企画・制作から発送まで一貫生産体制で提供

「目の前に現れ、見る人の心を動かす力」となるよう、印刷物を通して顧客の心に情報と情緒を伝えていくことを経営理念にしている株式会社プロネート。一貫生産体制を確立しオープンファクトリーを実現している。昨年4月、社長に就いた泉忠男社長に、経営方針や事業内容について話を伺った。


株式会社プロネート

〒174-0063
東京都板橋区前野町2-19-3
https://www.pronate.co.jp/

代表取締役社長
泉 忠男(GC東京)

オープンファクトリーで制作過程の見学も

 株式会社プロネートは1973年に広告製版を目的として設立し、昨年設立50年を迎えた。1976年に板橋工場の拡張とともに製版工場を統合し、製版印刷一貫体制を確立。1991年には新本社ビルを建設し本社部門を移転した。以後、ハイエンドDTPに取り組み、ネットワーク設備の導入とデジタル校正・刷版ワークフローを構築し、業態変革としてイベント運営に参入し需要を拡大していった。
 現在、同社ではリコーのカラーオンデマンド印刷機「RICOH ProC7200SHT」、swissQprint の大判UV-LEDインクジェットプリンター「Nyala LED」、エプソンの大判インクジェットプリンター「SC-S80650」、デジタルカッティングマシーン「ZUNDG3 L-2500」、レーザーカッター「LaserPro SPIRIT」、ハイデルベルグの菊全判4色印刷機「CD102-4」などの他、断裁機、ロール式ラミネートマシン、簡易ダブルリング製本機を取り揃え、一貫生産体制によるワンストップサービスを行っている。
 2017年に自社工場内に「お客様の製品づくりで幅広く活用していただくためのサポート体制を整え、設備やサンプルを見てもらいながら、印刷物をオーダーできる『OPEN FACTORY』と名付けた工場見学を実施しています」とのこと。顧客に制作過程や加工状態を見てもらって製品チェックが行えるようにした。
 2020年の春から新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの印刷会社は打撃を被ったが、同社も例外ではなかった。イベント関連の事業を中心に、全体的に売上が落ちて赤字を余儀なくされた。そこで事業部門をすべて工場内に移転し、さまざまなコストダウンを図って乗り切ってきた。
 泉社長は、昨年4 月に6 代目の社長として就任し、新たな体制の下で社員一丸となって事業に取り組んでおり、「今期からは黒字を目指せる状況になりました」とのことだ。
 泉社長は、厳しい経営状況に陥った原因として、危機感の欠如、コスト削減への無関心、営業力不足の3つを指摘する。最大の落ち込みを見せたのはイベント関連のビジネスだった。「スーパーや店舗などの試食会をはじめさまざまなイベント業を手広く展開していたのですが、コロナ禍となって顧客はイベントが行えなくなったことで、弊社も売上がほとんどなくなったのが大きな痛手でした」と振り返る。

印刷物を通じて顧客の心を動かしていく

 同社の強みは、都内に自社工場を保有していることから、データ入稿から製版、印刷、イベント運営、内職、組立、梱包、発送まで、顧客に代わってフルサービスで一括して対応できる点だ。業務の効率化・短納期化を実現し、取引先から厚い信頼を得ている。また、店頭販促プロモーションや企業ブランディングに活用できるさまざまな印刷物を企画・デザインし、制作・印刷できる点も顧客に選ばれる理由である。
 「多品種小ロットやプロトタイプのモノづくりから大量生産まで、幅広くお応えできるのが弊社の強みです。何より経験豊富なスキルを持った社員によって、正確で高品質な仕上がりを提供できることで、好評を博しています」と、泉社長は話す。
 イベントや展示会、売り場を直接見てきて、エンドユーザーとも触れ合ってきたことで、顧客の課題や困りごとを理解し最適な提案ができるのも同社の特長だ。営業品目はあえて列挙しないが、枚挙に暇がないほどありとあらゆる品目を扱っている。
 とにかく「お客様が商品の販売やイベントの開催、あるいは集客する際に、PRする必要が生じた時に印刷物を発注するわけですから、そのタイミングが合った時に営業し、しっかりと受注に繋げていけるよう、常日頃からこまめに顧客とコミュニケーションをとっていくことが大事だと思っています」と、営業の在り方を説く。
 また、泉社長は「今後は印刷の持つ強みを相互補完するため、Web、ICTソリューション、マッチングアプリ開発、AIを活用したマーケティングサービスなどの企画、制作にもチャレンジしていく考えです」と方針を話し、デジタルコンテンツを絡めたセールスプロモーション業務の比重を高めていくという。
 ただし、「社員の平均年齢が高く、若い人材が不足していることは否めません。今後の課題としてはデジタル事業に果敢にチャレンジしていくために、インターネットビジネスに精通した若い人材が必要です」とのことだ。
 「花火がそのダイナミックな色彩と可憐さで、情緒的に人の心を動かすように、印刷物が持つ存在感、情緒、郷愁感を通じて多くの方々の心を動かし、社会を豊かにしていくことが、私たちの使命だと思っています。『心でつくる。心に届く。心を動かす。』をモットーに、全社一丸となって取り組んでいく考えです」と締めくくった。


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