株式会社中央プロセス■高精度で小ロットダミーのパッケージを提案

GC近畿

パッケージ・ディスプレイの製版を事業主体にしている株式会社中央プロセス。三代目として後を継いでいる弓場大輔社長は、1部から高品質なダミーを作成する『本紙ジェット』で需要を喚起している。高精度で他社にない強みを持って市場開拓している同社の事業について話を伺った。


株式会社中央プロセス

〒537-0024
大阪府大阪市東成区東小橋1-10-18
https://cop.co.jp/  

代表取締役
弓場 大輔氏(GC近畿)

小ロットの紙器製版・ダミー制作が強み

今年で創業54 年目を迎えた株式会社中央プロセス。1969 年に弓場社長のご祖父様が事業をスタートし、翌年株式会社に法人改組をした。当初はアナログレタッチや、フィルム加工、再反転によるフィルム作成などを事業主体にしていた。
弓場社長は、大学を出て新卒として回転寿司店に入社した経歴を持っている。「サービス業の飲食店の業務を知りたいという思いがあって、5年ほど勤めました。その後弊社に入社しましたが、将来、後を継ぐことまでは考えていませんでした」と、当時は後継者になる意識はまだなかったという。
入社と同時期に同社では、DTP 化、CTP の導入と、デジタル化に移行。「プリプレス工程の仕事を一から先輩オペレーターに教わりました。最初はMacを触るということからスタートしたことを覚えています」と述懐する。
一通りDTP 制作をマスターし、数年経った頃、営業として第一線に立ち会社を牽引していくことになった。営業で製版業の現実を知るようになり、得意先の印刷会社や代理店の外注先・下請け会社であることに対して、何か強みを持つ必要があると弓場社長は感じた。
分岐点になったのは、CADを導入した2008 年頃だという。フィルム出力や取説物や商業印刷物の減少でカラー出力への移行が進み、パッケージや販促物の需要が増えてきたため、それらのニーズに応えていくことにしたという。
「私自身がCAD やカッティング加工に興味を持つようになったので、その2台を導入しました。弊社ではもともと厚物の印刷物を扱う仕事が多かったので、それを強みにしていくことにしたのです。それらの機械はどちらかと言うと、企画・提案用として利用することにしました。ただ次第に機能がより充実して、高品質なものを提供できるようになったので、『本紙ジェット』という名称で、印刷本紙に直接印刷し提案するサービスを構築しました」。
『本紙ジェット』を実施するために選んだ大型インクジェットプリンターは、幅広い種類の用紙に出力でき、実際の印刷物の質感・発色が再現できるのが特長である。さらに表面加工(箔押し、PP 加工)をすれば、より製品に近いサンプルの制作が可能になった。これによって高品質なダミーを1部から作成するサービスをスタートした。顧客の幅を広げ、さまざまな需要に応える体制を築いていったのである。

『本紙ジェット』の利用価値の訴求が課題

二代目のご尊父様の後を継いで弓場社長が三代目となったのは令和元年だった。現在の主力事業は、CTP出力、CTP 校正を軸としたデジタル製版で、特にパッケージ・ディスプレイなどの紙器製版を強みにしている。「UVインクのインクジェット機が出回っていますが、UVインクの被膜とオフセット印刷の被膜とでは出方が違っていますし、インク割れすることがあるので、パッケージのダミーを作った場合にひび割れが生じることがあります。しかし、弊社のインクジェットプリンターでダミーを作った場合は、お客様に校正刷りを出してカットしたのかと言われるほどの風合いになり、本機で刷ったものと何の遜色もないダミーを作ることができます」と、顧客から好評を博しているという。
「製品とほとんど同じ品質を確認したいお客様には訴求力があります。中には1部だけ什器を作ってほしいとか、段ボールにも直刷りできるので、そのまま出力して製品にされるお客様もいます」とのことだ。
また、版型が不要で版型費用が掛からないため、顧客はコストダウンを図れるメリットもある。また、同社では企画・デザインから請け負っているため、パッケージのデザイン・設計図制作からサポートし、さまざまに要望に応えている。「東京や地方の遠隔地のお客様であっても、オンラインでヒアリングできれば、作った印刷データをメールで送って確認してもらうことができます」。
「今後は『本紙ジェット』を使用した上でのメリットを、しっかりと訴求していくことが大事だと考えています。それと代理店やデザイナーの方々に、お客様に提案する際の効果的なダミーを制作する会社として、弊社の製品を使っていただけるようにしたいです。お客様の交渉で実物に近いダミーを見せることでより成約に結び付きやすく、弊社のダミーは大いに利用価値があると考えています」と、代理店やデザイナーに一層アピールしていく必要があると話す。
また、同社は(公財)CIESF(シーセフ)の活動を支援している。社屋前に募金機能付き自動販売機を設置し、売上の一部を通じて、カンボジアにおける高度人材育成をサポートしている。これはSDGs の17の目標の中の4に当たる「質の高い教育をみんなに」に該当する活動で、同社ではSDGsも具体的に実践している。



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