株式会社RUHIA■グローバルな視点で新分野の市場開拓に挑む

DTP組版からデザイン、ICTソリューション事業、飲食事業と、印刷産業の枠を超えた幅広いビジネスを展開している株式会社RUHIA。沖縄の現地法人、株式会社RUHIARYUKYUでは、映像関連のコンテンツ制作を中心に事業展開している。森山正純社長に、経営方針、多角経営の現状、今後について話を伺った。


株式会社RUHIA

〒112-0015
東京都文京区目白台3-29-18 講談社第一別館
https://www.ruhia.co.jp/  

代表取締役
森山 正純氏(GC東京)

映像制作・ICTソリューションでニーズに応える

森山社長は、以前印刷会社に勤務し営業で講談社を担当していたとのこと。その後、1年間ご尊父様の株式会社モリヤマに入って営業を行った後、2002年29歳の時に株式会社RUHIAを設立。今では総勢80名ほどの規模に成長している。
「当初3名でスタートし、講談社の子会社や講談社に出入りされている出版社(サラリーマン時代のライバル企業)に営業をして、DTPの仕事を受注し拡大していきました。その時のお客様との関係構築が大きく、今に繋がっています」とのことだ。
同社ではコミックの売上が7割近 く占めるようになったが、顧客のニーズがアナログからデジタルメディアへ移行しつつあるという。「以前は紙の書籍やコミック誌が売上の大半を占めていましたが、年々紙媒体は減少しています。ただし一方で電子コミックが増加していて、コロナ禍による巣ごもり需要もあり、コンテンツ、部数ともに伸びている状況です」。
「出版社の間ではコミックを売っていくためにSNSマーケティングや動画コンテンツでアピールされるケースが増えていて、弊社ではそのニーズに応えるために映像制作やデジタルコンテンツ制作を手掛けるようになりました。講談社さんのYouTubeチャンネルや各種映像制作に携わっています」とのことで、YouTubeやSNSを活用した販促提案も行っている。
さらに事業を拡大するために、2008年に沖縄県の宜野湾市に新たな制作拠点として、現地法人のRUHIARYUKYU(以後、沖縄支社、沖縄県宜野湾市)を設立し、映像制作事業、ICTソリューション事業に注力している。
その一環の事業が、2018年8月から開始した、美容室に来店する女性客をターゲットに開発した情報配信サービス「Okinawa Salon TV」である。現在、沖縄県内の美容室120店舗220台の納入実績がある。番組の動画コンテンツの制作は、企画・撮影・編集・放映まで全てを沖縄支社で行っている。

事業の垣根を越えてスキルアップを図る

「沖縄ならではの独自の情報コンテンツを放映しています。そのほうがお客様やお店側に身近で価値のある情報を提供できると思っていますし、実際お陰様で好評を博しています」。今や沖縄県のローカルプラットフォームとして定着している。
「美容室側にとってのメリットは、無料でタブレットが設置できて、雑誌の購入費を削減でき、集客力に繋げることができます。近年は東京から進出した美容室や個人店舗が増えてきましたので、それらのお店にタブレットを設置してもらうよう営業しています。ICTソリューション事業を進めている関係で、最近は美容室の防犯対策、スタッフ管理のために、店内にカメラやディスプレイを設置するビジネスも始め、常に顧客の新しいニーズをキャッチしそれに応え続けています」(営業部統括マネージャーの岡崎昌平氏)とのことで、さまざまな面から顧客をサポートするようになった。
また、特筆すべきは飲食事業部を設けて、蕎麦&日本酒バルの経営を手掛けている点だ。都内・神田淡路町の「凪ワテラス店」と東品川の「凪 天王洲アイル店」の2店舗を有している。40種類以上の日本酒を置き、各種コースや蕎麦料理が堪能できる伝統と革新が織りなす店である。さらに、2023年11月には沖縄県豊見城市瀬長にある「瀬長島ウミカジテラス」にてマリトッツオ、パフェ等を販売するスイーツショップ「gatto」もオープンした。
「飲食業に興味があったり、もともと飲食店で働いた経験がある社員に、お店のスタッフになってもらっています。いろいろと経験を積んで学んだことをDTP業界に戻った時に活かしてもらえれば思っています」と、岡崎統括マネージャーは話す。
現在、社員の教育・研修に注力しており、外部の講師を招聘しビジネス研修を行っているという。「事業部の垣根を越えて人材が行き来できるようにしています。今後は映像制作やICTソリューションを伸ばしていく考えですから、それらのスキルを身に付けてもらうように、全社員に同じテストを実施しスキルチェックを定期的に始めました」と、社員のスキルアップの底上げを図っている。
また、「東南アジアは子どもたちが多く、人口が増えていますから、日本のマンガやアニメなどのコンテンツはまだまだ伸
沖縄支社は20代の社員で占められており、東京本社とかなりの年齢差があって制作スキルに差が生じているとのこと。「この4月からメディア制作部全体のリーダーを沖縄支社の27歳の女性社員にしました」と、スキルの高い社員を登用する能力主義を打ち出した。
展していくと見ています。海外に事業所を設けて新しいコンテンツで市場開拓したい気持ちがあります」と、森山社長はグローバルな視点で海外市場にも目を向けている。
最後に、「地方工組の方々で映像制作の仕事でお困りであれば弊社がサポートし、一緒になってお客様に対応させていただきますので、何かあれば声をかけてください」とコラボレーションを呼びかけた。



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