社長。「さらなる魅力ある企業と価値ある印刷物を提供していくために、社員と共に創っているところです」とビジョンを話す。


One Vanfu GC東京 Fellowship