「創造を育む」を理念に企画とデザインを提案
組版・DTP編集・デザイン制作・Webサイト制作を事業にクリエイティブで付加価値の高いデータづくりを展開している株式会社秀巧堂。「ものづくりで顧客の夢と未来をクリエイト」を経営理念に市場開拓をしている。秀浦一志社長に事業内容と今後の展開について話を伺った。

高度で複雑な仕事を行い顧客の信頼を得る
株式会社秀巧堂は、1967年に先代の秀浦忠利氏(現会長)が個人で写真植字を事業に立ち上げた会社。以後電算写植を経てデジタル化にいち早く移行し発展を遂げてきた。現在では100 名を超える従業員を擁する企業へと成長し、さらなるデジタル化に向けて事業領域の拡大を図っているところだ。
秀浦社長が後継者として代表取締役に就任したのは2017年だった。その際に、2つに分けていたDTP 制作部門の株式会社秀巧堂クリエイトとデザイン制作部門の株式会社秀巧堂グラフィックスを統合した。「当初、秀巧堂グラフィックスは同じ広島市内で、別の社長に経営を任せて大手のお得意様の仕事を行っていたのですが、私が社長に就任した際2つの会社を統合しました」とのこと。
同社は広島市内に本社を構える他、都内豊島区に東京営業所を設けており、首都圏からの受注も請け負っている。高度な組版を得意にしている同社は、エディトリアルデザインで学習参考書やカタログ、各種出版物の誌面、さらには雑誌・会報誌などの刊行物の制作を行い、企画立案・取材・撮影からデザイン・ライティング・校正などを社内チームで一丸となって取り組んでいる。
「お客様の6割は流通業界で、県内の7割くらいのスーパーのチラシ制作を受注しています。残りの4 割は、広島の一般企業案件や東京の出版社が発行する小中学校や学習塾向けの副読本のDTP制作になります。顧客が求めるニーズに沿って高度で複雑な仕事を請け負っています」とのことだ。長年受注を続けてきた背景には、同社の高度な編集・制作力に対する顧客の厚い信頼があったからだといえよう。
そんな「お客様の要望にお応えできるスキルを持ったスタッフが、紙媒体だけでなくWebサイトやSNSコンテンツなど、より効果的な制作を行い提供しています」と、昨今はデジタルコンテンツのニーズにも応えている。
また、アニメーションや動画などの映像コンテンツも制作しており、イラストを駆使してキャラクターの発案も手掛けているのも特徴の1つである。
健康経営優良法人認定を取得し働きやすい職場へ
「弊社の主な仕事はお客様のデータ作りになります。ニーズに合ったより効果的なデータを作ることで、信頼関係を築いていくことが大切だと思っています。『創造を育む』という経営理念の下、お客様とコミュニケーションを図ることで、新しく効果的な発想をご提案していくことを心掛けています。そのためにはそれを実現できるメンバーを育成していくことが大切ですので、社員一丸となってクリエイティブに注力し、技術とスキルアップに取り組んでまいります」と、秀浦社長は経営理念に触れる。
そんな同社は2022 年7月「SDGs宣言」を行い、事業活動を通じて持続可能な開発目標の達成に貢献し、地域課題の解決に取り組み始めた。「SDGsが求められるようになって、弊社としても具体的に取り組んでいく必要があると感じ、社員と話し合ってスタートすることを決めました。具体的には校正は校正ソフトを使用し、画面上でチェックできる体制を整え、ミスプリントはリユースして、なるべくプリプレス工程で紙を出力しない方法に変えています」と、デジタルデータで処理するようにしているとのことだ。
重点項目(ターゲット2030)は、「感動を与えるモノづくり」「夢を持って働ける職場づくり」「環境に配慮した事業運営」「信頼される企業」の4 つで、SDGsの取り組みとしては計10 個の目標に関わっている。
また特筆すべきは、『健康経営優良法人2023 (中小規模法人部門)』の認定を取得したことである。既に2021年に「ひろしま企業健康宣言」にエントリーし、健康づくり優良事業所認定を取得して、布石を打っていたこともあり、健康経営優良法人認定はその延長線上にあった。しかし、2023年3月に認定を取得したものの決して簡単ではなかったという。印刷業界で健康経営優良法人認定を取得した企業はまだ非常に少ないのが現状で、GCJでは株式会社浅野製版所(GC東京)に続いての2社目である。
「従業員が働きやすい職場にすることで長く勤めてもらえるようになると考え、健康経営優良法人認定を取得することにしました。社員は宝ですから社員の健康に配慮することは会社の原動力になります。また、お客様からも信頼を得られて、企業が持続的発展を目指すことができます。健康経営は重要な施策だと思っています」と、秀浦社長は話す。
今後の経営方針については「企画とデザインを重視した制作で、クリエイティブ分野に強い経営を目指して、お客様に喜ばれて一層お役に立てる会社にしたいと考えています」とのことだ。




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