株式会社二葉企画■デジタルコンテンツでマンガ文化と市場を担う

マンガや出版物のDTP制作を手掛けて、デザインからデータ出力事業までを展開している株式会社二葉企画。デジタルワークフローによる一貫生産体制で、マンガをはじめ新しいデジタルコンテンツを提供している。若きリーダーの小林伸行社長に話を伺った。


株式会社二葉企画

〒112-0012
東京都文京区大塚5-23-2
https://futaba-dd.jp/  

代表取締役社長
小林 伸行氏(GC東京)

デジタルワークフローをいち早く構築する

株式会社二葉企画は、マンガ雑誌や単行本のデザイン・データ制作、電子書籍制作、紙の雑誌、動画・Web制作など、多岐の業務を展開しており、グループ企業の株式会社二葉写真製版と併せて168名の従業員(2022年7月現在)を擁している。
1994年にDTP業務を立ち上げた同社は、日本で最初にマンガ制作のデジタル化に着手し、2000年以降、デザイン部門、データベース部門、デジタルコンテンツ課を設けてデジタルワークフローを構築し、コンテンツ制作に注力していった。また、2010年には福島支社を建設し、サーバー管理による顧客データのバックアップ業務も開始した。
2012年に社長に就任した小林伸行社長は、小林博美元GCJ会長(同社代表取締役会長)のご子息で、「大学を卒業して弊社に入社したのですが、将来、後を継ぐことになるのは覚悟していました。社員の手前、社長の息子として中途半端なことはできないという意識を持ち仕事に取り組んできました」と、当初から事業承継の自覚を持っていたと振り返る。
取引先は大手出版社が中心で、コミック雑誌、コミック単行本が主軸である。「基本的には出版社が発注するマンガ本を制作するのが仕事です。期日に間に合うようにスケジュールを組んで納品するというものです。今でも変わりませんが、納期を守ることが最も重要になります」という。
「弊社では、製版をグループ会社の株式会社二葉写真製版で行っていますから、デザインからDTP、製版まで一貫体制であるため、特に定期的に刊行している出版社様は、弊社に制作を依頼していただけるケースが多いです」。
出版業界は人材が流動しやすい面もあり、他社に移った際に以前に弊社と取引して仕事をしていれば、再び声が掛かるということも少なくないそうだ。「出版業界は人と人の繋がりで仕事を依頼してくれることがあって、営業をしているとその印象が強いです。気心が知れているので、一緒にモノを作るのがスムーズになります。ですから、長期にわたってお客様とお互いに楽しく親密な関係を築いていくことが重要になります」と、顧客とのコミュニケーションを図る顧客エンゲージメントを重視しているという。
また特筆すべきは、今年新卒の新入社員を計11名採用したという。昨年も新卒を4 名入れて、コロナ禍であるものの人員を増やしている。それだけ同社の業績が伸びている証でもあると言えるだろう。
新入社員は、3カ月ほどいろいろな部署で仕事を一通り覚えた後で、適性に応じて配属するようにしているとのこと。コロナ禍での大企業の採用控えや、マンガというエンターテインメント分野に将来性を見出す学生が増えているためか、「優秀な人材を多く採用することができました」と話す。

キャラクターグッズの販売も目指す

マンガも電子コミックに移行しつつあるため、出版社も安価で制作できるということからコンテンツ数が増える傾向にあり、それを受けて同社の仕事も増加しているという。まさに小ロット多品種の世界が繰り広げられているのである。「いくらマンガがヒットして売れても、当社は版というデータを1点制作するだけですから、ロット数は関係ないわけです。ですから、電子コミックになっても売上にはさほど影響はないのですが、印刷や製本をされている印刷会社さんは、単価が抑えられている上に、より短納期が求められるため、非常に苦しい状況にあります」と、デジタル化によってアナログ制作が追い詰められている状況にあるという。
同社の仕事は元データを作成することであり、紙のコミックに印刷するか、電子コミックで出版するかは顧客次第ということになる。結局元データを作成することには変わりがないため、電子コミックへの移行で同社が大きな影響を受けることはほぼない。
今後、力を入れていきたい分野としては、「蓄積したデータを生かして、キャラクターを使った販促品制作や動画・CG制作で広告宣伝をサポートしていけると思います。多大なデータを保有していますから、お客様のニーズに合ったさまざまな販促物を提案できます。さらには作品を使って商品化することを持ちかけて、弊社が広告代理店のような機能を果たしていくことも考えています」と話す。今秋には出版社のライセンスを借りて、キャラクターグッズなどをリアルな店舗で販売していく予定だという。
このように同社は、新たなビジネスを創出し、マンガ文化の拡大・貢献を図っている。そして、「もっと情報発信して弊社のブランド化を進めたいです」と小林社長はビジョンを述べた。



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