株式会社ヨシダコーポレーション■「情報伝達加工業」として顧客の課題解決を目指す

印刷物の企画・制作と印刷関連機資材の販売という二足の草鞋で、「情報伝達加工業」を標榜し市場開拓している株式会社ヨシダコーポレーション。同社を牽引する田陽子社長に、経営方針、事業内容、新たにスタートしたSDGsの取り組みなどについて話を伺った。


株式会社ヨシダコーポレーション

〒963-0724
福島県郡山市田村町上行合字北川田22-1
http://www.media-yoshida.co.jp/  

代表取締役
吉田 陽子氏(GC東北)

印刷業と印刷機資材を販売するの唯一無二の企業

㈱ヨシダコーポレーションは1955年7月に創業し、今年で67年を迎えた。田陽子氏が社長に就任したのは2010 年8月だった。ご尊父で創業者の田末男氏が病気に見舞われたため後を継ぐことになったのだ。
それまで長年事務の仕事に就いていたものの、経営者という重責を担うことになった田社長は、「就任時どうやって会社を経営していけばいいのか分からず不安でした。その時、同期入社の役員から『この会社を引き継ぐのはもう陽子さんしかいないのですよ』と背中を押されたことで、私がしっかりとしなければという思いが芽生えました」と、社長就任当時を述懐する。
翌年、ご尊父がご逝去され、決意を新たにした田社長は、情報伝達加工業として、人から人へ情報を伝えることを使命に新しい印刷会社を目指すことにした。
70名の従業員を擁する同社の商圏は広く、東京営業所のほか、山形営業所、若松営業所、いわき営業所、宇都宮営業所を保有しており、関東から東北全県にわたって営業展開しているのが特徴だ。営業は車での移動となり、離れている顧客だと1日掛かりになるのも珍しくない。機材販売では直接訪問しなければならず、オンライン営業は印刷関連の一部に留まっているという。やはり印刷会社の経営者はオンラインに慣れていないことが多いため、フェイス・トゥ・フェイスの営業は欠かせないようだ。また「これまでは同業者のお客様がほとんどでしたが、これからは一般企業も開拓していかなければと考えています」と、新規開拓の必要性を話す。
「弊社は、印刷物の企画・制作という総合印刷会社の一面と、印刷関連機資材の販売という二足の草鞋で経営しており、この両者を事業にしている印刷会社は弊社の他に類がありません。印刷機械類の販売はもう60年以上続いていて、お陰様で業界のあらゆるお客様と繋がって信頼関係を築いています」と、メーカーとユーザーの両立場を理解する唯一無二の企業なのである。

SDGsの達成に向けて施策に取り組む

印刷業としては、商業印刷全般から事務用・証券印刷、出版印刷、オンデマンド小ロット印刷、特殊印刷、販売促進、大判プリント、布地印刷、壁紙印刷と、あらゆる印刷を手掛けている。「お客様のほとんどが印刷関連会社様ですから、機資材の提供を含めて多方面からサポートさせていただいています。オフセット印刷はメリットの多いUV印刷で、また、小ロット物はデジタル印刷で状況に応じて対応しています」と、顧客のニーズに合わせてオフセットとデジタルを使い分けているとのことだ。
また、同社が1996 年に設立した広告代理店の株式会社ビックスは、『伝わるコミュニケーションをサポートする』を理念に、宣伝広告の企画・立案・制作からセールスプロモーション、マーケティング、PRの各種制作支援、屋内・屋外のイベント企画といった、紙の印刷以外のビジネスに参入し実績を積んでいる。
近年はデジタルマーケティングが普及し、Webのニーズも高まっていることから「Webサイトやデジタルコンテンツの制作も重要だと考えていますが、制作は提携先の制作会社に外注しています。当社では長年培ってきた印刷技術で、印刷の必要性とメリットをお伝えし、なるべく印刷の紙媒体で付加価値の高い提案ができるよう心掛けています」と、これからも印刷を事業の主体にしていく考えだ。
2005 年にはGC 業界でいち早くFSC®( 森林認証制度)の認証を取得したほか、環境保全を目的にしたISO14000の国際規格も取得し、日々環境に配慮した経営にも取り組んでいる。
さらにSDGsにも注力することになった。「社員と話し合ってSDGsに取り組むことになり、今年3月に取引先の銀行の手を借りて『SDGs宣言』を策定しました」。宣言の内容は「当社は、経営理念である【常にお客様の身になって】に取り組むことで、地域の皆様のさまざまな課題の解決を目指していきます。当社の事業を通じたSDGsの達成に向け、4つの取り組みを実施していく」という趣旨になっている。
4つの事項は、「環境課題解決に向けた製品の提供」「環境保全への取り組み」「労働環境の整備」「地域社会貢献活動」を実現していくというもので、この4つはSDGs の11の「目標」に当てはまっている。
「社員研修を行って4つの項目を社員にしっかりと認識してもらって、SDGsを達成するために積極的に取り組んでいるところです」とのことで、SDGsの取り組みに意欲を示す。
最後に田社長は、「雇用することがそのまま社会貢献になるという考えで、地域に根付いた経営でビジネスを生み出していかなければならないと思っています」とビジョンを話した。



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