株式会社光陽社■環境対応と健康経営を軸に持続的成長を目指す

2022年4月に全事業所の電力を再生可能エネルギー100%に転換した株式会社光陽社。環境対応と健康経営を軸とした地球環境保護と従業員の幸せづくりを推進している。その環境への取り組みには目を見張るものがある。生産本部システム部の千葉達也部長に経営方針を中心に話を伺った。


株式会社光陽社

〒113-0034
東京都文京区湯島2-16-16
ヒラヤマビルディング
https://www.koyosha-inc.co.jp/  

生産本部システム部 部長
千葉 達也氏(GC東京)

環境対策万全のカーボンゼロ工場を実現

1949年10月に創立した株式会社光陽社(犬養岬太社長)は、企画・デザイン、DTP、印刷、製本、ディスプレイ、映像、各種デジタルコンテンツ制作を事業内容とする総合印刷会社である。本社・東京事業所の他に、飯能プリンティングセンターBASE、関西事業所、名古屋営業所、オフィスサポートセンターを有しており、従業員は全体で220 名以上を擁している。今回、飯能プリンティングセンターBASE(埼玉県飯能市)に伺い、生産本部システム部の千葉達也部長に話を聞いた。
経営理念について千葉部長は「弊社では、地球環境保護と従業員の心身の健康維持という、『環境対応』と『健康経営』両面から環境に配慮した生産工程を確立し、企業の持続的成長を促しています」と話す。
その生産拠点が飯能プリンティングセンターBASEである。万全なセキュリティ体制の下で、常に高品質な製品を安定して作り、従業員が安心・安全に働ける工場になっている。
同社は、業界に先駆けて2013年にCTP 版の完全無処理化による廃液ゼロを実現した。「現像液を使わず現像工程がないため、版にキズや汚れが付くことがほとんどなく、メンテナンスが不要になりました。また、現像による網点の変動も起きず、安定した網点が再現できて、それが品質の高さをもたらしています」と、完全無処理化によるメリットは大きいという。
環境対策では「2021年9月に当工場は、Scope1、Scope2におけるCO2排出量をゼロにするカーボンゼロ工場となりました。工場で印刷する製品は全てカーボンゼロプリントとして提供しています。さらに、2022年4月からは全事業所の電力はJ-クレジットによってカーボンオフセットにしています。なお、当工場は再エネ100%で稼働しています」。同社は再エネ100% 利用を促進する『再エネ100 宣言REAction』に参加し取り組んでいたが、当初の目標である2023年よりも前倒しして2022年4月に、全事業所の使用電力を100% 再生可能エネルギーに転換している。
設備面での環境対策も多方面にわたっている。太陽光発電装置をはじめ、インキを自動供給し作業効率向上とインキ缶等の産業廃棄物を削減するインキパイピングシステムの導入。ロボット自動断裁機や無人搬送機、自動紙積み機による省力化・自動化。インキと湿し水を削減するケミカルフリー・マルチユニット型湿し水冷却循環装置の導入。社用車のEVカーへの変更。など、枚挙に暇がない。

サステナブル経営で従業員の幸せづくりを

「原材料を作る時、弊社に材料を運ぶ時、生産工程時、顧客に納品する時、印刷物を使い終わった時というように、原材料調達から廃棄リサイクルまでのLCA(ライフサイクルアセスメント)で発生するCO2 排出量をゼロにするのがカーボンニュートラルプリントです。つまり、弊社工場内で作成した印刷物に関してはすでにCO2 排出量はゼロになっていますが、原材料調達や廃棄リサイクルなど、その他の工程で排出されたCO2 に関しては、お客様にご負担いただき、森林クレジットを活用することで全体のCO2をゼロにしています」とのこと。
「また、昨年末には環境に配慮した印刷の普及を図り、印刷業界における持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進することで、印刷業界の健全な発展と社会貢献への寄与を目的に日本サステナブル印刷協会を設立しました」と話す。
同協会には現在9 社の印刷関連会社が加入しており、活動を始めたところである。「他に賛助会員としてご協力をいただいているメーカーさんが3 社います。まずは弊社が開発したCO2排出量算定システムを使用し、参加企業さんの印刷物のCO2 排出量を算定できるようにしていきます」とのことだ。
同社ではPDCAサイクルとして改善提案制度を設けており、安全面、作業効率化、ミスロス削減、環境改善、コスト削減、品質向上等で、従業員が気づいたことを提案した時に、1件につき500 円のインセンティブを実施しており、従業員のモチベーションの向上に繋がっているという。
さらに一昨年には、犬養社長を本部長とするSDGs 推進委員会を発足し、10月には「SDGs 宣言」を行い、SDGsに示された社会課題の解決に向けて取り組んでいる。それが「新たな事業機会の創出や事業の成長に繋がっていると思います」という。
もう1つの柱である『健康経営』については、「環境と健康はリンクしていて、環境対策に取り組んでいけば人の健康も良くなっていくものです」とのことで、従業員の安全・安心に繋がり健康に良いさまざまな施策を実施している。今後も地球環境保護と従業員の幸せづくりに積極的に取り組んでいくとのことだ。



再生可能エネルギー サステナブル カーボンゼロ GC東京 Fellowship