株式会社アートプロセス■社員と共に革新と創造によって未来を開拓する

製版業で培った技術とノウハウを活かして、現在は広告・PRに関する各種ツールの企画プランニング、デザイン制作にシフトした事業を展開している株式会社アートプロセス。クリエイティブを軸にあらゆる広告ツールをワンストップで提供している。本田和敬社長に経営方針や事業内容について話を伺った。


株式会社アートプロセス

〒860-0815
熊本県熊本市中央区春竹町春竹495
https://artpro.co.jp/  

左・代表取締役会長 工藤 元隆氏(GC九州)
右・代表取締役社長 本田 和敬氏(GC九州)

デジタルコンテンツの比重を高める

株式会社アートプロセスについて言及する場合、最初に事業承継に成功したことを紹介する必要があるだろう。同社は2017 年初頭、投資育成機関である大阪中小企業投資育成株式会社の第三者割当増資の支援を受けて、社員への株の譲渡を実現し、後継者に事業を承継することができた企業である。
創業者の事業承継に対する「想い」は、多くの社員と共に築いた事業資産を活かし「社員を代表する適任者」が事業承継することが望ましいとの考えであった。平成22年頃から事業を社員に託すことを決意し、次世代の役員人事の礎を築いていった。7年の期間を経て、常務取締役であった本田和敬氏を代表取締役社長として経営を託し、工藤社長は代表取締役会長に就いた。
社長就任時に、工藤会長から「事業歴を絶やすことなく次世代の承継者を育成し100年企業を目指して頑張ってほしいと言われました。弊社は早くからデジタル化に取り組み、変化する市場環境に対応して業態の変革に取り組んでおり、今もなお変革の途中と考えています」とのことだ。
同社は、「革新と創造によって未来を開拓する」という企業理念の下で事業領域の拡大に注力しており、製版という印刷物の品質を左右する仕事で、技術とノウハウを築き上げてきた。「メディアは変わっても、情報を伝えるためのクリエイティブ制作は長年培った製版技術が必要不可欠です。企画・デザイン・撮影・制作・製造・施工までワンストップで付加価値の高いモノづくりを行っています」。
現在従業員数は36 名。広告・PRに関する各種ツールの企画・プランニング、デザインというクリエイティブ制作に重きを置き、印刷業全般からサイン・ディスプレイ事業、デジタルコンテンツ事業、デジタルサイネージ事業を進めている。東京都渋谷区には東京オフィスを構えていて都内での受注にも応えている。
売上構成比は、印刷の紙媒体の売上が約半分ほどで、あとはサイン・ディスプレイが35%、次にWebコンテンツ、デジタルサイネージと続いている。特に「サイン・ディスプレイは企画から施工までワンストップサービスで行っており、交通広告や屋外広告などのOOH広告、店舗などの案内サインから内装などを受注しています。この分野は1案件の売上が大きい上に、利幅もある程度確保できる点がメリットです」という。

商品企画は社員のアイデアから生まれる

「受注に関してはWebからの問い合わせが増えてきていますが、一番多いのはお客様からのご紹介になります」と、顧客から高い評価を得ていることが窺える。「最近はWeb サイトの企画・運営の実績からシステム開発、CMS構築、SNSの企画運用、リスティング広告の企画運営なども手掛けていて、さまざまな顧客のニーズに応えている状況です」と、着実にデジタルコンテンツ分野の比重が高まっていると本田社長は話す。
また社内には撮影スタジオを設置し、専属のカメラマンを置いて、人物、商品のスチール撮影をしているほか、プロモーション用の動画撮影も行っている。「クリエイティブ分野に特化してきたことで企画から携わるようになり、お客様からの写真撮影のニーズも高まってきて、ほぼ毎日撮影の仕事がある状況です」。
さらに「ドローン撮影の資格を取得し許可を得て空撮もしています。行政機関のプロモーションビデオから、各企業の会社案内やホームページのト

ップ画像用の撮影、さらに医療機関の施設などを空撮したりしています」とドローン撮影のニーズも増えている。このように写真撮影からドローンの空撮まで、企画から動画編集のすべてを内製化しているのも同社の特徴である。
今年4月にはアウトドア系ブランド「knock knock products」(ノクノクプロダクツ)を立ち上げ、同社のデザイナーがデザインしたイラストやロゴをメスティンやタンブラー、木製スツールなどにフラットベッドのUVプリンターで印刷して販売した。また、顧客のお気に入りの写真をUVプリントしたオリジナルキャンバスも販売しているとのことだ。
また、SDGs の活動も積極的に展開している。「名刺からはじめるS DGs 」「脱プラeco ファイル」と銘打て、サステナブルな素材を使っていることを、社内外へアピールする発信ツールとして顧客に提案している。
「ノクノクプロダクツやSDGs関連の商品は、社員からの発案でスタートした企画になります。コロナ禍で営業するのが厳しい状況だった時に、社員に商品企画を募集したところ100ほどアイデアが出まして、その中から厳選されたものを具体化したものです」。月に1回商品開発会議を開き、話し合いながら事業を進めているという。
「GCJ組合員の皆様には九州エリアで案件があれば、制作を弊社で担当させていただき、仕事を協業で進めていければと思っています。いつでも声をかけてください」とPRした。



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