株式会社日光プロセス■視覚表現企業として新しい価値の提供目指す
顧客の理想を形作るプロセスに携わり、「創意」の姿勢で考え、「良品」を提供している株式会社日光プロセス。視覚表現を通じて人々の記憶を豊かにすることを定めた「視覚表現企業」を目指し、新しい価値を提供することをビジョンに掲げている。原田一徳社長に経営方針や事業内容について話を伺った。
インクジェットで高品質出力を提供
株式会社日光プロセスは1953年に大阪市で創業し、今年70周年を迎えた。1970年に東京営業所を新橋に設けた後、都内に工場や営業拠点を移設し、1992年に墨田区内に新社屋が完成。その後、2015年に本社機能を東京に移し、現住所に東京本社新社屋が完成した。
原田社長は2000 年に同社に入社したが、2003年に社長だったご尊父様が急逝したため急遽、25歳の若さで社長に就任した経緯がある。「会社の状況や事業内容をまだ把握していなかったため、就任当初は戸惑いがありましたが、役員や部長、社員のみんなに支えられ社長を務めることができました」と述懐する。
その後、2015年に本社機能を東京に移転した。事業内容は、製版、印刷、後加工、インクジェット出力、デジタルメディア制作、デザイン、販促・紙器什器、商品開発など多岐にわたっているが、強みは何と言っても高品質な製版である。画像処理・色調補正、スキャニング、色校正の各工程でアナログ時代から培った高度な製版技術を活かして、顧客に高品質な良品を納品している。
設備は東京本社と大阪支社に分かれており、仕事は設備ごとにそれぞれ分担しているという。
2010年に大判のインクジェットプリンターを導入してからは、製版から納品まで請け負う体制を敷き、ポスター類であれば適所に配布できるようにバリアブル出力に注力するようになった。
また一昨年、高精細・非接触スキャナー「サビア アートスキャナー」を導入した。同機は、1,200dpiの高解像度スキャンが可能で被写体の凹凸をリアルにスキャニングし、美術品や建材、布類などの細かなディテールまで再現できるのが特徴である。デジタルアーカイブ、復刻印刷、複製画、レプリカ作成など用途に応じたサービスが提供できるようになり、特にデジタルアーカイブの運用は、今後ますます需要が見込めることが期待される。
その他の主な設備としては、LEDUV インクジェットプリンターの「swissQprint Impala3」、本紙校正用インクジェットプリンター「ProofjetF1100AQ」、カッティングプロッター「ZUND G3 L-2500」などを揃えて、小ロットでクオリティの高い製品づくりを行っている。
モノづくりで社会貢献し新しい価値を提供
同社のプロジェクト推進チームでは、社会課題の解決やSDGsの達成に向けた活動、モノづくりを行っている。100%紙からつくられたリサイクル素材の積層ボードを使用した商品開発に取り組んでおり、実際、産学連携により機能性とデザイン性を兼ね備えた観光スポットの疑似体験ボックス「映えスタ」を製作した。今後もこの積載ボードを活用してサステナブルな商品開発に取り組み、「共創チャレンジ」という精神で持続可能な社会の実現を目指していく方針である。
また、企業理念や社長の想いをインタビューし、それを会社案内やWebに反映させることで、会社のストーリーを視覚化するサービスにも力を入れている。
同社では今年から新卒を採用していく方針を打ち出している。「墨田区が桑沢デザイン研究所と提携して合同説明会を毎年開催されているので今年は1名入社した。今後継続して新卒採用を進めていく考えです」。そこには人材教育に力を入れ、社員エンゲージメントを高めていこうとする戦略がある。
「昨年、階層別の研修制度を導入し従業員の満足度を高めるためにキャリアパスの見える化を始めました。若い人にはどのような自己啓発やスキルを身につけていけばよいのかを進めているところです。また、管理者育成についても、管理者になってからでは遅いということで、若いうちから管理者になるための準備をして、実際に管理者になった時にスムーズに職務がこなせる必要があります。そのような理由から階層別の研修制度を進めているところです」と研修制度の重要性について話す。
「会社の方向性と目指してほしい人材が明確化されることで、皆が同じ方向を向いて業務を行っていくことが大事だと考えています。私たちの社訓は「創意」で、考えることから始まります。考えるためには知識が必要になり、そのためには外部の研修を受ける必要があります。それによって従業員の満足度が高まって、知識を持っている従業員が顧客の満足度を高めていけば、会社の利益に繋がるという流れを創り出そうとしているところです」。
同社は柔軟な思考で新しい価値の提供を目指し、アナログやデジタルに拘らないモノづくりに取り組んでいる。そして、視覚表現を通じて人々の記憶を豊かにするミッションを推進しているところだ。
|