高い技術力・デザイン力で教育コンテンツを制作

学習図書はじめ各種学校教材の制作を専門とし、より良い教育コンテンツの制作に携わってきた大寳製版株式会社。高度な制作ノウハウとデザイン力で、各種デジタル教材だけでなく全般的なデジタルコンテンツ制作を目指している。山田学社長に経営理念や事業内容について話を伺った。


大寳製版株式会社

〒486-0856
愛知県春日井市梅ヶ坪町108-2
https://taiho-pp.net/  

代表取締役
山田 学(GC中部)

高品質でレベルの高い教材を制作

 1967年5月に設立した大寳製版株式会社。50数年にわたって学習図書出版の製版業務を主体に、教育コンテンツの制作を基幹業務にしてきた。40年程前、山田社長が大学卒業を控えていた頃、先代のお父様の健康状態が悪化したために、急遽就職を取りやめ卒業してすぐに同社に入社したという。以後、お父様の健康も次第に回復し、大役をすぐに任されることはなかったが、「入社当時の弊社は、製版カメラ、写植機を主体にモノクロやカラースキャナを導入し、カラー製版を本格的に始めた頃でした。私は印刷のことは何も解らなかったので、とにかくいろいろな仕事を覚える毎日でした」と、振り返る。
 80年代末にMacが日本に上陸し、今後はデジタル化が進むことを予見した山田社長は、90年代に入ってまず電算写植システムに移行し、文字・図形のデジタル化を推進。96年には富士フイルムVαシステムを導入し、MacDTPの本格商用稼働出力ショップ「Taiho IO Station」を併設した後、99年には写研システムから完全にDTPシステムに移行し、デジタルワークフローを構築した。
 先代の後を引き継いで社長に就いて20年になるという山田社長。「弊社は教育業界や教材・学習参考図書制作に携わってきた高度な技術力と豊富な知識が強みです。今日はアナログからデジタルへ移行していますが、お客様のニーズに柔軟に応えられるデザイン力でより良い製品を提供しています」と同社の強みを話す。

 「主に制作しているものは、小・中・高の学校で使う学習教材です。先生方の授業を補助するドリルやテストなどの教材がメインです。教科書の改訂が通常は4年ごとに行われますから、その前年には全てを刷新しないといけません」とのことだ。
 少子化の影響については、「たとえ生徒数が少なくなっても教材自体は必要ですから、必ず制作しなければなりません。今のところ大きな影響は受けていません。ただし、生徒数が減少すると印刷部数も減少しますから、出版社や印刷会社は売上に影響しているのが現状です」とのこと。山田社長は、教科書も複数の出版社が競合しており、自社の教科書を使ってもらうための競争が激化し、各社はシェアの確保に躍起になっていると話す。教科書や学習参考図書を発行している出版社の現状は厳しく、余力のある出版社は限られているとのことだ。
 同社にとっても取引している出版社と連携を深めると共に、学校に受け入れてもらえるより良い教材づくりを心掛けている。「教材制作に必要なオリジナルの2ByteOpenTypeフォントなども作っています。それは先生方が生徒に示す文字の見本を取り込んでフォント化するというものです」。

教育分野から一般企業のコンテンツ制作も

 「確かな品質と、よりレベルの高いコンテンツづくりをモットーに取り組んでいます。お客様から原稿をいただいて制作するにしても、社内で最低2 回は内容をチェックし、インターネットのオンライン校正システムを使って間違いがない正確なモノづくりを心掛けています」とのことだ。オンライン校正システムは、SCREENグラフィックソリューションズのWeb ポータルシステム「EQUIOS Online  」を導入し、顧客と入稿・校正の状況をいつでも確認できるようになっている。
 「問題集を作成した時に、その問題と解答に整合性があるのかどうか、子供たちが答えを導き出せるかどうかの内容に関しても、社内で校閲できるようにしています。お陰様で、お客様からは弊社に頼むと品質が良いという高い評価を得ています」。
 高度な制作力の背景には、美術学校出身者や、以前教員をしていて退職した人など、教材を作る上での知識や問題集づくりそのものに長けた人材を雇用していることにある。
 現在、デジタルコンテンツ制作に移行しつつあるが、デジタルデータをアナログ制作にも活かそうということで、カッティングプロッターやレーザー加工機、UV プリンターを導入し、モノづくりも行っている。
 またイラスト制作においては、ワコム社製の高精細大型液晶ペンタブレットを導入し、よりクリエイティブなデザイン力で、デジタル問題集や英語教材のデジタル版など、クオリティの高い教育コンテンツも受注し制作している。
 さらに3D 制作では3D モデリングソフトを使って、各種プログラミング言語と併用してUnity なども活用し、顧客の多彩なニーズに対応している。「弊社は教育コンテンツ制作を主体にしていますが、今後は培ったクリエイティブなデザイン力を活かして、動画制作や一般企業向けのグラフィカルなデジタルコンテンツ制作にも注力し、事業の幅を広げていく方針です」とのことだ。


EQUIOS Online GC中部 Fellowship