多彩なメディア制作で付加価値を提供する

昭和7年に須田プロセスとして創業して、今年92年目を迎えたスダプロセス株式会社。製版業者として事業を拡大してきたが、時代の変化とデジタル化を見据えて、最新鋭の機器を導入し、培った技術力と熟練の社員によって顧客の売上に貢献できるメディアづくりに注力している。澤邊慎一社長に事業内容と今後の方向について話を伺った。


スダプロセス株式会社

〒113-0033
東京都文京区本郷2-27-17 ICNビル5階
https://www.sudapro.jp/   

代表取締役
澤邊 慎一(GC東京)

インクジェット出力センターを新設

 スダプロセス株式会社は、スキャニング、画像修正・加工合成、撮影、企画、デザインのデータ制作・入力サービスから、大判プリント出力、オンデマンドプリント、商業印刷全般までの出力サービスを高度なスキルをモットーに事業展開している。オフセット印刷機は保有していないため、印刷の仕事に関しては外注に出しているとのことだ。

 実は同社は現在、業態変革を目指している。澤邊社長は2021年12月に代表取締役に就任し、2022年6月に創業90周年を迎えた直後に本社を現在地に移転した。また、同時に文京区白山にインクジェット出力センターを新設。デジタル機器を増設しさまざまなメディア制作に対応できるようにして、新たな船出を切ったのである。

 主な機材は、対応サイズ2,500mm×1,250mmの大判サイズで80mmまでのメディア厚に対応しているフラットベットUVインクジェットプリンター「SureColorSC-V7000」は、小売店や屋外の看板、ウィンドウディスプレイ、パッケージ、販促品、展示用パネルなど多様な用紙に対応できる出力機。特にUVインクにはレッドインクが採用されており、色域を広げるだけでなく繊細で鮮やかな赤を表現できるのが特長である。

 また、大判インクジェットプリンター「EPSON SureColorSC-S80650」は、幅広いメディアへの印刷を目指したもの。ポスターなどの溶剤インクを使って塩化ビニールやターポリンなどに印刷するプリンターで、耐候性・耐水性に優れている点が特長である。インクセットは9色/10色(ホワイト・メタリックシルバー)の3つのモードから選択でき、顧客のニーズに合わせて出力できるようになっている。他のインクジェットプリンターと比較し選んだというだけであって、色域が広く繊細で高画質な出力を実現している。

 多機能・高性能のカッティングプロッター「Zund G3(L-2500)」も導入。ナイフによる切断とエンドミルによる切削の最大加工厚は50mmまで可能で、段ボール、アクリル板、プラスチック、マグネット、ボード、レザー、木材など多彩なメディアを加工することができるのが特長だ。また、UV印刷の凹凸にも密着追従する大判ラミネーター「SEAL 62Pro」も導入している。

 また同社のサービスとして、特殊プリントで印刷された印刷物をカメラやスマホで撮影することで、イラストがフルカラーで浮かび上がる特殊印刷技術「フラッシュブリント」も提供している。
 さらに、昨年新しくオンラインストレージサービスの「Proself」を構築し、自社で自営できるようサーバーを強化した。

モノづくりに進出し商品の開発・販売を

 UVインクジェットプリンターを導入し出力センターを新設したことで、社内一貫体制を築き既存客に新たな提案をアピールできるようになっただけでなく、新規開拓にも一層取り組めるようになり、新しいメディアによる付加価値の高い製品を提供できるようになった。

 「現状は製版が主体であり、お客様のニ-ズがある限りは続けていきたいと思っていますが、製版業はいずれAIによって飲み込まれ不必要な業種となっていくでしょう。今後のことを考えて新たな市場を開拓し需要を喚起していかなければなりません。そのためには印刷を含めてあらゆるメディア制作にシフトしなければならないと考えています」と、澤邊社長は将来を見据えて業態変革に取り組んでいる。

 営業にも注力していく方針で、2名の新人を中途採用して、まもなく6名の営業体制になるとのことだ。「既存のお客様だけではいずれ先細りしていくでしょうから、新規のお客様を獲得していかないと生き残っていけないと考えています。今後はモノづくりに注力してクリエイティブで付加価値の高い商品を提供できるよう営業展開していきます。ただし、自社だけでは厳しいですから、M&Aや協業化によって他社と組んで、グループ化によって事業領域を広げていく経営体制を目指していく考えです」と、グループ化構想を視野に入れている。

 「弊社は長年培った製版の技術力と経験豊富なスタッフによって、ビジュアル・テクノロジー分野を一層開拓し、多彩なメディア制作にシフトしてクオリティの高い製品でお客様のビジネスをサポートしていきます」と抱負を語る。

 モノづくりでは、「今年からは販売権を持っている商品がありますから、外部の企業に製造してもらって商品を売っていく方針です。既に多くの商品企画が上がってきています。現在は製造販売するに当たって特許の取得に取り掛かっているところです。商品を売っていくには、SNSを使っていかに拡散できるかがポイントになると思っているので、時代のニ-ズに合った戦略ができるよう努力していくつもりです」と、商品開発と販売に意欲を示す。



メディア制作 GC東京 Fellowship