株式会社ローヤル企画■美しい文字組を信条にDTPで顧客をサポートする
今年創業50年を迎えた株式会社ローヤル企画。新しい技術による質の高いDTPで、顧客が満足する商品を提供してきた。2代目としてさらなる発展を目指している松浦社長に同社の「強み」、またDTPに特化した同社のワークフロー、商品内容、事業の方向性などを伺った。
創業50年を迎えロゴマークを刷新し新たな船出へ
今年創業50年を迎えたのを機に、5月にロゴマークを刷新したローヤル企画。ロゴマークは社内で応募した中から選び手直ししたとのことだ。「地球に見立てた LOYAL の『O』にはり巡らされた線は、ローヤル企画がつなげたコミュニケーションを意味しており、それがお客様をサポートする光の道しるべとなるような存在でありたい、という思いを込めました」と、松浦社長はロゴマークの意味を説く。
同社は写植会社としてスタートし、以後、業界に先駆けて電算写植機の導入、写研コンバートの開発、自動組版処理などを進め、1992年にはいち早くMacintoshDTP 事業、さらに94 年にはWindows出力サービスを開始するなど、DTP のトップランナーとして業界を先導してきた。
DTPでエポックメーキングな事案と言えば、94 年末に角川書店の情報誌「ザテレビジョン」の紅白歌合戦の出演者リストを、初めてDTPで制作し確定情報として発行したことで、DTPの迅速性を知らしめるきっかけとなった。翌年には宝島社出向室でDTPのワークフローを確立し、以後、次々と雑誌を中心にDTP 制作に移行していった。社長は「組版をDTP 化するようになってから、雑誌制作の仕事が急増しました。文字と写真を一緒に組版できるため、出版社や雑誌社に多くのメリットを与えたからです。カラー制作が増えていく中で画像処理も一緒に作業できるDTPは、大幅に制作を効率化・時短化できるということで急速に広がっていきました」と、当時を述懐する。
出版業界に無くてはならないDTP会社に
現在、制作物の割合は「雑誌・MOOK」が 6 割強、「書籍」13%、「企業情報」8%、「学参」6%と続いている。受注件 数 は 年 間 約 3,100 件 で、その 内約半数が出版社からとなっている。DTPの制作は44名体制(2021年5月末現在)で、1人当たり月間約2,500ページを制作。DTP のスペシャリストとして自動組版システムも開発しており、プログラミングを駆使して定型フォーマットで大量ページのカタログの自動組版システムを、オーダーメイドで提供している。
一方、組版だけでなく印刷工程において早くから最先端の技術を取り入れていた。90 年代後半にデジタル印刷機が登場すると、業界で逸早くデジタル印刷機を導入し事業を開始したのである。このように印刷においても最新設備の導入に余念がなく、オフセット印刷事業にも参入し、最大で印刷機を 9 台保有し稼働させていた時期もあった。しかし、費用対効果を重視すると、稼働率の低さから採算がとれないとし、次第に印刷を外注化していった。そして、2019 年に印刷事業を全て外部委託にして、DTP 事業に特化した制作会社として完全に舵を切ったのである。
「当社の特長は何と言ってもDTPであり、付加価値のある美しい文字組を提供することでお客様に満足していただくことに注力しています。そのために経験豊富なデザイナーによる制作体制を築き、質の高い組版でお客様に満足していただいています」とのことで、顧客にとって欠かせないパートナーを目指している。
「もちろん企画・デザインから印刷までトータルで受注していますが、今の時代は強みを持ち、その強みでお客様によりよい商品を提供していくことで、存在価値を高めていくことがより重要になっています。当社の場合は美しい文字組によるDTP が『強み』です」と、「強み」を持つことが印刷会社にとって戦略的に最も重要だと説く。
デジタルコンテンツへ注力しSDGsにも着手
しかし、紙媒体だけを制作するだけでなく、Webサイト制作を専門に行う部署も設けており、案件に応じてアナログとデジタルの両面から対応している。「電子書籍のデータ制作、デジタル写真集も請け負っています。一般の雑誌や書籍では紙媒体と同時に電子媒体も作るようになってきており、出版社の中には電子書籍しか出版しないところも出てきていて、電子書籍は確実に増えています」と、デジタル出版が増えつつあると言う。そのような状況下で、顧客のニーズに柔軟な制作で臨んでいる。
では、同社ではどのような人材を求めているのだろうか。松浦社長は「営業もさることながら、お客様の案件を進めていく上でしっかりとコミュニケーションが行える社員になるよう促しています。特にデザインに関しては、お客様とコミュニケーションをとりながら『伝えたいこと』や『見せたいこと』を伝えるために最適で最良なデザインを行うことが求められます。ディレクションを通してお客様の『思い』をカタチにしていく力を養ってほしいですね」と、コミュニケーション能力の重要性を強調する。そして人事評価制度については、上司と部下が面談を重ねて、仕事に対する自己評価に対して客観的に上司が判断し、話し合いを通じて適切に評価するよう心掛けているとのことだ。
「今後は将来を見越してWeb サイトや動画コンテンツなど、デジタル制作に長けた人材採用・育成にも注力していきたいです」と、市場の方向をしっかりと見定めてデジタルコンテンツ制作にも注力していく考えだ。また、「社会に欠かせない存在となるために SDGsにも着目し、このほど具体的な施策を打ち出すために始動しました」とSDGsに着手し、チャレンジ精神で『NEXT STAGE』へ突き進んでいるところである。
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