株式会社ひでじま■製薬業界に特化し多様なコンテンツで顧客を支援
製薬業界に特化し、さまざまなコンテンツを制作して顧客をサポートしている株式会社ひでじま。オンライン化、Webマーケティングと、デジタル化に対応している同社の事業について戸谷田順司社長に話を伺った。

営業は顧客に対応してオンラインに移行
戸谷田社長は、創業83年になる株式会社ひでじまの6代目の社長になる。創業期は主に新聞広告の製版業を営んでいた同社であるが、戦後、写真植字専業者の第1号として広告製版、出版印刷の市場を開拓してきた。
業界に先駆けて電算写植技術を導入し、コンピュータを活用した情報処理技術を伸展させ、90年代に文字と画像のフルデジタル化を完了した。
同社の特徴は、顧客を特定の業界に絞っている点である。製薬メーカーを中心に、医薬品卸会社、医療機器メーカーなど医療・医薬業界を開拓し、現在は大手企業 40 社以上と取引している。
製薬メーカーでは現在、MRの営業活動がコロナ禍で、従来の対面式の密なコミュニケーションから、Webなどのデジタルコンテンツを用いたオンライン方式にシフトしつつあるという。そのため、画像・動画コンテンツがますます重要視され、顧客がそれらを望むようになってきた。
「弊社でもお客様がテレワークやオンラインに移行していますから、それに呼応して営業はZoomを使ったオンライン営業に移行しています。また、企画書や提案書のデジタルデータの制作が行えるように社内で勉強会や研修を定期的に行い、IT 技術やデータ作成の技能、さらにはデータを基にしたマーケティング活動の技能を身につけています」と、複雑化するマーケティングの知識習得に日々取り組んでいる。
紙媒体はやはり必要不可欠なもので確固たる仕事がある。「近年追い風になっているのが、医師や医療従事者、医薬品使用者を対象に作成しなければならない添付文書の作成です。3年前から様式を全面改訂することになり、全メーカーがそれに対応した添付文書にする必要が生じましたので、その仕事が入ってくるようになりました。弊社としても従来の取引先だけでなく、他の製薬メーカーからも受注できるよう営業を強化してきました。その際に新規顧客をいかに獲得していくかということで、デジタルマーケティング活動に注力してきたわけです。それによって、添付文書だけでなく周辺のコンテンツ制作へも拡大しているところです」と、新しい仕事を進めたことで周辺ビジネスにも展開していると話す。
また同社は、顧客のデータを一元管理し、校正作業をスムーズに行い、他部署との連携を効率化するシステムを開発・構築している。それが添付文書関連コンテンツに特化した管理システム「WAZ3」である。製薬メーカーや医療機器メーカー30 社以上が導入しているとのことだ。このシステムでは、過去の添付文書の全ての版や原稿を閲覧・共有することが可能になっている。
多様なコンテンツを制作できるのが強み
一方、コロナ禍でセミナー・イベントのライブ配信を請け負うサービスも増加している。現地会場と現地参加者、リモート参加者を繋いで、会場の状況をZoomでライブ配信するというものである。
さらに、Webを使った各種プロモーションサイト制作の受注も増えており、動画の需要が拡大していることから、映像制作にも力を入れている。「製薬メーカーが医療機関に営業する際にオンライン営業にシフトしているので、そのための動画コンテンツが求められています。従来は広告代理店が間に入って制作を請け負っていましたが、弊社であれば企画から制作まで一気通貫ですから、製薬メーカーのオンライン動画制作も直で請け負うことができます」とのことで、紙媒体から映像コンテンツ、さらにはシステム開発までトータルで受注できて、顧客のどんな困りごとでも解決できるのが同社の強みになっている。
「弊社はお客様の発信したい情報をいかに正確に分かりやすく、しかも高品質な表現と技術を駆使して伝えていくかを常に考えています。そのために製薬・医療業界に長けた人材を中途採用したり、在宅のメディカルライターを起用したりして、より専門性のあるコンテンツ制作を展開しています。そして、お客様が望まれているマーケティングや各種情報を支援するために、紙媒体からデジタルコンテンツまで、あらゆるコンテンツ制作に対応していくことをモットーにしています」と戸谷田社長は話す。
そのような経営方針で臨んでいるからこそ、顧客の信頼を獲得できていると言えるだろう。「これからは新卒採用にも力を入れて社員の若返りを図りたいですが、規模拡大は狙わずに、少数精鋭の体制で誠実に対応し、着実に長期にわたってお客様に貢献し続けられることを大切にしていきます。そして、医薬品を安全に有効に使っていただくためのデータ作りに特化し、お客様と共に製薬・医療業界に寄与していきたいと考えています」と、ビジョンを語る。



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