日本標示株式会社■多種多様な素材を駆使して顧客のニーズに応える
看板や各種サインプレート、展示用ディスプレイなど多彩な媒体製作を請け負っている日本標示株式会社。シルクスクリーン印刷を主体に製作し、紙媒体だけでなく布やプラスチック、ガラスなど多種多様な素材を使って、顧客の幅広いニーズに応えている。顧客との面談で丁寧に対応し信頼感を築いてきた同社。酒井紀典社長に事業内容や最近の状況について話を伺った。
外注先と連携し多種多様なニーズに応える
酒井社長が日本標示株式会社に入社したのは2000年だった。取引先の会社に勤めていたところ、前社長から後継者として招聘された。翌2001年には社長に就任し今日に至っている。
「当時、事業をそのまま引き継ぐだけでは先行きが危ぶまれていましたから、前社長の要望もあって規模を縮小化しつつ、得意分野を伸ばしかつ新しい事業にも取り組む方針を打ち出したのです。私自身は前の会社でシルクスクリーン印刷を専門にしていましたし、日本標示も同じ印刷を得意としていましたから、それを統合する形態をとり、さらにプラスチックや看板・サインディスプレイ分野にも参入し事業の幅を広げていきました」と、事業の再編成に取り組んだ経緯を述懐する。
とにかく同社の営業品目は多種多様である。そのことについて酒井社長は「北海道の印刷関連会社は、地域性から多くの顧客からたくさんの仕事をいただく経営が主流で、そのため窓口を広くして外注先と共に仕事を進めていくスタイルになります」と北海道独自の地域性について話す。
営業品目を列挙すると、各種サインプレート、木製看板、屋内サイン、店舗内外装工事プラスチック加工、各種アクリルケース、展示用ディスプレイ特殊印刷、PVC・マグネットステッカー、型抜、ネームプレート、キーホルダー類、Tシャツプリント、腕章、旗、のぼり各種製品名入、金属印刷と、枚挙に暇がない。
そのため、設備もパネルソー、面取機2台、手押カンナ、ボール盤3台、熱曲機4台、ラミネーター1台、フィルムカッティングプロッター1台、大型刷台1台、UV乾燥機、ミノマット印刷機2台、スリッター、断裁機と、さまざまな特殊加工に対応できるよう設備を揃えている。
顧客については「6割から7割は印刷会社さんで、その他は同業者、内装屋さんですとか施工業者、あるいはエクステリアやインテリアの建築関連業者さんから仕事をいただいています」とのことだ。
以前はデパートのサインや販促物に関する仕事も受注したことがあるが、近年はデパート業界が不況ということで仕事がなくなりつつあるとのこと。今は多くの設備を抱えていても、その設備を動かす若い人材が入ってこないため、設備を動かすことができない状況だという。「内製化できない仕事は、請け負ってくれる業者とタイアップして仕事をこなしています」と言う。
シルクスクリーン印刷を強みに商品開発に挑む
同社の強みはやはりシルクスクリーン印刷になるが、「だんだんと北海道ではシルクスクリーン印刷を手掛ける業者が減りつつあるので、弊社に仕事が回ってくるようになりました」と話す。
以前は、北海道は観光業が盛んなため観光関係のTシャツや、あるいは学校関連のウェア印刷の需要などがあったが、スタッフ不足で内製化ができなくなったので、受注があれば取引先の業者に外注しているとのことだ。
また、印刷データについては「お客様はデザインをされている会社さんが多いため、大体Illustratorで制作した完全データで入稿されることが多いです」。建築関係では設計会社が制作した簡易的な図面を具現化するための制作を行い、設計図を完成させる仕事もしているとのことだ。
同社ではJR北海道と提携し、お土産品として駅名標のミニチュア版などを製作したこともあるという。廃線によって消えゆく駅名を残していく意味もあり、鉄道ファンからすれば購入したいお土産品になるだろうし、駅名標はまさに同社の強みを活かした商品といえる。「これからも看板製作のノウハウを活かせるような商品を企画したり、お客様からの要望に応えられる商品を開発したりできるようにしたいです」と、新しい商品づくりにも注力していく考えだ。
「弊社の利益だけを追求するのではなく、お客様のニーズに応えて満足度を高めることで、販促や売上の向上に繋がっていければそれで良いかなと思っています」。
今後の課題としては人材面だと話す酒井社長。「社員が高齢化しているので、会社を存続させる意味からも若い社員にいかに入ってもらうかがテーマですが、それが一番難しい問題です」。
最後に酒井社長は「世の中は何もかもデジタル化に邁進していますが、仕事では人と人の繋がりが大切ですし、営業は特に対面で行うことが重要だと感じています。そうでないと、なかなか信頼関係は結べないですから。こういう厳しい経済環境ですから、仕事があれば断らないで、自分たちでできることはなるべくやっていくようにしています」と対面営業の大切さを述べた。
各作業風景。長年のノウハウと職人技が光る
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